今日は良心的な診療を行なっているメンタルクリニックの集まりがありました。
患者さんの社交恐怖の治療は手慣れたものですが、自分自身はあんまり人前でお話しするのは好きではありません。
しかし、ブログでは書けない私自身の体験を皆様の前でお話ししたところ、思いの外、食い入るように話を聞いてくださり、中には「先生のその話、本に書いたらいいよ」とか「先生の話を聞いたら自分の悩みなんか小さく感じたよ」などとすごく褒めてくださったんです。
私としてはそこまでの話とは思っていなかったので、意外な体験でした。
私の話とは関係ありませんが、皆様が憂いていることがありました。
財務省が自分たちの失策に対する国民の怒りの矛先を操作し、開業医が儲けているから医療費が高くて財政赤字なんだという話にすりかえられて、維新の会などの偏った方々がそれを煽っています。
財務省が前段としてやったことは開業医と勤務医を分断させることでした。
勤務医は大変な思いをさせられて、開業医は楽をしてもうけている、そういうプロパガンダを吹聴して対立を煽りました。
精神科に関していえば、開業医はもともと勤務医を10-20年経験してから開業するのが一般的であり、そもそも勤務医と開業医は自由に行き来できるものです。それぞれの良さやデメリットがあって職業選択する話です。
人それぞれですが、私の場合は勤務医の時の3倍は働いていますし、やりたくもないボランティア的な公務も開業医として沢山担ってきました。
診療についてもしっかりとした見立てをすることにこだわっていますので、初診にかける時間もエネルギーもかなり気合いが入っています。
そのために患者さんの数をこなせるわけではないので、収入は今までの3倍というわけには全くなるわけがないのです。
良心的な診療を行なっている多くのところでは収入的には勤務医とどんぐりの背比べです。
メンタルクリニックで荒稼ぎをしている一部のクリニックが悪目立ちしているだけなのです。
それらの荒稼ぎクリニックは「コンビニメンタル」と言われ、毎日営業してすぐに受診できるという利便性が優れている(これは確かにありがたい)一方、初診を数分で済ませたり、診療の質は著しく低いことが少なくありません。
また社会的なモラルに反するような診断書などを即日発行するなどで、問題となっています。
これを悪用する人達には人気です。
依存性の高い薬もホイホイと出してくれるのでそういう方のニーズも満たします。
さらにGoogleレビューで業者などによるステルスマーケットを徹底的に行なっているので、新規オープン直後よりおびただしい数の高得点のレビューが並び、点数が高いからと患者さんが集まってくるのです。
今までの医療にはなかったビジネスの風が吹いていて、それで大儲けしているのです。
それをみて、開業医に偏見が持たれています。
そういった悪徳クリニックを駆逐しようという動きが良心的なメンタルクリニックの間で広がりつつあります。
コロナ禍で日本も大変なダメージを受けました。得ないのしれないパンデミックで医療サイドすらパニックでした。
内科の場合、「コロナでたいして役にもたたなかったのにコロナで一稼ぎした」と批判を浴びています。ちょっとこの論理はおかしいのですが、気がつきましたか?
コロナで役にたたなかった医療機関は感染対策の投資や人的な対応ができなかった機関であり、それゆえコロナ関連の収益はなく、むしろ減収となっています。受診控えが起きたからです。
一方、コロナで一儲けしたところは、感染対策の設備や人的な対応をクリアし、加算や補助金を得て、かなりの増収があったところもあります。
しかし、そのような中、本当にあくどく大儲けしたところがありました。ビジネスの匂いを嗅ぎつけた株式会社です。
に◯た◯クリニックは有名ですね。
コロナ禍にコマーシャルをガンガン流していましたよね。
社長のプール付きの豪邸やロールスロイスが頻回にテレビにでてきます。
かれは医療者ではありません。
コロナ検査を大量に引き受け、大変な利益を得ました。ところが、感染がわかった患者をフォローせず、他の機関に丸投げしていたのです。
美味しいところだけさらっていったのです。
ボロ儲けしているところだけメスを入れれば医療費削減できるのでは、と思います。