今日はひどく疲れました。
身体科に身を置いていた頃は、患者さんはあっけなく死んでしまうもので人の命の儚さを嫌というほど思い知ったものです。
いちいちダメージを受けていたら仕事を続けられません。
それゆえ人の死に慣れてしまっていたかもしれません。
精神科医として経験を積み重ねていくにつれ、なぜか人の死がとても堪えるようになりました。
患者さんの人生の物語を知っているだけに、まるで友人や家族を失うような痛みを感じるのです。
これは専門家としては良いことではないかもしれません。
今日はある男性の受診の予約が入っていました。
愛嬌のあるおじさんです。
他院で何年か通ったものの良くならないということで当院で治療を引き継ぐことになった方でした。
かなり苦戦しましたが、なんとか治療もまとまり体調は安定して維持療法を行っており、1ヶ月毎に通院されていました。
上尾にニャンニャンという有名なラーメン屋さんがあって、立ち寄った時に隣の席でラーメンをすすっているのに気がつきました。
幸せそうな表情が印象的でした。
私は外では患者さんに声をかけません。
そっと背中を向けて私もラーメンをすすりました。
仕事帰りに受診するため遅い時間帯でのご来院が多かったです。
私も疲れている時に、なんだかホッとする人でした。
今朝その男性の妹さんという方から電話がありました。
「交通事故に巻き込まれて亡くなりました、
兄がとてもお世話になってありがとうございました。」
悲しくて辛い時に電話をくださってありがとう。
私も帰ったら泣きます。
電話を切りたくないと思いました。
気持ちを押し殺して
診察を再開しました。
多分今日受診した患者さんには私の悲しみに気づかれず診察できたと思います。
しんどい1日でした。
どうか安らかにお眠りください。