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12月 12, 2025

医師の気持ち

医師の気持ち

「患者の気持ち」の反対側──
こんどは、医師として私が感じたことについて書いてみます。

私の診察では、患者さんの生活状況をかなり細かく伺うことがあります。
特に睡眠が不足していると判断したときは、

・朝は何時に起きているのか

・朝食はどうしているか

・日中はどのように過ごしているのか

・夕食・入浴のタイミング

・家事の量や負担

・寝る前に何をしているのか

・布団に入る時刻

などを出発点に、その方の課題に合わせて確認項目を追加していきます。

「家事が忙しくて夜更かししてしまう」という患者さん

先日、うつ病治療のため睡眠時間をしっかり確保してほしい患者さんがいらっしゃいました。
定年前に退職され、年金暮らしのご夫婦。
お子さんはすでに独立し、経済的にも問題のない、穏やかな生活を送っているご婦人です。

ところが話を聞くと、

「家事が忙しくて夜は1~2時になってしまう」

とのこと。

詳しく伺うと、寝る前に長い時間テレビを見ていたり、家事のやり方にも改善できる点が多く見受けられました。
そこでいくつかアドバイスを差し上げたところ──

「先生は奥様が家事をやっていて何もしないでしょう。家事のことなんてわからないですよね」

と、ちょっと刺すような嫌味で返されてしまいました。

実は「家事のプロ」の私ですが…

ところがどっこい。
私は家事のプロと言っても過言ではありません。

クリンネスト、収納アドバイザー などの資格も持っていますし、
正直に言えば、

「あなたとは次元の違うスピードとクオリティで家事できますよ」

くらいの言葉が喉元まで出かかりました……が、もちろん飲み込みました(笑)。

ただ、このやり取りで、彼女のうつ病の背景の一部がはっきり見えました。

柔軟性が乏しく、優先順位づけや臨機応変な調整が苦手という特性
──これが生活を圧迫し、睡眠不足を招き、症状を悪化させていたのです。

それでも「患者の立場なら」と思う

とはいえ、
「鼻から私のことを決めつけて、嫌な言い方をするなあ……」
と、一瞬思ったのも事実です。

でもそれと同時に、こうも感じました。

「もし自分が患者の立場だったら、こういう決めつけをしないように気をつけよう」

医師の側にも心があり、感じることがあります。
しかしそれをどう扱うかは、私たち医療者に課された大切な責任。

そんなことを改めて思い出させてくれた診察でした。

12月 11, 2025

ありがとうございます。

きらきらしたものをありがとうございます。

東京の風が吹きました。

 

12月 11, 2025

患者の気持ち。

患者の気持ちに立ってみると

自分が患者になって医療機関を受診してみると、医者としての日常の視点とはまったく違う景色が見えてきます。

大学病院に入院したときに気づいたこと。
クリニックを受診して「他人のふり見てわがふり直せ」と感じたこと。
そして「こんなふうに患者さんに接したい」と感銘を受けた瞬間。

どれも、私の臨床にとって大切な経験です。

近所の方を医療機関にお連れして気づいたこと

最近、近所の高齢なご婦人に依頼されて白内障手術の相談のため医療機関へ車でお連れする機会がありました。

「医師の説明が理解できるか不安」とおっしゃるので、診察室まで同席し説明を一緒に伺いました。

私が医師に身元をお伝えしていたこともあり、名刺までくださり、非常に丁寧にご対応いただきました。しかしそれは“特別扱い”というより、他の患者さんにも普段から同じ姿勢で接していることが、やりとりの端々から感じられました。

マイナス面も率直に伝えつつ、頭の回転が早く、ユーモアも交えながら、患者さんの理解度や気持ちに寄り添った誠実な説明。
専門用語を連発せず、平易な言葉で、しかも分かりやすい。

「こういう説明の仕方をしたい」という私の理想が、目の前にありました。

私自身、開業以来「中学生でも理解できる言葉で説明する」ことを心がけ、たとえ話をよく使うようにしています。
その延長でブログも平易な言葉を意識しすぎて、最近は砕けすぎてしまいましたが……笑。

そのご婦人は律儀な方で菓子折りを持参していましたが、その医師は丁寧にお礼を述べてくださいました。
当たり前のようで、実は“当たり前ではない”対応です。

別のクリニックで見た、残念な対応

同じご婦人を、別の循環器クリニックにお連れしたこともあります。

そこでは対照的でした。
医師は菓子折りを受け取っても礼を述べることはありませんでした。
(もちろん、そもそも付け届けを受け取らない主義の医療機関もあり、それはそれで筋が通っています。しかし「受け取るけれど礼は言わない」というのは、独特の価値観だと感じました。)

医療行為の面でも、循環器の診察でありながら聴診器すら当てず、採血データだけを見て、生活状況も確認せず、ただ患者さんを一喝するような指導。
しかもその内容が、明らかに的外れでした。

なぜかGoogleレビューは☆5がずらり……。
(理由は、察する人には察するところかもしれませんね、笑。)

説明は「ガイドラインでは」「基準値では」を繰り返すばかりで、柔軟性がまったく感じられませんでした。

この光景を見て、心の中でそっと思いました。

「私も気をつけよう」と。

他院を知ることは、自院をよくすることにつながる

患者さんの立場でほかの医療機関を見渡すと、勉強になることばかりです。

10年前と比べれば、当院もだいぶ改善されてきたと思います。
しかし、まだまだ伸ばせるところ、変えられるところがあります。

このような経験を今後も診療に生かしていきたいと思います。

どの業界であっても、誰に依頼するのか、その選択によって大きな結果の違いを生み出すことがあります。とりわけ医療はひとの命、QOLに直結しますので、

どの医療機関にかかるか、それで人生がかわるかもしれない。そんな思いを改めて感じました。

 

 

12月 10, 2025

ミソフォニア。

周年記念をありがとうございます。

例の件、私は神経的なミソフォニアではなく、特定の人物に対する陰性感情の記憶がトリガーにより蘇っているのだと思います。

 

クリスマスの楽しさを分かち合ってくださり、ありがとうございます。

 

気合いの入った餡子、楽しみにしてます。

 

認知症が進み施設に入所されご卒業されました。患者さんの高齢化に伴い、そのような患者さんも増えています。

わざわざ息子様がいらして「一番つらいときに助けていただいて本当に感謝しています」と涙ぐまれ、私も胸が熱くなりました。

あの時は休み中も何かあればすぐに対応できるようにスタンバイしていました。乗り切れて良かったと思っています。

お別れは私もさびしくなります。

皆様お元気でお過ごしください。

12月 9, 2025

新宿ISETANの風。

人生には三つの坂があるといいます。

登り坂、

下り坂、

そしてまさか。

 

あ、しつこい?しつこかったですね。

 

非番のスタッフが新宿ISETANでケーキを買って持ってきてくれました。

昼休みに皆でいただきました。

 

ISETANのバイヤーさんがお友達だそうで、バイヤーおすすめのお店とのことです。

 

まさか、上尾で新宿ISETANの風が吹くとは。

 

 

12月 9, 2025

初診の受け入れ状況。

年末年始は過密スケジュールですが、

令和8年1月下旬あたりに初診枠をご用意することが可能です。

初診の受付を再開させていただきます。

お電話の前に当院ホームページの注意事項を必ずご確認ください。

よろしくお願い申し上げます。

状況を好転させる良い出会いとなりますようお祈り申し上げます。

令和7年12月9日上尾メンタルクリニック 院長

12月 9, 2025

釣り銭の絆。

わざわざ小銭を用意してきてくれたよ。

温かい絆だよね、

 

12月 8, 2025

うれしいこと。

生活保護を受けている患者さんには、それぞれ複雑な背景があり、そこに至る理由もさまざまです。

他院に勤務していた頃、生活保護から脱却できた方を見かけることはほとんどありませんでした。それほどまでに、生活基盤を立て直すというのは難しい道のりなのだと思います。

しかし今日の診察で、当院に通院していたある患者さんから「仕事も順調に始められてもうすぐ生活保護を抜けられそうです」と報告を受けました。

「ここに来る前は寝たきりだったけれど、ここまで来られたのは先生のおかげです」と感謝の言葉まで頂きました。

もちろん、これは二人三脚の成果であり、何よりご本人が努力を積み重ねてきた結果です。

転換点となる重要なことがあります。

実は今回のケースでも診療を進めるうえで、患者さんが抱える特性に早い段階で気づいています。

しかし、多くの方にとって、自分の弱点に向き合うのは簡単ではありません。ご自身では気づいていなかったり、薄々気づいていても認めたくなかったり、あるいは受け入れるまでに時間がかかったりします。

特性を正確に説明することは、時に患者さんを傷つけてしまう可能性があります。理想的には、ご本人が自然に「自分で気がついた」と感じられるように寄り添っていくことです。

とはいえ、もしそれが自力でできていれば、そもそも受診には至っていないのかもしれません。

そのため私は、できるだけ早い段階(初診であることも少なくありません)で、つまずきの原因となっている特性を、やんわりと、時にははっきりと、丁寧にお伝えするようにしています。

「経過や臨床症状を見ると、ADHDの特性がありそうですね。ただ、自覚症状の検査では点数が低く、ご本人の感覚とは少しギャップがあるようですね。今後の診察で、一緒に特性を掘り下げていきましょうか」

このように、観察と対話を重ねながら進めていきます。

すんなり受け入れてくださる方もいれば、強く反発される方もいます。

どちらであっても、気づきの瞬間には少なからず痛みが伴うものです。

そして、その痛みを越えた先に成長が生まれます。

反発があっても、診療の時間を重ねるなかで、得意な点と苦手な点を一緒に整理していくと、患者さん自身が自覚を育てていきます。

そこから、自分に合う仕事や生活スタイルを見つけられることがあるのです。

当院で生活保護から脱却された方はまだ数人ですが、その瞬間に立ち会えるのは、私にとっても大きな喜びです。

もちろん、働ける可能性のある方もいれば、生育歴や症状の重さから、就労が難しいままの方もいます。

働くことがすべての人にとっての目標ではありません。

その人の背景を理解し、丁寧に見ていくことこそが大切だと考えています。

一方で、生活保護の利用自体を目的化し、精神科をその手段として利用しようとする人も、稀にですが見かけます。

ビジネス的に運営している医療機関では歓迎されるのかもしれませんが、私はそのような姿勢には厳しく向き合います。

医療は一人ひとりの人生に深く関わるものです。

だからこそ、目の前の方を丁寧に、誠実に診ることを大切にしています。

 

12月 5, 2025

精神障碍者手帳2級の方へ。

令和7年12月3日上尾市より重度心身障碍者医療費助成制度の対象拡大について通知がありました。

 

精神障碍者保健福祉手帳2級(自立支援医療併用)をお持ちの方は

令和8年1月より外来での窓口負担がなくなります。

 

1月から3月までは一旦窓口負担は1割お支払いいただき、後日市役所から返還されます。

4月からは窓口でのお支払いが不要となります。

 

生活費が上がっている中、障害を抱えている方には朗報ですね。

埼玉県の他の市町村でも同様の支援が受けられる様です。