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12月 25, 2022

いろいろ書きましたが。

今までの印象に残った精神科に偏見を持っている方々についていろいろ書きました。

関わってきてマイナスの言葉を放ってくると言うのは、強い関心があるという裏返しです。

精神科や精神科の薬に対する偏見が強い方ほど、実はご本人が大きな問題を抱えている方が多いように見えます。

関心があるけれど、自分は問題ないと思いたい、自分自身の問題を認めなくない(否認)ケースも多くあります。

またはマウンティングを取ろうとしてくる方は、コンプレックス(自己愛)があるかもしれません。

相手が立派に見えたり、もしかしたら有能かもしれない、と感じてしまうと、自分の心が痛み、妬みを感じて相手を叩きのめしてやりたいという攻撃性が出てきます。

そういう方達の関わり方を明らかにしましたが、普段の診療ではもちろんこんなことは滅多にありません。

有り難くも当院をとても信頼してくださる他科の先生もたくさんおられますし、

関わっている医療機関は私が尊敬している先生ばかりです。

通常のやりとりだけで信頼関係が醸成できることもありますが、やはり医師会などで顔見知りになっていることがとてもポイントになっていると思います。

ご依頼いただいても対応できないこともありますが、お引き受けした内容に関しては全力で回答します。

すると私がわからないことをいろいろ教えていただけるのです。

教えていただいたら、ありがとうございます、

間違えたら、ごめんなさい、

至ってシンプルなコミュニケーションですが、

しみじみと有難くいつも助けられています。

一点注意しなければならないのは、きちんとした診療をされている先生に頼りすぎると

ご負担をかけてしまうので、そのようにならないように気をつけています。

特に信頼関係のできていない患者さんは紹介しないようにしています。

クレーマーを苦し紛れに他の機関に紹介する方がいますが、禍根を残します。

当院に初診のお電話をいただいたものの、対応いたしかねる内容だった場合に

「じゃあどこに行けばいいんだよ!」と怒鳴られることがありますが、

他の機関の名称をお伝えしないのはこのような事情によるものです。

当院は他の機関との信頼関係も大事に考えています。

 

ただ、これだけ精神科や精神科の薬に対して不信感がある人がいるということは、そのような精神科医が実在してきた結果であるとも言えます。「体のことはよくわからない」と言って薬の副作用を無視するような精神科医、患者さんの背景を無視して5分程度の初診で薬物依存を作り上げる精神科医。意外かもしれませんが、若手の医師にはそのような人は少なくなっており、むしろベテランの精神科医にそういう医師がいました。若手の医師は研修医時代にいろいろな科を回って勉強するシステムになったこと、精神科医の自浄努力により教育がされるようになったという時代背景があるかもしれません。

そういったことを踏まえて、精神科医自身が研鑽を積んで、信用される医療を実践していかなければならないと一層気を引き締めたいと思います。

12月 25, 2022

精神科薬副作用ー精神科医編

医師のお母様。当時のさいたま市では人気のクリニックでうつ病と診断され、治療を受けていた。スルピリドというお薬を主体に処方されていたが、日に日に症状は悪化し、焦燥感が強くなってきたが、何ヶ月間も撃つ手なしで経過していて、医師の息子さんが転院を希望。先方の診断ではうつ病が重症化しているという趣旨で、紹介され私が担当になった。すぐにスルピリドの副作用であるアカシジアが出ているとわかった。アカシジアとは抗精神病薬の一部で出現することのある副作用で、とにかく非常に辛くて苦しい副作用なのである。座っても寝てもじっとしていられないソワソワした感覚は地獄のようなものである。私は経験してはいないが、そのような患者さんを何人も見て、これほど苦しい副作用はほかにないと思っている。一刻を争って対処してあげないといけない副作用なのである。当時のガイドラインでは原因となる薬を止めて経過をみるという方法が推奨されていたが、一刻も早く症状を治めるために、私は英国では使われていたベータブロッカーを含めたメディケーションも加え、全力で加療に当たった。努力の甲斐があってか、徐々に楽になり、元々のうつ病の治療薬も本人にあったものを探してどんどん元気になっていた。(精神病理や老年期うつ病あるいは高齢者のうつ病に詳しい専門医もご覧になっているといけないので、念の為記載しておきますが、その後10年間血圧などでフォローしていますが、レビー小体病などを認めておらず、至って良好な経過をたどっています)

同じような時期に隣市の初老医からも不安神経症という大雑把な診断名で1人の患者さんが送られてきた。やはりアカシジアで焦燥感が出ている患者さんだった。

その時は、開業しているクリニックの精神科医はよく勉強されていないのだと感じていた。

その後、さいたま市の先生とお会いすいる機会があったが、大変勉強熱心でいつも新しい知見を取り入れている精力的な先生だと知った。だから、たまたま状況が見えなくなってしまったのかな、と振り返る。

どんなに立派な先生でもその時に気がつかないこともある。医師を変えてみてちがう視点から見てもらうというのも悪くない。

もう一方の精神科医は毎回とても時代遅れの治療と診断名、そして誤診というセットで患者を送って来ていたので、そちらは昔の精神病院勤務の知識のままで勉強不足の先生だったのだろう。

 

1人の精神科医で行き詰まったら手を変えてみる、というのは患者さんにとってメリットがあるかもしれない。

私も私の治療で行き詰まったケースでは転医という選択肢もあることは正直に伝え、1人で抱え込もうとはしない。

見捨てるというのとは話が違う。

自分に見えていないことがきっとあるはずだから。

 

12月 25, 2022

精神科薬の副作用ー性機能障害。

お薬は効果を期待して使うものですが、好ましくない副作用も生じることがあります。

新しくお薬を処方した時はお薬の副作用などないか必ず確認します。

患者さんは大体気になることを教えてくれて、それに対する対策を立てたり、お薬をやめてみたり、変えてみたり話あいながら治療を進めていきます。

しかし、患者さんから相談しづらい副作用というのもあります。

SSRIあるいはSNRIなどの薬剤で、性的な感覚が鈍くなってしまうことがあります。

現状では一般的に使用頻度の高いフルボキサミン、セルトラリン、パロキセチン、エスシタロプラム、デュロキセチンなどの薬剤です。

まず、中年男性はすぐに教えてくれます。

でもなかなか言えない人もいると思います。

若い女性が教えてくれたことは今までで数えるほどです。

しかし、これは副作用が少ないのではなく、統計的にはもっと沢山いるはずなので、

おそらく相談できずにいるのだと思います。

なんか理由も言わず、その薬を飲みたがらない、という女性は沢山いました。

正直にお話しにならないのでわかりませんが、その中の何割かは性的な副作用が嫌だったのではないでしょうか。

私の方も、初診で処方するときにいきなり性的な話をするのもどうかと思い、お伝えしないこともあります。

しかし、マイルドな表現で最初の段階でお伝えすべきだと考え、表現の仕方を検討しています。

 

また、スルピリドをはじめとしたドパミン拮抗薬と分類されるお薬は生理が遅れたり、乳房が張って時に乳腺炎様の痛みを伴ったり、乳汁が出たりすることもあります。お薬をやめれば大概は1〜2ヶ月で徐々に戻っていきます。

若い女性には第一選択薬とはなりませんが、どうしても今の段階ではこれしか使えない、という場合もあります。

その時は最初から副作用のお話をしておきます。

 

もしかしたらこれは副作用なのかな?と疑問に思ったら他の科の内容かもしれないと思ったとしても、とりあえず診察時に主治医に投げかけてみてください。当院では誤魔化したりせず、きちんと向き合って説明します。

 

 

12月 25, 2022

漢方薬の副作用-薬剤師編。

医療情報にも流行がある。

漢方には副作用が全くないと誤解している人が多かった時代もあったが(いまだに多いかも・・)、漢方にも副作用があるのだということが一般にも少しずつ広まってきた。

例えば、漢方薬の一部に含まれる甘草という生薬によって血圧が上がってしまうことがある。

だいぶ古い話になるが、認知症には抑肝散という漢方が流行っていたが、生薬として含まれる甘草によって血圧があがってしまう人がいることが抑肝散の普及に伴い知られるようになってきた。

漢方とは違うが、それまで副作用がほとんどないと言われていた下剤の酸化マグネシウムが腎臓にたまってマグネシウム中毒を起こすことがあることもわかってきた。

これらの例のように副作用の注意喚起が医師の間で広まってしばらくして薬剤師の間で広まったりする。

 

私がある患者さんに甘草含有量の少ない漢方を処方していた。

血圧も正常だった。

患者さんが急に薬局を変えてから異変が起きた。

ポイントが付くから変えたという。(そもそも保険診療で値引きをして患者を誘引することは禁止されているので、ポイントを餌に患者を誘引することも違法となるのだが、大手薬局チェーンなどの政治的取引で黙認されている現状がある)

その薬剤師にこういわれたそうな。

「甘草の入っている漢方薬を使っている。血圧があがるかもしれない。処方医はそのことを知らないだろうから気を付けたほうがいい」と。

生薬から勉強している私には甘草が何グラム以上の場合は注意が必要とか、甘草で血圧が上がりやすい人がいるとか、そのような話は当たり前の前提となっています。その時点で変更すべき根拠は何一つありませんでした。

どうして私が副作用を知らずに処方していると考えたのかわからないが、何か疑義があるなら直接こちらに言って欲しい。

 

漢方ではないですが、下剤の酸化マグネシウムについても以下のようなやり取りが。

私が若くて腎臓もばりばり元気な人に酸化マグネシウムを低用量処方していました。

「酸化マグネシウムを続けて飲んでいると中毒になります。処方医は知らないと思いますので気をつけたほうがいいですよ」

もはやここまでくると、ただ自分が医師より物知りな薬剤師であるとマウンティング取りたいだけだとわかります。

マグネシウム中毒になる人はごく一部です。

高齢者など腎機能がおちているということがまず前提です。

そういう方に量が多めの酸化マグネシウムを継続処方していると中毒が生じかねないのです。

怪しい人は腎機能とマグネシウム濃度を測ります。

もはや医師の間では副作用も常識として使用されている酸化マグネシウム。

医師が知らないだろうと決めつけている根拠はわかりませんが、精神科医だから知っているはずがないと決めつけられたのでしょうか?

 

患者さんそれぞれ背景が違います。副作用も人によって出現する可能性や出現した場合のリスクも違います。

その患者さんに可能性の低い副作用のリスクを強調して不安に陥れることで自身の存在感を高めようとする薬剤師がいることは残念です。

 

以前は近隣の薬局との合同勉強会を開催していたこともあり、どういう意図で処方しているのかお伝えできる機会もありました。

患者さんがどこの薬局に行くかわからない状況だと難しいですね。

12月 25, 2022

精神科薬の副作用ー薬剤師編。

30代男性。うつ病の診断で、他院から転院。色々薬を使ってみたが良くならないという。

紹介状を用意してもらった。

私は前医からの紹介状は必ず用意してもらうが、実は前医の診断は鵜呑みにしない。

もしかしたら誤診かもしれない、という目で見ている。

うつ病と書いてあってボーダーラインパーソナリティだったり、

統合失調症だといわれて実は発達障害だったなんてこともしばしば。

治療は結構変わってくる。自称「うつ病」はもっともあやふやな診断名だ。

じゃあ紹介状なんていらないじゃんという人もいるかもしれない。

しかし、前医がどうして誤診したかその過程までわかると、かなり深いところまで理解ができるようになるから前医からの情報は有用だ。

 

と、ものすごい話がそれたが、本題に戻る。

うつ病にはSSRIを使うべし、みたいな流行があった。

でも当時の薬では力不足でなかなかうまくいかないことも多く、SSRIの増強療法が色々考えられた。その中で炭酸リチウムを追加するとSSRIの効果が増強され、症状が良くなることもあるという知見が大学病院では常識となっていた。しかし添付文書上はSSRIと炭酸リチウムは併用注意の薬剤である。SSRIの作用が強く出てしまうことがあるためである。その性質を逆手にとってSSRIの効能を最大限に強化したのである。

私も大学の研究会で得た知識をもとにSSRIに炭酸リチウムを併用して増強療法を行なった。

するとその男性の親戚であるという薬剤師が急に出てきて、「SSRIと炭酸リチウムは併用してはいけないのに、そんなことも知らないで処方してヤブ医者だ」とがなりたてた。

その男性には最新の増強療法だと説明していたが、親戚のいうことの方を信用していたので話は通じなかった。

横やりが入って患者さんも親戚のいうことを信じていたので、私も何とかしてあげたいというモチベーションがうせてしまい、

「その薬剤師と相談してやぶ医者じゃないところにかかったら?」と大人げなく突き放した。

長年良くならなかったというのは、そもそも不信感があって治療にうまく乗らなかったのかもしれない。

今振り返ると背景に発達の問題があったように思う。

 

医師であれば皆さん経験する横やり。

多くは親戚の看護師や薬剤師でほとんどその分野の知識がないような人がいきなり割り込んでくる。

 

医療従事者の敵は医療従事者だったりして。

 

まあ、実際に第3者だからこそ見えてくるということもありうるわけで、聴く耳は持ち続けたいと思う。

でも、マウンティング目的で適当なことをいうやつは許さん、笑。

 

12月 25, 2022

漢方薬の使い方-内科医

慶応病院で研修医としてすごしていたが、精神薬理を専門とする有名な先生が私の最初の指導医として熱心にご指導してくださった。

オールマイティな先生で、薬理が専門と言いながら、精神分析をはじめとした精神療法、家族療法などかなり熱心に勉強され、とてもバランスのとれた臨床をされていた。

しかも、当時はあまり一般的ではなかった漢方薬も勉強されていた。研修医には漢方の難しい概念は飛ばして、こういう時にはこれを試してみなとシンプルに実践的な知識を教えてくださった。

 

その後、今から20年近く前のこと。

同じ病院の先輩が漢方にはまっていて、「今度勉強会があるから参加してみませんか?」と誘ってくださった。

所謂気血水という基本中の基本の講座だった。

精神科の治療になんとなく限界を感じていたので新しい世界に関心を持った。

大野修嗣先生の講座を受講しまくった。

もっと知りたいと思って、大野先生を追いかけて小川町の診療所までいって実際の診療場面も拝見した。

 

それからはどんどんはまり込み、とにかくありとあらゆる漢方を処方しチャレンジしてみた。

もっと本格的に勉強したいと思い、東邦大学の三浦於菟(オト)教授、田中耕一郎准教授のところで私が身動きの取れる日曜日にハイレベルな講義が受けられるということを知り、毎回高速道路を飛ばして勉強しにいった。

毎回有名な先生がゲストとして講義をしてくださり、生薬の味見もできたり、

東洋医学の考え方、生薬一つ一つの詳しいお話を楽しく勉強し、どっぷりと漢方に浸かった。

しかし、漢方の専門医になるためには、常勤医として漢方専門医研修認定施設に一定期間勤務しないと専門医資格が得られない。

そんな時間のなかった私は専門医を取得することにはこだわらずに精神科での臨床を優先することにした。

 

それまでの漢方のイメージって、「長ーくのまないと効いてこない」というのが世間でのイメージでしたが、

意外と頓服に使えるような切れ味の鋭い漢方なんかもあったりして、服薬のタイミングとかもいろいろ考えて投与すると結構いいことがあります。

 

例えば、八味地黄丸。

大体高齢になってくると、心臓のポンプ機能や筋肉のポンプ機能が弱って血のめぐりが悪ったり、腎臓が少し弱って体に水分がたまってしまうことがあります。

夜睡眠のため横になると、下半身にたまっていた水が心臓に戻ってきて、めぐりだすと腎臓で尿が生成されます。

すると夜間尿で何回も起きてしまう方がいます。

 

そういう時に、八味地黄丸を少し眠前のみ服用してあげると夜間の尿の回数が減ることがあります。

そのような処方をしていたところ、ある患者が内科で私の処方を見せたようです。

するとその内科医は「漢方は1日3回長期間のまないと効かないもの。こんなでたらめな処方をしているのはやぶ医者だ」と患者さんにいったそうです。

無知な上にライバル心むき出しでびっくりしました。

当時は漢方に詳しくない先生はあまり見たことがない処方だったかもしれませんが、今ではよく見る当たり前の処方となっています。

あの内科医は覚えているのでしょうか。

 

12月 25, 2022

精神科薬の副作用ー整形外科編。

1、中年女性。体の痛みなど不定愁訴で整形外科を主体とする病院を受診。

整形外科は、体育会系で大雑把、そして言葉遣いも荒々しい先生が他の科よりほんのちょっと?多い。

私と仲がいい整形外科医は真逆の先生ばかりであるが。

その女性は、整形外科医に「あんたは頭がおかしいから精神科に行って診てもらいな」と言われたのでこちらにきたと述べた。

そういう言葉を使っても許容されるキャラクターというのは信頼が厚い昭和のドクターといえるのかどうかよくわからない。

色々お話を伺ていると、どうも夫のDVが症状と関連しているようだった。

DV夫婦っていうのは結構難しい。

周りが「そんなの早く別れなよ」といってもあれこれ別れられない理由を述べて、なかなか離れようとしないことがある。

共依存という問題が背景にあったり、被害者面して実は妻の方がモラハラがひどく、一方的にひどい言葉を夫に浴びせ続け、口下手で思うように言い返せない夫がキレてしまって手を上げているというケースもある。妻には自分の不満の捌け口となるDV夫が必要だったりする。あるいは、こんなダメな男を支えられるのは自分しかいない!と本質から目を背ける人もいる。

だから一方的な話では本当のところはわからないことも多い。

とりあえず、本人の問題はさておき、夫のDVをストレスと感じて体にあちこち症状が出ているようだったので、対症療法で薬を処方した。初診時に出した薬は劇的な効果でたちまちに症状が消失した。

整形外科で患者さんがそのことを報告したら、その先生に「精神科の薬なんか飲んでいるから気狂いなんだよ」と言われ、自分でももう良くなったと思って薬をやめたそうだ。そうしたらまた症状が出てきたのでなんとかしてほしいという訴えで再診にきた。

伝言デームで誰がどのように言ったというのは、間に入っている人の意思が介在しているので、話が変わってしまうこともある。

整形外科医が本当にそのようなことを言ったのかもわからない。時々直接問い合わせて聞いて事実関係を確認することもあるが、

今回のケースも筋は通っていないので、患者の問題も大きいのではないだろうかと感じた。

結局薬を飲むか飲まないか最終判断したのは患者であり、その理由づけに整形外科医を利用したに過ぎない。

服薬を無理強いする医療には興味がない。また、薬なしでパッと症状をなくす魔法もかけられない。(意外とそう言う要望をおっしゃる患者さんは実在する)

「飲みたくないなら薬を飲まなくていいですよ」と当院は終診とした。

すると夫からチンピラ口調でクレームの電話が入った。症状があるんだからなんとかしろという内容だけでなく、慰謝料を払え的な内容も含んでいた。

おう、そうか、こうやって夫を利用するためにDVだのなんだの言いながら夫を引き連れて来院するんだな、と状況が見えた。

「これからそっちに向かうぞ!」などと何かわめいていたが、「警察呼んで待っているからちゃんと来いよ」と伝えると結局来なかった。

それにしても整形外科医のいう「飲むと気違いになる精神薬」ってなんのことだったんだろうか?

 

2、サインバルタの副作用

うつ病でサインバルタを処方していたおばあちゃん。

サインバルタは当時うつ病に適応があったが、腰痛にも適応が取れ、製薬メーカーが整形外科医を集めて講演会を頻回に開催してサインバルタの処方を大々的に宣伝していた。

お薬手帳も見ない、薬の副作用にも無頓着な、大胆な先生も結構いるのに大丈夫なのかな?と心配していた。

おばあちゃんが腰痛で◯〇クリニックというどこの団体にも属していない営利団体的な整形外科にかかったそうな。

しばらくして、おばあちゃんが胃の調子が悪く食事が喉を通らなくなって弱ってしまったという。

何が起きているのか色々調べているうちに〇〇クリニックからサインバルタが重複処方されていることが判明した。

お薬手帳を見ない整形外科医、重複処方が出ていても無視するその門前薬局。

なんだかな〜。

 

12月 25, 2022

精神科薬の副作用ー心療内科医編。

複雑な生育歴の初老の女性。もう20年近く品川の心療内科に通っていた。いろいろなストレスがかかっているときに、テレビに出演していた心療内科の女医にかかりたいと思い、上尾からはるばる受診しに通った。不安を感じると胸がざわざわして、心電図などには異常を認めなかった。心療内科医はシンドロームXだと診断し、デパスを処方した。不安を感じたらいくらでも飲んでいいと指示した。患者さんは完全にデパス依存になった。少しでも薬が切れると、そわそわざわざわ落ち着かなくなったりイライラしたり変な汗がでる。そのように訴えると、栄養が足りないと説明された。毎回採血し、高額なサプリを服用するよう指示された。1回数万円単位のサプリは経済的に厳しかったが、頑張って購入していた。いよいよお金が底をつき、買えませんと伝えると、女医はほとんど無視するようになった。つらくなって、当院に転院を希望した。紹介状を準備するよう伝えたところ持参したきたが、20年近くかよった通院経過どころか診断名も記載されていない過去最凶の紹介状だった。しっかりと紹介状作成料は請求されていた。彼女の20年の通院は何の役にも立っていなかった。それどころかデパス依存で離脱症状に苦しまされていた。

デパスは今やアメリカでは大麻よりも依存性が高い質の悪い薬だと評価されている。私も一般の外来患者さんに新たに処方することはない。

今回はデパスをやめていくつもりがあるなら治療に付き合うという約束で転院を受け入れた。

漢方を中心に身体症状症に対応し、今はデパスはどうしてもつらいときに頓服でたまに服用するだけで、離脱症状も認めていない。

栄養療法も確かに大切で私も部分的に取り入れているが、高額なサプリを売りつけるおかしな商売をやっている心療内科医もいる。

精神科医でも光トポグラフィーで確定診断ができるかのような誇大広告、脳の磁気刺激によりあらゆる病気がすっと治ってしまうかのように誤解させるような誇大広告をして高価な治療費を支払わせ続けるという詐欺商法をやっている者も一部いる。

光トポグラフィーはあくまで診断の補助で参考程度のものであり、それだけで確定診断することはできないことを説明すべきだ。

磁気刺激の適応が限定されている(中等度以上のうつ病で十分な量の抗うつ剤治療を行なっても改善が認められないもの)し、治療効果の持続期間も限定されるということを説明すべきだ。

どの業界にも詐欺で儲ける者がいるので注意すべきだが、TVで売名行為を行っていると信じてしまう患者も少なくない。

リテラシーって言葉があるけれど、信頼できる相手か見極めるのは本当に難しい。

 

悪を正そうとすると〜べき〜べきというメンタルヘルス的にはよくない思考になってしまうが、良くないことは良くないと言いたい。

 

 

12月 25, 2022

わからない症状は精神科?-神経内科疾患編

以前、大企業でバリバリ働いていた管理職の知人が、私のところに相談に見えました。

「呂律もまわらなくなり、体の力が入らなくなった。字を書くのもやっと、歩くのも大変です。

総合病院(地域では患者数の多い大きな病院)などでさんざん調べたものの、血糖が少し高いとかその程度しか異常を認めないのです。精神的なものじゃないかと言われまして」

一通りお話を伺い、神経所見などとってみたところ、脊髄小脳変性症などの神経の変性疾患を疑いました。

心因らしきエピソードもなく、経過や症状からは解離性障害(転換性障害)らしさは認めません。

ふつうに考えて、まずは神経内科でしょう!ということで、知り合いの神経内科医にお勧めの病院を聞き、そちらに紹介しました。

多系統萎縮症というやはり脳神経の変性疾患でした。

具体的な病名までわからなくとも、これって神経内科の病気かどうかチェックしたほうがいいよね?って国家試験を受ける医大生のレベルでもピンとくる話だと思うのです。

どうして総合病院でそんな簡単なことができないのか?いろいな事情があると察します。

わからないとストレスなんじゃないの?精神科に行け、こういうことがしょっちゅうあります。

最近は、電話で私は何の病気でしょうか?何科を受診したらいいでしょうか?なんて電話も結構かかってきます。

ボランティアでトリアージする余裕はありません。

医療相談として有料でお話をうかがうという選択肢もあるでしょうが、無料で電話ですませたいという方がほとんどでしょうし、そんな時間もありません。

そういったご相談はお断りしています。

実際、トリアージする能力のある精神科はあまりないと思います。

何科を受診したらよいかわからない症状にお悩みの方は、何かで通院中であればその主治医にまずはご相談を、かかりつけがなければ一般内科あるいは総合診療科という選択肢があります。診療科としては総合診療科がベストだとは思いますが、数が少ないので、一般内科であればどの科を受診すべきかトリアージする能力は通常あるはずです。

 

 

 

12月 25, 2022

精神科薬の副作用-糖尿病内科編。

老年期女性。九州にお住まいでしたが、長年うつ状態で苦しんでおられました。九州の医療機関でいろいろな抗うつ薬を処方されたものの一向に良くならず、試しに使ってみたクエチアピンという非定型抗精神病薬が著効しすこぶる調子が良くなったそうです。何年か維持したのち、そろそろとやめてみたものの、やはりうつ状態となってしまい、その後も10年以上服薬を続けておられました。

事情があって上尾に転居され、当院で加療を引き継ぐことになりました。

症状には波があるようで部分緩解の状況でしたが、ご本人も現状維持を望み、同じ処方を希望されました。

特に身体的な既往もなく、体調も悪くないというので、ご様子を伺いながら投薬を継続しました。

ところが急に体調不良を感じ内科を受診したところ糖尿病が発覚し、総合病院に入院。

糖尿病内科の担当医から当科の情報提供および変薬の可否についてお問い合わせのご連絡を頂戴しました。

慌ててご本人と連絡を取り、クエチアピンが糖尿病の発症と関連している可能性があることを説明し、採血など定期的に行って管理すべきところを怠ったことを謝罪し、変薬の相談をさせていただきました。ご本人としては薬を変えることに大変不安をお示しでしたが、血糖に影響しないよう同等の薬効が得られるよう処方を検討し、フォローしていきました。

糖尿病内科の先生とは連絡をとり糖尿病の加療をお願いいたしました。

若い先生で、とても素晴らしい対応をされ、良い連携が取れました。

患者さんも元気になりとても助けられました。

 

非定型精神病薬の中には人によっては血糖値を上昇させてしまうことがあり、定期的に採血してフォローしていくことが望ましいとされています。

3か月に1回の採血が安全でしょう。もともと生活習慣病などで内科を定期的に受診されている方はそちらにお任せすることがありますが、そのような機会がない方は当院で採血させていただきたいと思います。

しかし今回は今まで何もなかったという油断から十分な注意を払わなかったのです。反省し再発防止に努めています。

ただ、実際の診療の中では採血検査でお金もかかりますし、注射が苦手という方も多く、3か月に1回の採血を受け入れてくださる患者さんは少数派です。ぜひ、健康管理のため採血希望とお申し出ください。

そのような状況でも常に目を光らせなければなりません。処方したものの責任です。

 

糖尿病内科編ではなく、私編でした。