今日は忙しかった。
親友の好物のパウンドケーキ、ありがとう。
随分高級なものがあるんだな、東京には。
土日にかけてみっちりと研修を受けました。
今まで数々の研修を受けてきましたが、ベスト5に入るくらい脳に汗をかく中身の濃いトレーニングでした。
EMDRや認知行動療法の研修などスーパーヴィジョンも含めるとかなりしっかりしたトレーニングになります。それらに匹敵するくらいのトレーニングでした。参加した精神科専門医指導医の平均年齢は40代でそれなりに経験豊富な医師ばかりですが、緊張で吐き気がしていたなどの言葉も聞かれ、皆様それなりのプレッシャーがかかっていたようです。
アドリブでロールプレイもありました。一つのロールプレイでは、36歳の男性、建設会社の現場監督が過労でうつ病を発症し、妻と上司に連れられ受診するという設定。その診察にあたる医師を指導する指導医の指導内容を評価するものでした。
私はそのロールプレイで「一見理解がありそうで、否定的なことばかりをいう上司」を演じました。
当院でも会社の方が面談を希望されてご来院いただくことがあります(要予約)
世の中にはいろいろな上司がいます。
その中でも設定にぴたりと当てはまる方がおられたので、その方をイメージして演じたところ、大好評でした、笑。
理解のない上司の部下は大変です。
上司ガチャで人生狂わされてしまうかもしれません。
親ガチャ、上司ガチャ。
人間不公平が前提です。
3月4日、5日と院長が研修のため不在となります。
お不便をおかけいたしますが、臨時休診となりますので、
お電話のお問い合わせは月曜以降によろしくお願いいたします。
なお、もともと予約外受診は受け付けておりませんのでご注意ください。
本日は表題の学術講演会に参加。
仕事と勉強の両立は時間的・体力的にきついものがありますが、
興味があり、少々無理をして聴講しました。
普段の精神医学とはちょっと視座の異なる完全科学的な話題でした。
ファンクショナルMRIは私が神経内科を研修していた時代に普及しはじめて、放射線科での研修では毎日脳のMRIの読影をさせてもらいました。急性期の脳梗塞を診断する有用な画像診断として画期的な技術だったと記憶しています。今後ファンクショナルMRIが精神疾患の鑑別に役立つ可能性が出てきました。そうなってくると精神医学も神経内科学に一部吸収されていく流れが出てくるかもしれません。
そもそも昔は神経内科と精神科は一つの科目だったのです。昔の先生は両方診ていました。
それが専門分化していき二つに分かれたのです。
で、また統一されていくかもしれないというのは面白い話です。
ただ、精神医学を全て脳科学に集約させていくと「人の心」がどこかに行ってしまう気もします。
AIロボットが「心って何?」と混乱しているコマーシャルが頭をよぎります。
少子高齢化でロボットによる介護が当たり前になるかもしれませんが、
どんな世の中になるのでしょうか。
孔子、老子、荘子。
中学高校では漢文の授業を受けていました。
漢文の先生は大変スパルタでしたが食らいついていけばとことん応じてくれる先生でした。
論語や老子哲学をかじりました。当時は漢文を読み下すので精一杯で、しかも論語がメインでしたが、大人になったらじっくり読みたいと思って漢文を保存しておきました。幾度となく襲ってくる断捨離も乗り越え、未だ本棚に保管されています。
最近大学の先輩でうつ病の大家、元防衛医科大学病院長の野村総一郎先生が、老子思想を用いた精神療法を実践されていることを知りました。
ユーモアのある先生でうつ病のジャマイカ理論を提唱されていました。
ジャマイカではうつ病が少ないそうです。
じゃあ、まあ、いっか、と気持ちを楽に持っているからだそうです。
冗談だけど、納得してしまう、笑。
野村先生と現教授の吉野先生が過大評価してくださったのか防衛医大に誘ってくださった時も、医局の中はユーモアが飛び交っていました。
当時の私には事情があり、お誘いを辞退させていただいたのですが、防衛医大に入職していたらだいぶ人生変わっていたかもしれません。
こうなったら漢文を読んでいる場合でありません。
野村先生の本を読んで近道します、笑。
今日は上記に参加。
お世話になっている先生も世話人としてご活躍でありがとうございます。
頭痛に対する鍼治療についても学びました。
当院でも片頭痛の患者さんも多くいっしゃいます。負け戦のときは先輩の頭痛専門医に診てもらい体勢を立て直しますが、私もやれることは尽くしてきました。
さらなる手として鍼治療の力も借りたいと感じています。
いつか、当院でも通院がてら手軽に鍼治療が受けられたら良いな、というイメージがわいています。やはりきちんとした先生に来てもらいたいので、当院は儲けなしで患者さんサービスに徹する形になるかと思います。
本日は臨床研修指導講習会の事前課題。
すでに指導医として後輩の医師の指導に当たっていた時期もありますが、能力不足を自覚しています。
同級生が次々と国の医療政策をリードする人、大学の教授として教育や研究をリードする人、各機関の要人として教育的立場になっている中、私は私、随分と我が道を歩んでおりました、笑。
慶應でも大学勤務にお誘いいただいたことがありましたが、タイミング的に辞退させていただいたこともあり、教育の立場からは遠のいていました。
先日も1級上の先輩が慶應精神科の教授に就任されることを知りました。
私の周りにいた方は皆様とてつもなく優秀なのです。私以外。
一番の落ちこぼれといっても過言ではないのですが、不思議と妬みというものはありません。
私は私の能力の限界を受け入れてしまっているからかもしれません。本当は自分ができるはずなのに、あの人がこのポジションにいて、、、などとは微塵も思えません、笑。尊敬するけど、私は別の次元で頑張ればよいと思います。
今日の事前課題には5時間以上もかかり、結構疲れました。
私に欠けていたことや忘れかけていたことをたくさん気づかせてもらいました。
私の研修医時代のことを思い出しました。
私の世代は今のように色々な科を回って研修を受けるシステムではなく、卒後すぐに専門科に進むシステムでした。
私は内科医になるか最後まで迷っていましたし、身体を診れないのは医師としてのアイデンティティを捨ててしまうことだと当時は思っていましたので、精神科での研修の後、身体科にしばらく身を置かせてもらうことにしたのです。
特にわがままを言って神経内科を長く勉強させてもらいました。
当時の神経内科部長の大生先生は、聖路加病院で研修を受け、内科副医長、医長を歴任。ニューキャッスル大学に留学後、横浜市民病院で臨床研修委員長を務め、診療と教育に従事。その後は2つの大学で教授をされ、キリスト教関連の病院の院長をされていました。
初めての学会発表で緊張していた時に、大生先生が一番前の席に座って、私の一言一言に大きく頷いてくださるのが目に入り、強烈な安心感と肯定感に包まれて発表ができたことをはっきり覚えています。
また神経内科で脳の構造と高次機能の医学書を輪読することになりました。私にどこから読みたいか希望を聞いて、私が一番興味がある大脳のページから読み進めることになりました。このことで、とても学習モチベーションが上がりました。
また、臨床においては神経内科では看取りが多く、牧師としての医師の役割についても教わりました。
いつも温かく包まれながらご指導いただいた記憶があります。
まるで理想の父親像のようなロールモデルとして感じたのでした。
大生先生に限らず、大勢の先生から温かくご指導いただいたことが蘇ります。
いただいた温かさをまた分かち合う。
原点に帰りたいと思います。
この絵見て笑うところじゃないですから、ね?
そういえばこの発表の時に再会したお世話になった呼吸器の先生も慶應の教授に就任されていました。お人柄も素晴らしく、抜群にイケメンで、憧れの先輩でした。
総合病院は色々なことが学べて楽しかったですね。
クリニック畳んだら総合病院に勤務するというのもありかもしれません。
あ、その時になったら雇ってもらえないか。。。
今日は慶應の勉強会。
島田療育センター 児童精神科医 野村健介先生による神経発達症の理解と対応。
一緒に年齢を重ねているせいか、ノムケン先生は研修医の頃とイメージが変わっていないのですが、
逆に言えば、研修医の頃からすでに貫禄があり、とてもしっかりされていたということです。
薬理研究室からいつしか児童精神科の分野に進まれ、私は児童精神科に馴染みがなかった頃から野村先生の勉強会には毎年のように参加してきました。お話も毎回グレードアップしています。
生涯学習の場を提供してくれる大学医局とノムケン先生に感謝です。
今日は地域の病院の睡眠マネージメントについての勉強会。
「睡眠薬フォーミラリー」というのはざっくりザクザクに言ってしまえば、「安全で有効で経済的な睡眠薬の使用マニュアル」というような意味です。
病棟で眠れない患者さんがいたらこういう薬を使いましょう、みたいな。
「不眠にはこの薬を」という感じです。
マニュアルというのは、どんなレベルの人でも、誰がどうやってもそこそこうまくいくようなやり方を示すものです。
専門家がいつでも対応できるわけではないので、睡眠や睡眠薬についての知識が全くない人でも、とりあえず困ったらこうしてみましょうというのは大きな組織では必要なのです。
現時点ではとりあえず使う睡眠薬というものとしては、やはりオレキシン受容体拮抗薬であるデエビゴやベルソムラという選択肢は納得できるものです。
一方どのような立場のどのような医師も「とりあえずデパス(エチゾラム)」「とりあえずハルシオン(トリアゾラム)」は絶対にやめていただきたいものです。ダメ、絶対、だめ!です。後の治療がとても難しくなってしまうのでお願いします。
しかし、フォーミュラリーは睡眠を専門的に扱っている医師の薬の使い方とは全く違うものです。
専門医であれば「不眠にはこの薬」という使い方はしません。
不眠の原因は何か、詳しく評価し、その原因に応じた治療を行います。一律同じ薬を処方などということはあり得ません。
例えば、うつ病の人の不眠に睡眠薬だけ出していても不眠は改善されません。
うつの適切な治療をせずに睡眠薬だけ処方していても、ずっとスッキリしません。
睡眠時無呼吸症候群のある人が苦しくて起きてしまい、眠りを持続できないことで不眠を訴えている場合、睡眠薬を投与しても一向に良くなりません。
むずむず脚症候群で眠れない人にオレキシン拮抗薬を使っても眠れません。
オレキシン系の弱い発達症の人にオレキシン拮抗薬を使ったら翌日起きられないかもしれません。
焦燥感を伴う重症なうつ病の患者さんに対しては夜間しっかりと寝てもらう必要があります。
中途半端な薬でずるずると十分な睡眠が得られないまま長引かせてしまうと、夜間によからぬことを考えて自殺してしまうかもしれません。思い切って不安を緩和する作用のある強い睡眠薬を使うこともあります。
アルコール依存の人が入院を機にお酒が飲めなくて断酒の影響で、離脱症状として強い不眠が出ている場合は、痙攣などを抑えるために悪名高きベンゾジアゼピンを大量に使わないといけない場面もあります。
そして皆様、薬を使って眠るなど邪道、生活習慣をきちんとすれば誰でも良質な睡眠が取れると思っていませんか?
幼少時から虐待環境で夜も安心して眠れない環境にあった人などは、ずっと続く不眠に悩まされ、簡単には眠ることができない人もいます。そのような方には継続的に薬を使って睡眠をとってもらうことがあります。
ですから薬なしで治してほしいと言われてもできないこともあるのです。
専門医の治療はとても複雑です。
薬剤師の方でそこまでの知識がない場合、「フォーミュラリーではデエビゴを使えと言っているのだから、◯◯という薬を使うのは間違いだ!」などと言い出してしまう方が現れることが容易に想像できます。専門ではない病院からトップダウン式にフォーミュラリーを地域に広めていこうという流れがあるようですが、あくまで専門的な知識がない人が簡易なマニュアルを使うという用途であることを十分教育した上で広めていただきたいと思います。
当院でも地域での役割を再認識いたしました。