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12月 25, 2022

わからない症状は精神科?-神経内科疾患編

以前、大企業でバリバリ働いていた管理職の知人が、私のところに相談に見えました。

「呂律もまわらなくなり、体の力が入らなくなった。字を書くのもやっと、歩くのも大変です。

総合病院(地域では患者数の多い大きな病院)などでさんざん調べたものの、血糖が少し高いとかその程度しか異常を認めないのです。精神的なものじゃないかと言われまして」

一通りお話を伺い、神経所見などとってみたところ、脊髄小脳変性症などの神経の変性疾患を疑いました。

心因らしきエピソードもなく、経過や症状からは解離性障害(転換性障害)らしさは認めません。

ふつうに考えて、まずは神経内科でしょう!ということで、知り合いの神経内科医にお勧めの病院を聞き、そちらに紹介しました。

多系統萎縮症というやはり脳神経の変性疾患でした。

具体的な病名までわからなくとも、これって神経内科の病気かどうかチェックしたほうがいいよね?って国家試験を受ける医大生のレベルでもピンとくる話だと思うのです。

どうして総合病院でそんな簡単なことができないのか?いろいな事情があると察します。

わからないとストレスなんじゃないの?精神科に行け、こういうことがしょっちゅうあります。

最近は、電話で私は何の病気でしょうか?何科を受診したらいいでしょうか?なんて電話も結構かかってきます。

ボランティアでトリアージする余裕はありません。

医療相談として有料でお話をうかがうという選択肢もあるでしょうが、無料で電話ですませたいという方がほとんどでしょうし、そんな時間もありません。

そういったご相談はお断りしています。

実際、トリアージする能力のある精神科はあまりないと思います。

何科を受診したらよいかわからない症状にお悩みの方は、何かで通院中であればその主治医にまずはご相談を、かかりつけがなければ一般内科あるいは総合診療科という選択肢があります。診療科としては総合診療科がベストだとは思いますが、数が少ないので、一般内科であればどの科を受診すべきかトリアージする能力は通常あるはずです。

 

 

 

12月 25, 2022

精神科薬の副作用-糖尿病内科編。

老年期女性。九州にお住まいでしたが、長年うつ状態で苦しんでおられました。九州の医療機関でいろいろな抗うつ薬を処方されたものの一向に良くならず、試しに使ってみたクエチアピンという非定型抗精神病薬が著効しすこぶる調子が良くなったそうです。何年か維持したのち、そろそろとやめてみたものの、やはりうつ状態となってしまい、その後も10年以上服薬を続けておられました。

事情があって上尾に転居され、当院で加療を引き継ぐことになりました。

症状には波があるようで部分緩解の状況でしたが、ご本人も現状維持を望み、同じ処方を希望されました。

特に身体的な既往もなく、体調も悪くないというので、ご様子を伺いながら投薬を継続しました。

ところが急に体調不良を感じ内科を受診したところ糖尿病が発覚し、総合病院に入院。

糖尿病内科の担当医から当科の情報提供および変薬の可否についてお問い合わせのご連絡を頂戴しました。

慌ててご本人と連絡を取り、クエチアピンが糖尿病の発症と関連している可能性があることを説明し、採血など定期的に行って管理すべきところを怠ったことを謝罪し、変薬の相談をさせていただきました。ご本人としては薬を変えることに大変不安をお示しでしたが、血糖に影響しないよう同等の薬効が得られるよう処方を検討し、フォローしていきました。

糖尿病内科の先生とは連絡をとり糖尿病の加療をお願いいたしました。

若い先生で、とても素晴らしい対応をされ、良い連携が取れました。

患者さんも元気になりとても助けられました。

 

非定型精神病薬の中には人によっては血糖値を上昇させてしまうことがあり、定期的に採血してフォローしていくことが望ましいとされています。

3か月に1回の採血が安全でしょう。もともと生活習慣病などで内科を定期的に受診されている方はそちらにお任せすることがありますが、そのような機会がない方は当院で採血させていただきたいと思います。

しかし今回は今まで何もなかったという油断から十分な注意を払わなかったのです。反省し再発防止に努めています。

ただ、実際の診療の中では採血検査でお金もかかりますし、注射が苦手という方も多く、3か月に1回の採血を受け入れてくださる患者さんは少数派です。ぜひ、健康管理のため採血希望とお申し出ください。

そのような状況でも常に目を光らせなければなりません。処方したものの責任です。

 

糖尿病内科編ではなく、私編でした。

12月 25, 2022

精神科薬の副作用ー麻酔科医編。

夫に旅立たれ、激しい頭痛などの体調不良を訴える70代女性。お嫁さんにも素直に頼ろうとしません。しかし、具合が悪いといえばお嫁さんが献身的に対応してくれます。

色々な科を回って原因もわからず、薬にも反応を示さず、精神科へ行けと言われて当院を受診。葛藤を素直に言語表出しないが、色々な悔しさや喪失の怒りを感じる方で、いつも奥歯を食いしばっているのがすぐにわかった。本人が言いたいことを言葉で表現できるようになるまでは、薬や治療ではびくともしない可能性がある身体症状症と暫定診断。とにかく治療関係を作って色々お話ができるようになることを目標に治療を続けていくことになった。やはり喪失体験が中核になっているので老年期のうつ病の治療に準じた形で攻めていくのが正攻法と考えた。

抗うつ薬ミルタザピンを中心に、激しい口渇も訴えていたので、唾液分泌作用のあるランドセンを併用。そのほか痛みに効果を認める柴胡疎肝湯など少しマニアックな漢方を使って少し安定した。少し良くなるとまたしばらくして頭痛がひどいとお嫁さん経由で訴えた。調整するたびによくなるが、安定してしばらくすると激しい頭痛を訴えた。これは疾病利得ありの身体表現だと感じたが、一旦ここで頭痛についてはきちんと調べておこうと思った。私が一番信頼し、日本一だと思う頭痛の専門家である先輩をご紹介し、診療を受けてもらった。頭痛専門医と私で手紙のやりとりをしながら試行錯誤したものの、やはり、薬をかえて一定期間改善するものの、しばらくすると不調を強く訴え、持続的な効果を認める治療は見つからなかった。心の葛藤には一才触れることができなかった。

 

すると本人から近くの中堅総合病院の麻酔科のペインクリニックを受診してきたと事後報告あり。

麻酔科医の見立ては、抗うつ薬など精神科の薬を飲んでいるから頭痛が起きているという話だった。

え?当院にかかる前から激しい頭痛を訴えているんですけど。。。薬が原因っておかしくないか?

しかしお手並み拝見するために指示に従って当科の薬を整理していきました。

するとどんどん患者さんの体調は悪くなっていきました。

その間に麻酔科からの処方薬がどんどん増えていき、依存症を作るだけのデパスの最大量処方、ベンゾジアゼピンであるリリカの最大量処方、麻薬性鎮痛薬を含むトラマドールを最大量処方。そのほか十種類程度の薬がてんこ盛りになっていました。

多剤てんこ盛り大量療法を続けたままブロック注射も開始、本人の訴えは改善せず。

私としては彼女が引っ掛かっている葛藤を処理することが一番重要だと思っていますが、それをやりやすくするための薬物療法がしたかったのです。麻酔科医によって精神科のくすりがよくないという不信感を抱かせたまま症状は悪化。改善が認められず、そうこうしているうちに麻酔科医が急に冷たくなったそうです。精神科の薬は飲むなと言っていた麻酔医が向精神薬をてんこ盛りにしているという…。本当は精神科の薬がよくないと思っているのではなくて、精神科医の治療自体を見下していたのです。今度はまた患者さんが私に泣きついてくるようになったのですが、麻酔科薬(中身は向精神薬)の薬づけにされてしまい、こちらとしては手の出しようがなくなりました。

かわいそうだという反面、彼女が自分がこれだけ辛いのだということをアピールするために行動化しすぎてしまった感もあり、助けてあげることはできませんでした。精神科はだめだ、自分が優れていると思っている麻酔科医と患者さんの関係はその後どうなったかは知りません。

今でも、どうすればもっと良い結果を出せたのかわかりませんが、とても気がかりな患者さんでした。

12月 25, 2022

精神科薬の副作用ー皮膚科医編。

30代の女性。時折蕁麻疹が出るようになったということで市内の〇〇〇皮フ科を受診。初老の女医が3分くらいみて精神科の薬のせいだと言われたそうです。かなり断定的に。

たしかに精神科の薬には薬疹が出ることがある薬がいくつかあります。

有名なのはラミクタール、テグレトール、ルジオミール、コントミンなどです。

また古いタイプの抗精神病薬を長期的に使っていると特有の皮疹が認められることがあるということは、何年か精神科単科病院に勤務していれば常識となります。やはり実際に見たことがあるかどうかというのは非常に大事な要素になります。

ベンゾジアゼピン系の薬を服用していると光線過敏症になる可能性があるということも重要な知識です。

どのような皮疹がどのようなタイミングで出るとか経過を見れば、関連性を推定することはある程度できます。

まあ、確かにどの薬で薬疹が出るかというのはわからないので、色々調べていくしかないのです。

患者さんから相談を受けて、一つひとつ薬を抜いたりして経過をみましたが、皮疹の方は改善されません。

その間薬を抜くわけですから患者さんは当然症状がぶり返し、苦しみに耐えながら実証実験を繰り返すわけです。

結局埒が開かないので、私が信頼する皮膚科を受診してもらい、最終的に大学病院で全ての薬のアレルギー検査をしてもらいました。

結局精神科の薬は全くの白で、薬疹の原因ではありませんでした。詳しくは忘れましたが、他の皮膚疾患だったそうです。

元々そこの皮膚科は適当な診療で有名で、脂漏性湿疹をニキビだと診断したり、専門性に乏しい様子でした。

〇〇〇皮膚科ではその後も他の患者さんでも「これは精神科の薬の薬疹です」と宣告し、不安に陥れていましたが、ことごとく誤診であることが判明しています。

どれだけこちらが迷惑しているか知らないんでしょうか。患者さんの身にもなってみてほしいですね。

わからないものをわからないと正直に言えない医師。

わからないと精神科の薬のせいだと決めつける医師。

そういわれてもおかしいと気が付かない身体の勉強が足りない精神科医も少なくありません。

精神科医ももっと体の勉強もして信用される診療を行うべきだと感じます。

大学で私のオーベン(指導医)だった水野先生が院長を務めていらっしゃる都立松沢病院では、精神科医のための身体科研修コースというのもあるようです。

精神科医が体も同時に診察すると実は精神科の治療的にむずかしい部分も出てくるのですが、わかっているかどうかはとても重要だと思うのです。

 

 

 

12月 24, 2022

精神科薬の副作用ー眼科医編。

自分は統合失調症なのか?という疑問を抱え、慶應大学病院から当院へ紹介されてきた男性。

小さい頃から生きることに悩み、自殺企図を繰り返し、入退院を繰り返してきた方。医療機関を転々としながら納得のいく診断や診療が得られないと感じていたようで、最終的には大学病院を受診するようになっていた。そこでも本人の納得いく説明が得られなかったとして、なぜか私に白羽の矢が立った。出身医局からの依頼となれば、なんとかやってみましょうということで引き受けた。

当院ではカウンセリングをやっていないということでご理解いただいていたが、この方を理解するためにはどうしても本格的なカウンセリングのような導入が必要だったので、私が時間をかけて生育歴から詳しく伺っていった。そのやりとりでわかったことは彼はどうしても哲学的な思考に迷い混む癖があって、その思考に私をつき合わせようとする傾向が認められた。セッションを積み重ねるうちに当職とも打ち解けていろいろな話をするようになり、大体の診断や親子関係の課題など見えてきて、少しずつ落ち着いていった。

その間も以前の医療機関から服薬している2種類の薬は継続していた。容量は少なかったが彼にとってその2つの薬はとても意味のある重要な薬だった。

今までどちらの薬の減薬を試みても変調をきたしてしまった由。

当院にきてからは安定してきたということもあったのかもしれない。

彼は世間に認められたいという欲求に駆られるようになったようだ。

ピアスタッフとして自分語りの大役を買って出ることになった。

しかしそれは主治医である私には内緒にされていた(私は別のルートで把握していた)。

発表の日程が近づくにつれ、不安感や焦燥感が出現した。

何か負担に感じていることがあるのではないかと尋ねるも、本人には思い当たる節はないといって、自分語りの件は隠していた。

そうこうするうちに彼の瞼(まぶた)が痙攣するようになった。

いわゆる眼瞼痙攣だ。

ストレスが原因であることが多いが、目の奥の血管が神経に触れてしまって出現する痙攣などもあるし、薬剤の副作用で出現することもある。

彼は早速、有名眼科チェーン店の一つを受診した。超高学歴の女医さんでインスタなどでご自身の生き様をアピールされているという。その眼科で彼は女医さんに「精神科の薬が原因で眼瞼痙攣が起きている」と宣告された。

ベンゾジアゼピン系の薬剤、特にデパス(エチゾラム)などで眼瞼痙攣(まぶたがピクピク痙攣する)や羞明(光が眩しく感じる)の副作用が認められうることは私も20年以上前から知っている。慶應病院での研修医時代の最初の指導医が薬理の大家であったため、当時眼科医も知らないような知識をたくさん教えてくださった。しかし彼に処方されていた薬は全く別の薬で構造も作用も違うものだった。そんな論文も見たことがないし、もしそのような新しい知見が出ているのなら教えてほしいと連絡した。しかし返信はなかった。エビデンスはないのだ。精神科薬を区別していないようで一括りにしているらしい。向精神薬と抗精神病薬は定義は違う。精神科のくすりは1種類ではない。

彼はそのことをとても気にするようになった。私は眼瞼痙攣との関連にエビデンスはないし、あなたの生きる力を支える重要な薬は安易にやめないほうがいいと伝えた。

しかし、彼は薬をやめてみたいと言った。

やむを得ず、彼が服薬していた2錠(1種類1錠)の薬を一種類ずつ時間をおいて薬を抜いてみることになった。

しばらく経って落ち込みや希死念慮が強くなり、仕事に行けなくなった。

非常に混乱し、哲学的なことにこだわり始め、なぜ生きるのかなど答えのない問いをぐるぐるとするようになった。

眼瞼けいれんは一向に改善しなかった。

慌てて服薬を再開したがなかなか症状は治らず、もとの量より薬を増やすなどして少しずつ落ち着いていった。

眼瞼痙攣は経過中変わらず生じており、眼科医はボトックス注射を繰り返した。

結局哲学的な思考や過去への逡巡などが収まらず、入院施設を紹介してお別れした。薬をやめてからは私が毎週のように彼の希死念慮に対応し、大変だった。眼科医はそのことを全く知らない。

 

「薬のせいだ」という軽く発せられた言葉が命を奪うかもしれないことを、その眼科医にも知ってほしい。超高学歴な人でも万能感が行き過ぎると、自分が見えているもの以上のことがあるかもしれないということに考えが及ばないのかもしれない。

 

 

12月 23, 2022

精神科の薬の副作用ー内科医編

時節柄、ちょっと楽しいブログでも書こうと思っていたのですが、気になることがありアップします。

ある女性が精神病症状を伴う不安状態の治療で当院に通院していました。

お薬を使ったところ改善傾向が見られたので、そのお薬を少し増やしたところとても調子が良くなりました。

しかし、その女性は本当は薬に少し抵抗感があるご様子でした。もちろん、薬を好んで飲む人は少ないし、薬なしで完全で健康でありたいというのは誰しもが願うところです。

そんな中、頭痛、発熱、鼻水などの症状が出現し、〇〇〇クリニック(内科)を受診。

ご時世的にコロナの検査をして陰性。細菌検査もしたが陰性とのこと。

薬を処方したが発熱や頭痛が続き、医師が下した判断は・・・

「メンタルの薬の副作用で熱が出ているに間違いない」とのこと。

精神科に強い偏見を持っている医師は、なんでも精神科の薬のせいにしようとします。

さらに、「大人が風邪で熱がつづくなんで10億円の宝くじを当てるのより確率が低い」と言い切ったそうです。

「今すぐ薬を辞めないと大変なことになる」「その精神科に行くな」とすごまれたそうです。

不安になった患者さんから連絡を受け、詳しく問診。

頭を振ると響く強い頭痛、吐き気、38度台の発熱、自律神経症状を伴わず。鼻水、咳少々。

これ見たら研修医でもわかりますよね?

特定できないウィルスによる無菌性髄膜炎も疑わなくてはいけません。

風邪は万病の元です!ウィルスなんて検査してもほとんど同定できないことが多い。

一方薬による熱の可能性はどうでしょうか?

おそらく内科の先生方は精神科の薬で発熱を生じている場面を見て治療にあたった経験のある方はほとんどいないと思います。

私は実際に何例も経験してきました。

やはり入院するような重症な患者さんで薬による発熱を経験しました。

1、悪性症候群:抗精神病薬による筋肉の固縮とそれに伴う筋肉の融解、著しい交感神経症状を伴った(いわばサイトカインストームのような)高熱。

2、セロトニン症候群:SSRIなどの抗うつ薬(と多くは相互作用をきたす薬物と併用して)による焦燥感、著しい交感神経症状を伴った(これもサイトカインストームのような)発熱。

3、薬疹を伴ったアレルギー性の発熱

などです。

これらは緊急事態なので、待ったなしで対処します。私の勤務していた足利日赤は精神科身体合併症の最後の砦のような病院でしたので自分で対処しましたが、通常のクリニックならばすぐに高次医療機関に転送コースです。

ですから、精神科薬による発熱には人一倍敏感です。

発熱の原因は精神科薬ではないことはほぼ断言できるものの、すでに患者さんは内科医より薬のせいだと言われて薬に不信感を持っています。

そういった状況を踏まえ「私としては経過や症状からは精神科薬による発熱ではなく、軽い髄膜炎などの感染症を疑います。」

とお伝えしました。

しかし担当医は感染症の確率は10億円の宝くじ当選より低いと断言しており、患者さんも困っています。

そこで、「私は違うと思うけれど、薬に対してご心配されているようですから、ひとまずお辞めになってもいいですよ」

「ただ、何か担当医の診療に疑念を抱いたら、すぐに別の医療機関で診療を受け、第3者の見立てを聞いてみてくださいね」

とお伝えしました。

というのも、〇〇〇クリニックは地元の医療従事者からは危ない医師として有名なのです。

開業まで勤務してきた病院でもトラブルの連続だったようです。

 

結局その後患者さんから電話があり、「やはりおかしいと思って直接総合病院に行きました。髄膜炎の診断で総合病院に入院しました、薬のせいだなんていってすみませんでした」と謝っておられました。担当医は髄膜炎で入院となったことを知りません。

いずれにしても髄膜炎はにおいや音で頭がガンガン響いて本当につらい症状が出てくるのでとにかく早く回復していただきたいと思いました。

悪いのは素人の患者さんではありません。プロフェッショナルなはずである担当医です。

超一流国立大学出身の医師がどうして研修医レベルの診断ができないのでしょうか?

そこが大変不思議ではあります。精神科の薬に偏見をもっていれば、それが原因に違いないというバイアスがかかります。

以前も提案しましたように医師などプロフェッショナルな資格については何年かに1回更新制にしてその都度試験を課すなど、専門家と言えるレベルをキープすることが必要なのではないでしょうか。

 

それから、薬の副作用について、大切なお話があります。医師でも知らない人がいます。

今やネットで薬の情報が溢れていますが、玉石混合で正しい情報に辿り着くのは難しくなっています。

医師が勉強できるような内容はネットで無料で多に入ることはほとんどありません。

お金を払って知識を得ることが通常です。専門家の意見を得るためには弁護士などそれなりの対価を払います。

ネットで無料で問題解決できるほどの情報は得られません。

また、情報があっても、情報を読み解く医学的な知識がないと正しく理解できません。

副作用と有害事象ってご存知ですか?

副作用は、薬が原因ではない!と断言できない、薬の使用により生じた有害な反応のことです。

原因かどうか、その確らしさの強さの順番に、「確実に因果関係あり」「多分関係あり」「因果関係の可能性があり」「多分関係なし」「関係なし」「不明」の6つに分類されますが、どこまでが副作用とされていると思いますか?

日本の場合(欧米とは異なり)「関係なし」以外を全て副作用として記載しています。

ですから「多分関係なし」「不明」なども含まれているのです。

欧米はもっとしっかり因果関係が疑われるものだけを副作用としています。

さらに、有害事象とはどういったことを指すのでしょうか?

原因かどうか因果関係とは全く関係なしに、薬を飲んでいた時に生じたあらゆる好ましくない有害な反応全てを有害事象と呼びます。

例えば、薬を飲んでいたときにたまたま風邪をひいたら、「熱、咳、鼻水、喉の痛み」などが有害事象として記載されます。

これを薬が原因であると勘違いしてしまうのです。

そういった基礎知識もなく、ネットの情報で、「熱」と書いてあったから、薬のせいに違いないというのは早計なのです。

薬の副作用でどのような機序で熱が出るのか詳しく知っている専門家から見れば、全く違う見解になります。

適当なことをいう人間ほど断言してしまいます。

わからないことも多く、結果が確定しにくい医療において、誇大広告、断言的な物言いは要注意です。

ネットの知識は調べてもいいけど、鵜呑みにしないほうがいいとおもいます。

 

12月 20, 2022

3日坊主。

非番のスタッフが、有名なパティスリーのケーキを差し入れに来てくれました。

はい、早くもダイエット挫折です。

甘すぎず、上品なお味で美味しゅうございました。

 

12月 18, 2022

ダイエット開始。

本日は朝から1日がかりで産業医講習受講。

1日座っているのがとてもきついです。

しかし日本医師会長の松本先生の「雑談」でお考えを伺えてよかったと思います。

まさかこんなに身近なところから医師会長誕生とはびっくりしました。

医療のことを真剣に考えておられます。

 

会場で親しい先生ともお会いできて、普段の診療での助け合いに感謝。

しばらくぶりの先生からは、「太ったね」と…

 

ダイエット始めます!

 

12月 12, 2022

年末年始の休診のお知らせ

12月29日木曜日から1月5日木曜日までお休みとさせていただきます。ご不便をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。

初診を希望される方は、必ず「初診をご希望の方へ」をお読みになってから電話をおかけください。

なお、年明けすぐの初診枠は埋まっておりますので、先のご予約になりますことご了承ください。

12月 7, 2022

薬が足りない理由。

だいぶ前からですが、薬の供給が不安定となっております。

発端はジェネリック医薬品の製造上の不正で、行政処分を受けた会社が現時点で13社にのぼります(記憶が正しければ)。

業務停止などで薬が足りなくなりました。

これは最初からなるべくしてなったもので、想定内の話です。

国は医療費削減のためにジェネリックをゴリ押しで推進してきました。

その流れは仕方ないとは思いますが、毎回やり方が良くないと感じます。

ジェネリックの品質を管理する制度を整備しないまま「ジェネリック医薬品は先発品と同じクオリティ、効果も全く同じである」と嘘をついて無理やり普及させたのです。

診療報酬を操作し、ジェネリックを利用しないと経営的にハンディを追うように医療機関を誘導しました。

健康保険組合も躍起になって先発品を処方されている患者さんにハガキや手紙を送りつけジェネリックに変えるように追い詰めました。

当初からわかりきったことですが、ジェネリックは先発品とは同じではないです!

適当な臨床試験やnの少ないデータを持ってして、「先発品と効果は同じで価格が安い」と平気で宣伝しました。

ジェネリックが普及する前、大阪のジェネリック会社が営業にやってきました。

適当なことばかり言っていて本当に不信感しかなかったです。

研究者でなくとも出鱈目なことをやっているとわかりきっていました。

患者さんも先発品と後発品の飲み心地の違いが分かる人も多いです。

国はやるといったらいつもゴリ押しするので、結局従わざるを得ず、

今ではジェネリックの飲み心地を想定して処方したりします。

そのような中、次々とジェネリックの製造上の不正が判明し、生産が止まり薬品不足が始まりました。

その影響で先発品も足りなくなり、代替えとなる薬にも影響。

大迷惑です!

それなのにジェネリック会社からは何の謝罪もないです。

 

また、薬価の安い薬を使うことで医療費を下げると言いながら、薬価の安くてとても良い薬を利益が得られないから生産中止にする会社も相次いでいます。製薬会社としては薬価が高くて儲けの大きい薬を売りたいわけです。国はそのような動きには介入しません。

どういう力が働いているのでしょうか?

守るなら、日本の先発品製薬会社を守れ!

新薬の開発をして世界をリードする力をつけさせろ!

コロナの薬やワクチンも海外のメーカーに大きく出遅れたのは国のこれまでの政策が間違っていたからです。

日本の将来をどう考えているのか、政治家や官僚はきちんと考えてほしい。

追記:

現在の漢方薬不足には別の事情もあります。

コロナの第7波で相当な発熱患者さんが受診しました。

風邪薬が供給不足になっています。

漢方薬にも風邪に効果を認める薬がありますので、当然それらも品薄になりました。

そこで製薬会社は漢方風邪薬の増産をするために、他の漢方薬の生産ラインを縮小したりしました。

その結果足りない漢方薬も出てきています。

 

追記2:

ジェネリックにも色々種類があります。

例えばジェネリックのミルタザピン明治は先発品のリフレックス(明治)と同じ会社が同じ原料で同じように作ったものなので、製品のクオリティーは本当に先発品同等、というか同じなのです。いい加減な会社が適当に先発品を真似して作ったものではないのです。

そういった薬品を使うことで、患者さんも医師も安心できるし、先発品を開発していく能力のある会社を守ることにもつながると思うのです。ただ、薬局も経営が厳しくなっているようですので、できるだけ安く仕入れができる薬を選びたいという部分もあるので、難しいところですね。ですので、薬局も信頼できるところを利用してほしいという思いがあります。