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6月 29, 2023

幸せ。

6月29日。

肉の日。

連想が、食欲丸出しでお恥ずかしい。

 

新宿で研修会があり、お腹が空いたので、昔訪れたことのあるブラッスリーに立ち寄った。

ちょっと贅沢な2500円のランチ。

でも、この物価高で、この美味しさで、2500円は破格だと思う。

家賃も相当高いはずで、赤字なのではないかと心配してしまう。

 

ラム肉と魚介グラタンのワンプレート。

カシスソースが香ばしく焼いたラムチョップによくあう。

パンにつけるオリーブオイルも絶妙に美味しい。

もちろん大人になってから初めて食べたものだが、

懐かしくて、温かい気持ちになった。

ぼっちであるが、素敵な時間を過ごせた。

ありがとう。

 

 

 

6月 28, 2023

それぞれの道。

研修会の会場で、親しい友人とばったり会った。

資格の更新のために私と同じように焦って研修実績のポイントを貯めていた。

 

彼は大企業のCEO、昔から話のスケールが大きかった。

有名人や成功した人がこぞって入居していた六本木ヒルズに若い頃から居住していた。

住人同士の交流もビジネスの成功に関係しているようだ。

彼は医者の免許も持っているし、その分野でも活躍していた。

しかし、法科学院に通って法律の勉強をしたり、ビジネススクールでMBAエッセンシャルも勉強。

経営者としての敏腕を如何なく発揮。

世のため人の為に事業を展開してきた。

今や彼は臨床で患者さんを診察することもないし、関連企業のトップらを招集し、経営の勉強会を開き更に企業の飛躍を追及。

昔はすこしとんがっていたけど(誰しもがそうだとは思うが)、今はとてもとても優しい。

生まれもいろいろ。

人生色々。

能力色々。

 

 

6月 19, 2023

どうなりたいか。

今日は診療直後より慶應認知行動療法研究会を聴講。

大野裕先生の鋭いコメントが冴え渡ります。

私も先輩方から指導を受けていた時に、患者さんの言葉の意味がイメージできるまで質問するということをトレーニングを通して学んできました。

経験の浅い頃は、患者さんの言ったことをそのまま鵜呑みにしてしまう傾向にあります。

わからないことをなんとなくわかったような気になってそのままにしてしまうことがあります。

どういう意味なのか、どうして言ったのか、情景が目に浮かぶまできちんと聴かないと、聞き流しているのと同じことになってしまいます。

そして、患者さんに聴かなければ行けないこととして一番大事なことは、

治療をして、どうなりたいのか、どんな風に生きていきたいのか、何をしたいのか、

きちんと聞いて共有できることはとても大事です。

患者さん自身どうなりたいのか考えていないことも少なくないのですが、

それがあるのとないのでは、治療の結果も異なるし、よくなる度合いも違うと思います。

「症状を軽くして健康になりたい」という先の

「症状が軽くなったら、どんなことをしたいのか?どんな風に生きていきたいのか?」

が重要なのです。

発達障害の傾向のある方は、将来を想像することが難しく、どうなりたいかがイメージしづらいこともあります。

症状が遷延する理由の一つはこの想像力の乏しさにあるのではないかと思います。

この辺りをどうするかもっと掘り下げて行きたいと思っています。

 

6月 16, 2023

大物との戦い。

今日はそろそろ卒業が視野に入ってきた患者さん数名の診察がありました。

辛かった以前を振り返って笑えるようになったことの喜びを共有し、今までよく頑張ってきた健闘を讃えました。

お世辞もあるとは思いますが、「辛い状況を乗り越えられたのは先生のおかげです」と実感を込めて言ってくださるのです。

嘘には敏感なので、多分(笑)本心から言ってくださっていると信じています。

 

公務員の方は、相当な地位のある上司から壮絶ないじめを受けていました。

どうしてそのような状況になったのかも詳細にしらべて理解しました。

休職をし、体調を整え、異動ができるまで耐え忍びました。

そしてその上司が定年退職し、やっと平和を手に入れたのです。

その間、反撃は行いませんでした。

あまりやりすぎると強硬な措置を取りうる(実際に法的措置の実績があり)ことはやんわりと警告しましたが、私自身も危うい状態に追い込まれたかもしれません。

おそらく私自身が被害者であったら反撃していたかもしれません。

しかし、その後の患者さんにとってのメリットデメリットを天秤にかけて、

こちらからの攻撃はせずに乗り越えました。

もし反撃をしていたら患者さんの心に新たなトラウマを作ってしまっていかもしれません。

 

患者さんは自分がどういう状態なのか関心をもち、一般の医師はどうして症状が出現したのか、その原因に関心があります。

しかし、私がもっと重要であると感じているのは、どうして良くなったのか、何がきっかけで症状が改善したのか、ということです。

これを評価することで、患者さんがその後強く柔軟に生きていくための力を得ることができます。

患者さんへの最大のプレゼントはそれなのではないかと思って、日々診療にあたっています。(これは本人には難しいことなので、主治医が重要な働きになると思います。)

 

全力で診療にあたってきて、感謝のお言葉を徐々に頂戴するようになったのは、今までの努力が結実してきたことの表れだと思っています。

直接のコミュニケーションはもちろん、Googleレビューでも是非!笑。(それかい!)

 

 

 

 

 

 

6月 15, 2023

今日も講演会。

今日は医局の1コ先輩の宗未来先生のご講演が聴きたくて、以前からリクエストしていました。

とてもユーモアのあるスライドを使って饒舌に面白くご講演されていました。

同じ医局の大野裕先生から認知行動療法を学び、水島広子先生から対人関係療法を学び、独自の精神療法を発展させていらっしゃいます。

薬物療法が主流の現在の精神医学において、精神療法(心理療法)に力を入れている大学は他にないのではと感じています。

精神分析の日本での第一人者である小此木啓吾先生は有名ですが、私の師匠は門下生としていつも小此木先生のご自宅で色々なことを教わっていたそうです。躁うつ病の研究で有名な下田光造先生も同じ医局の先輩で、精神療法に禅の文化を取り入れました。同じ医局には偉人たちからスピリッツを受け継いだ先生方もたくさんおられます。

若い頃、もっともっと先輩方に食らいついて教えていただくべきだったなと振り返ります。

丸山公園のカエルさん

 

6月 13, 2023

摂食障害。

オンラインで研究会に参加。

慶應児童精神医学研究会で現在の摂食障害の治療に関してのご講演。

遅い時間からのスタートなので時間的に忙しい開業医には助かります。

 

私が大学病院で研修医をスタートした時、慶應の精神科病棟は境界性パーソナリティ障害及び他院で手に負えなくて紹介されていらした摂食障害の患者さんで溢れていました。

研修医時代に一番思い入れのあった患者さんは摂食障害の中学生の女の子でした。

最大限の熱意を持って治療に参加していたので、患者さんにもご両親からも信頼していただいたと感じました。

私がバイクに乗って通勤しているとお話ししたら、白バイ隊員のお父様が大事なグローブを譲ってくださったこともよく覚えています。

今も元気にお過ごしのことと、思いを馳せています。

 

当時私の指導医にあたってくださった先生方は、今では全員が精神医学会の重鎮の先生としてご活躍です。

当時の摂食障害の治療としては斬新なIVHポートを使った治療を渡邊衡一郎先生が提案され、私も学会で発表させていただきました。

 

今回の摂食障害の治療は、昔と大きく変わった印象はありませんでしたが、

流派によって治療法は大きく変わるようです。

飢餓状態にある時は認知が歪んでいるので、精神療法はやっても効果がないということで、前半は再栄養を行動療法を用いて行うことが今も昔も一般的です。

また最近ではやはりASD(自閉スペクトラム症)と摂食障害の関連に関心が集まっており、治療法もASD有無で変えているスペシャリストもいます。昔は父親や母親との葛藤云々とか言われていましたけど、ASDではあまり関係がないかもしれません。親の関わり方の問題ではなかったのに、当時は指導されてしまったケースもあったかもしれません。

 

慶應の小児科では児童精神科の重鎮である渡辺久子先生が当時ご活躍されていた流れで、今は小児科で摂食障害を診ているのかもしれません。(間違っていたらごめんなさい)

 

摂食障害の治療には内分泌などの身体医学のかなり詳しい知識や治療技術が要求されます。

よって今も昔も、小児科、内科、精神科などが連携して治療ができる総合病院でないと、対応が難しい場合も多々あります。

 

私は摂食障害の治療経験があるからこそ、治療の限界もよく知っています。

その結果、当院では摂食障害の治療は行わないと決め、受け入れを行っていません。

摂食障害治療経験が生かされないのは残念ですが、なんらかの形で他の疾患の治療に役立っていることと信じています。

 

 

6月 13, 2023

まだ。

まだ、辞めませんよ、俺。。。

 

なんだか最近患者さんにとても感謝されることが多い。

今日も長年通院している患者さんから突然初めていただいた温かい感謝の言葉。

前医ではデパスの副作用でだいぶ悩まされていたようで、

当院に転院後いろいろと調整してすごく安定し、維持療法を続けていました。

薬の辞め時ってむずかしいのですが、その人の罹病期間、病気の平均罹病期間、服薬状況、発達特性、パーソナリティ特性などのほかに、今後その人がぶつかるであろう壁がどのタイミングでくるか、ライフイベントのインパクトを予想して判断します。

例えばご自身が幼少期、再接近期に母親との葛藤があったと想定される場合、ご自身がこどもを生んで母親になった場合、自分のこどもが再接近期に差し掛かった時に不安定になるだろうなとか。

この人は喪失体験に弱いから、今度は定年退職するときが危ないだろうなとか。

だいたいわかることがあります。

何年かまえに当院を受診していた女性の症状が落ち着いた時点で、次は出産後が危ないから整えていこうねとお伝えしていました。

しかし彼女はもうよくなったからと、自分で通院を辞めてしまいました。

結局出産後不安定となり、再初診を希望されました。

彼女はどうして私が予知していたのか不思議がっていましたし、私のアドバイスを聞いていればよかったとおっしゃいました。

 

上記のようにどういうときに具合が悪くなるか予測できることもありますので、治療に関しても、次のイベントを乗り越えるまではやっておこうなどと提案できるのです。

 

ハイ、自慢話、つまらないですね!笑。

じじいの昔話と自慢話、説教話は誰も聞きたくありません。

 

脱線しましたが、最近温かい言葉を頂戴し、まるで私が引退するのではないかというような雰囲気すら感じるというのは

私の被害妄想でしょうか、笑。

 

まだ辞めませんよ、俺。

私の第3章はこれからです。

(私が撮った写真ではありません。

登山が趣味の同期の写真です)

 

 

引退云々は冗談ですが、嬉しくて励みになりますね。

昔は患者さんにそういうことを言わせてはダメだとか、

そういうのをモチベーションにしてはだめだとか

自分を厳しく律してきましたが、

最近すこし丸くなってきたのかもしれません。

 

 

 

6月 12, 2023

初診予約がなかなか取れない理由。

本日も沢山の初診希望のお電話を頂戴いたしました。初診受け入れ中止のためがっかりさせてしまい大変申し訳ないことです。

だいぶ前にご予約いただいていた方の初診の診察もまだ続いています。初診再開までにはまだ時間がかかりそうです。通院中の患者さんのご家族などについてのご相談は診察な時にでもお伺いして当面の適切な対応を一緒に考えます。

繰り返しになりますが、当院の初診はかなり詳しい問診があります。

通常臨床心理士が毎週50分で1−2ヶ月かけてヒアリングするような内容を駆け足で60分(〜90分)で問診します。(相当端折ってはおりますが)人生のポイントとなるところを急ぎ足で振り返っていただきます、

病歴が長い人は特に人生の出来事と経過を時系列でまとめて来ていただけると、診断や治療の説明をする時間が確保しやすくなります。途中で切り上げないといけない時もたまにあります。まあ、そういう時は最初からわかっているので、できるとこまでやろうという考えに切り替えます。

ですから、ホームページにも記載してありますように、ご本人が受診に積極的でないかたや、あまりご自身のことを詳しく話したくないかたは受診されぬようお伝えしています。

私も一つのあたまでいくつもの思考をマルチチャンネルでめぐらせながら、全神経を集中させ診療しています。

なるべく早口にならないように、急かさないように配慮しつつも自分自身は脳みそ全速力ダッシュです。

今までもそうしてきましたが、診療は患者さんの同意が得られれば医療専門職の方で信頼できる方ならば見学も許可しています。

私の師匠もそうでしたし、公開しても恥ずかしくない診療を続けたいと思っています。

また、昔のような密室での診療は昨今問題が生じることがあります。

当院ではいつでもドアはオープン。スタッフの出入りもありますので、密室ではありません。

初診はかなりエネルギーをつかいます。

 

今日は大学の先輩であり、埼玉医大総合医療センターの吉益教授のご講演もありました。私が見上げるほどのご身長ですが、だれよりも紳士的で優しい先生なのです。知性があり頭が整理されている方は憧れます。

 

これから税理士との打ち合わせのための資料をつくります。

 

とにかく、好きなだけ眠りたい。

これが今の私のささなかな願いです。

6月 10, 2023

キュウキュウDAY。

今日もスケジュールがギュウギュウDAY。

しかも、突然のキュウキュウセンターから

キンキュウの診察の依頼。

人に重症の怪我を負わせた精神疾患の方を県知事の命令のもと

強制入院させるか判断する措置入院診察もありました。

 

さらに、他院で新事業を展開するということでご挨拶にお見えになりました。

昼休み返上です。

やはり診療後半、患者さん70〜80人を超えたあたりから背中と首がバキバキで頭がクラクラしてきます。

開業時に先輩からは真面目にやっていれば50人くらいで疲れるのでその位を目処にしたらよいのでは、とアドバイスいただいたことがあります。同感です。多すぎる患者数のクリニックは診察をしていなかったり、精神療法が全くなかったり、患者さんの財産となる診療情報提供書が一行だったりと、ひどいところが多いのです。

今週も目一杯働きました。

まだしばらくは初診受け入れは中止のままになりそうです。

 

あとまわしにしている仕事が頭をよぎります。

 

強い絆に感謝、弁護士先生とのお仕事、打ち合わせが早くできるように準備頑張ります!

(なんのこっちゃ?)

 

芍薬のボリュームがすごい!

 

6月 10, 2023

メンタルクリニックは薬を出すだけ?

今日も忙しく後半は嫌な頭痛も出現。

60人を超えたあたりでキツくなってきたので、アセトアミノフェンを服用し、診療を続けます。

 

なんと、大谷翔平選手と想定外のつながりを持っている方もいて、大変驚きました。

世界は狭い!?

サインもらえないかな?笑

いやいや職権乱用はいけません。。。

 

 

3月から5月は転居によるお別れの季節です。

 

しかし、最近は転居後も当院に通院してくださる方が増えてきました。

東京から通院して下さる方、

はたまた広島や仙台、茨城、岩手、山形、千葉などからわざわざお越しくださる方もいます。

 

私にとっては想定外だったのですが、

そのような患者さんから言われることは、

「受診して話すとモヤモヤした不安が言葉になって消化されていく」

「色々な振り返りをできたことで自分のことが少しずつわかってきて、冷静に対処できるようになった」

「話しにくるのが楽しい」

とまで言ってくださるのです。

 

私はおしゃべりでもなく、話もつまらないのです。

ひたすら真面目にやっているだけです。

私はメェ医ですが、名医ではありません。

山羊さんメェ医です。

本気出してこれくらいのつまらなさです。

(長文です)

思えば、私の師匠は力動的精神医学と児童精神科を専門とされていました。

その影響で、開業時は患者さんの生い立ちとか心理学的なことにやや偏った診察をしていたように思います。

 

その後は認知行動療法の行動活性化、あるいは行動療法に力を入れたり、

マインドフルネスを一生懸命やっていた時期もありました。

患者さんと一緒にヨガをしたり、瞑想をしたりということも。

EMDRなどのトラウマ治療も勉強したり、

試行錯誤していました。

 

しかしどこかスッキリしない感じがあったのですが、

発達障害、あるいは非定型発達の理解が進むにつれて、

いろいろなパズルが解けてきたのです。

ここ数年は発達障害を理解しようと相当勉強してきました。

心理的に考えても仕方のない脳の発達特性と、その後の心の傷つきを丁寧に分解しながら理解を進めていくようになりました。

もちろん、まだ道半ばですが。

 

患者さんには、自分自身が不安を感じている、

あるいは傷ついているんだ、ということに気がついていない人も少なくありません。

言葉にならないモヤモヤしたものに、私が名前をつけてあげるのです。

「不安だったんだね」

「怖かったね」

「辛かったね」

「腹が立ったよね」

「悔しかったよね」

ピッタリくるまで、言葉を探りながら確認していきます。

特に非定型発達の人は自分の状態に気が付きにくい人が多いのです。

 

まずは、自分自身が不安であること、傷ついていること、それらをありのままに見るという行為が大変重要なステップになります。

マインドフルネスの一つのあり方と言えます。

 

そして、どういう経緯で傷ついたのか、どうして傷ついたのか、

何を失って、怒りや不安を感じているのか、

振り返っていきます。

もちろんPTSDの症状が強く出ている方にはあまり深く突っ込みません。

 

さらに、不安に対する心の守り方は人それぞれタイプが異なりますので、心の防衛方法についても明らかにしていきます。

これらを言葉にできるようになることは重要ですが、それだけでは十分ではありません。

文章にしたり図式化することで可視化します。

実はこの目的もあって、当院では予約表を連絡表がわりに使っています。

何も書かなくても結構ですが、上手に使っている方も少なくありません。

限られたスペースだからこそ威力を発揮します。

 

そういうことができるようになってくると、客観的に自分を見る力が醸成されていき、

それだけで不安に圧倒されなくなったり、傷の癒やしが始まります。

 

ここまで来れた方には、過去の傷つきを癒していく方法を共有していきます。

ケースバイケースですが、最終的に子供の頃に傷ついた自分を慰められるのは、大人になった自分です。

 

キャッチボールをしているうちに患者さんが成長し、一緒に成長している感覚が得られ私も喜びを感じます。

実は、開院当初からロゴに込めた当院の精神療法の柱としてポジティブセラピーを発展させてきました。

ポジティブサイコロジーやポジティブ精神医学の出現を知らずに私が独自に発展させてきたものです。

従来の認知行動療法のように患者さんの欠点やマイナスを指摘することも大事ですが、

ポジティブ感度を徐々に上げていけるように合いの手を入れるようにしてきました。徐々にタイミングがわかってきました。

もしかしたらこれが私の精神療法の中で一番治療的かもしれません。

 

私の精神療法の一例です。

 

これを行う素地を作るためには初診で60分以上詳細に問診する必要があります。当院では資料の読み込みなど合わせて90分は費やします。

(もちろん病気や人によって精神療法の内容は大きく変わります。)

 

上記のような精神療法が必要ない方も多いですし、IQの低い方は精神療法よりも環境調整が重要です。

また、安定していて維持療法の方にはドリフターズ外来(飯食ったか?トイレ行ったか?早く寝ろよ!のシンプルな診察)をすることもありますが、

診察の中では患者さんからの質問は必ずお答えします。

「わからない」ということもありますが、ご質問には正直にお答えしています。

「わからない」というのは現在の精神医学ではまだわかっていないこともありますし、

単に私が勉強不足で知らないということがあります。

どちらなのかはっきりお伝えします。

もし、私が知らないことで、患者さんの治療にとても重要な質問だと私が感じたら、宿題として持ち帰らせていただきます。

 

質問に対して答えないという精神科医はいるようですが、私は必ず答えてきました。

もし質問に答えてくれないという感想を抱いている方がいるならば、一部の強迫性障害の方かと思います。

強迫性障害あるいはASDの強迫・こだわりによって、毎回10個くらい詳細な質問をレポート用紙に書いてきて質問する方がいます。

治療の開始時点では全てお答えするかもしれません。

しかし、徐々に「質問を2〜3個に絞ってください」とお伝えします。

質問一つが大きなテーマの人は毎回一つに絞ってくださいと伝えます。

 

あなた一人に無限に時間を使えない(資源はみんなで分かち合っている)という現実検討を持っていただくためのメッセージでもありますが、強迫症の治療的な意味を考えての指示となります。

強迫症は物事が自分の思い通りにコントロール(支配)できないことに不安を感じる病気です。(不安を打ち消すために完璧にして心を守ろうとするのですが)

自分なりに完璧にしたいのです。

強迫症の治療は、完璧にしなくても大丈夫だという安心感を手に入れることです。

世の中は思い通りにならない、支配できないものだと理解してもらうことが重要です。

10個の質問(不安に感じていること)を毎回解消させてスッキリするということを繰り返していても、

よくなりません。

全部は解消しない、少しモヤモヤした状態、少し不安な状態のまま耐えるという練習が必要なのです。

そのような意味があって、質問を2−3に留めて、あとはモヤモヤしたまま次回までとどめてくださいと伝えるのです。

ご説明しても納得されない方の場合は、「質問にも答えてくれない!」と攻撃的になってしまうのです。

信頼関係ができないのですが、当院では去る者負わずの姿勢です。(逆に他院にかかっている人に治療を開始して患者さんを手招きするということもしません。)

 

詳しく説明していくと精神療法の受け答えには一つ一つ意味があることが多いのです。

 

短時間でも意味のあるやり取りだとわかってくれる患者さんはどんどンよくなるし、

転居しても続けたいと言ってくださるのかなと思いました。

 

当院の治療ポリシーとして、心理士のカウンセリングは行わないと明記しています。

さらに精神科医によるカウンセリングも特殊な例を除いてやらないと明記しています。

カウンセリングと精神療法を私なりの表現で区別しています。

精神療法は通常の診療費用の中で、言葉による治療を意味します。

カウンセリングは(現在のところ)自費で構造を決めて(毎週何曜日の何時から何分とか)

行います。カウンセリンぐはどんなスタイルがあっても良いし、ただ愚痴や話を聞くだけというのも実際に少なくありません。

精神療法はなんらかの治療効果を期待した対話による診療なので、ただ一方的に話を聞くというのは治療ではないと思っています。

 

精神療法の範囲内でできることと、要求されてもできないことがあります。

急性期で症状が重い場合は、カウンセリングに近い形では精神療法は行いません。

勘違いしている方が多いのですが、うつ病の急性期に認知行動療法は行いません。

また、初診1回で問題を解決することを期待している方もおられますが、それができるような内容はもはや病気ではありません。

とりあえず1回だけかかりたいという方は遠慮していただいています。

 

他の精神科機関では、初診3分でパッと薬だして(精神療法をやらずに精神療法費用を請求して)おしまいというところも時々あるので、開院当初は話を聞いてもらいたい人は当院にいけと回されてくる人も多かったのです。

しかしその中のほとんどの人が精神療法を望んでいるわけではなく、ただ文字通り話を聞いてほしいとか

カウンセリング的な内容を求めている人がほとんどでした。

話を聞いてほしいという人が殺到してしまい、交通整理が大変でした。

無駄な労力で疲弊してしまうので、その辺を解決するために

「カウンセリングを行なっていない」と明示したのです。

とにかく話を聞いてほしいという方には「ご期待に添えない」とお伝えしてきました。

 

お電話の段階で、その方が何を望んでいるのかわかるようになったので、

今ではほとんどミスマッチは生じなくなってきました。

 

精神科って難しいと思いませんか?