お米作っている患者さんからもち米いただきました。
普通のコメは売れすぎてなくなってしまったとのこと。
いろいろ大変だけど価格も上がっていて農家の方にはよかったようです。
彼は元気になってたくましくなり地域の方にも頼られるようになりました。
私もうれしいです。
こういう頂き物は最高にうれしいです。
写真はお世話になっている社長様よりいただきました。
幸せです。

超長文愚痴ブログにつき閲覧危険!
私が通常の初診の受け入れを中止しても忙しい理由の一つに
非公開の「特別枠」と言う謎の診療がある(ここで公開しちゃってるか・・・)。
日曜などの休診日や夜間に親しい人の伝手で依頼のあった方々を特別に診察している。
通常の診察ではないので保険診療では行わないことも多々ある。
ここ最近も毎週日曜医師の初診を行っていた。
今まで相談に乗ったり診察してきた特別枠の人たちもかなりの数になった。
通常の初診枠を確保するのに苦労しているので、もはや休みの日くらいしかしっかりと時間を確保できない。
特に病院やクリニックのトップで働いている医師を始め、多忙すぎて初診の日程調整とか、かなり難しい人もいるので、
お互いに忙しいもの同士やむを得ないかなとも思う。
私は休みなく働き、肩や背中はバキバキだ。
つい最近は、日本でもトップレベルのIQを誇り東大を首席で卒業した医師を診察した。
とても忙しい人なので、日曜でアセスメント診察をやってしまおう!と8時間くらいぶっ続けで診察した。
その間何度もトイレに行ったり、サンドイッチを頬張りながら診察を続行した。
世の中の皆さんは医師は皆、金持ちの家庭で育って、甘やかされて育ってきたに違いないと思っている。
ところがどっこい、そうでもないんだよな。
虐待と貧困のセットは生まれる家庭を選べない子どもに、不公平だが、ある意味公平に降りかかってくる。
虐待の話は内容にもよるけれど、話を伺って共感した私の心身にも少なからずダメージを与える。
それなりにトレーニングを積んできたけど、やはりつらいものはつらいよね。虐待を受けてきた人の診察をすると私もしばらく体調が悪くなる。全部引き受けてしまうんだよね。
先日は大学の同級生とあった。
整形外科医の友人は本当につらい状況でもう少しで自死してしまうところだったが、
私のつたないサポートがなんとか通じて生きて元気になってくれた。
先日「お前が助けてくれなかったら俺今いなかったよ」
と涙ぐんで語ってくれた。
一人の精神科医ができることなんでほんとちっぽけなことだけだ。
でも本気で相談にのっていることが伝わる人には価値のある援助になったようだ。
嬉しいことだ。
とはいえ、たま〜に、エナジーバンパイヤの人もいる。
人を物のように扱って自分の利益のために利用するタイプの人間だ。
ある人は大変なお金持ちであるが、(趣味で?世間体のために?)公務員をやっている。お子さんが不登校で、様子がおかしいというのだ。
毎日のようにメッセージや電話をしてきてその都度詳細にアドバイスしていた。
どうやら繊細なタイプの自閉スペクトラム症が背景にありそうで、いろいろな提案を行なった。
なんどもなんども援助しても結局私のアドバイスを無視し、「栄養のバランスが悪いから不登校になっているのだ。栄養療法でサプリを飲ませれば登校できるようになる」というSNSを発信している医師のもとに行き、何万円もする高額なサプリを定期購入し、せっせと飲ませていた。
当然そんなので登校できるようになるわけがなかった。
そうなるとまた相談してきては、私のアドバイスは無視。
結局私が最初から伝えていた路線で話がすすむと徐々に好転。
薬の処方はしなったので保険証も使わず、特に診察代も請求しなかったが彼からは大した感謝の言葉もなく時間が経過した。
しばらくして今度はお母さんのことで相談にのってほしいという。
私の時間やエネルギー、何より心をつくしたことを吸い取るだけ吸い取って感謝もしない。
私の厚意をなんだと思っているのか、これ以上は無理とさすがに断った。
菓子折りをもってこいというのではないが、心があれば、それは形になる。
私に伝わるような感謝の言葉かもしれないし、菓子折りかもしれない、
その人それぞれの考え方ややり方があるだろう。
気持ちがあるのかないのかはこちらもすぐにわかる。
出鱈目な栄養療法に毎回数万円は支払うのに、親身に夜中まで話聞いて付き合ってた俺に対する扱いって酷いんじゃないか?
だいぶ前の別の案件(特定されないよう少し内容はアレンジしています)
会社経営者という方が社交恐怖を診てほしいと依頼。
しかも、大事なプレゼンが間近に迫っているという。
通常の初診枠では少なくも2-3か月先になってしまう。
親しい方の紹介なので特別枠で診てさしあげた。
直近の休日に診てくれて、しかもインスタントな診察ではなく専門医の真剣な診療だなんて、そんなところがあったら私だってかかりたい、笑。
会員制のクリニックで大金を支払えばやってくれるところもあるだろうけど、富裕層向けのビジネスを私はやりたいわけでもない。
金持ちのご機嫌取りなんて御免だ、笑。
社交恐怖の背景にはいろいろなものが隠れている。
大体の医療機関ではそこまで深くアセスメントせずに、とりあえず社交恐怖の治療だけ行うところが多い。
当院ではその後の予後や治療のリスクを見立てるために、そこで留まらない。
発達やパーソナリティ傾向も把握するため、幼少期からの様子をざっと伺っている。
今回は自己愛性パーソナリティ障害があって実力以上に自分をよく見せたいという意識で恥をかきたくないために生じている社交恐怖のケースで、さらに発達障害の傾向が認められた。コミュニケーションが苦手で対人緊張がつよい。さらに自分の立場からしか物事を考えられず、他者の気持ちがくみ取れないので、非常識なことやマナー違反をやってしまい、自分では何が悪いのかよくわからずに相手を怒らせてしまったり、強い指摘を受けたりする。さらに指摘を恐れ緊張していた。自己愛性パーソナリティ障害の傾向のため指摘されると憤慨してしまい、そういう相手に対して逆切れしてしまう・・・。治療がうまくいって社交場面が増えていくとまた新たなトラブルが発生してくるケースだ。
人前で話すときは強い酒を隠し持っていてそれをあおっていたという。
問題行動も認められていたし、イベントが間近であるという(今考えれば身勝手な理由で)急いで治療を開始、さらに結果を出すために、彼に暗示をかけた。
「簡単にスピーチできるようにできますよ」と伝え
彼に暗示をかけ強い安心感のもと治療効果を最大限発揮させることを試みた(こういうところがプロの技なんだけどね、わかんねだろうな)。
(それは治療効果を上げることには成功したが、発達と自己愛の問題を抱える彼をうぬぼれさせてしまう結果につながってしまったことは失敗だった。)
治療は有効で、次々とスピーチができるようになっていった。
当院では通常の暴露療法よりも早い効果を見込めるようアレンジした薬物療法をミックスさせ独自の治療を行っている。(結果として同じ処方を違う使い方で処方し薬だけの治療を行っているところはあるが・・)
薬物療法もメンタルだけではなく、自律神経を介した身体反応を抑えるダブルブロック療法を考案し、一般の暴露療法とは真っ向から逆の思考(趣旨が違うことは専門家ならわかる)の治療を行っている。
これなら重症なSADの方でもスムーズに治療の導入ができるって寸法だ。
しばらく経って連絡がパタリと途絶えたので、その後どうなったのか聞いたところ、
「薬さえあれば問題なくできるので、近くの内科で同じ薬を処方してもらった」という。
そういうところ!
すぐにうまくいったという状況で自信満々となった彼は薬も自分でコントロールできると勘違いし、
さんざん世話になった治療関係をまるで「もう要らない」とゴミ箱に捨てるようにぽいっと投げたのだ。
どれだけ特別扱いされたのか全く価値を見出していないようだった。
処方薬はOTCではない。
しかも向精神薬は使い方を間違えばいろいろな不具合も生じかねない。
医師の管理のもと服薬しなくてはならない。
彼には自己判断で薬を使うのはよくないから、治療を受けないのなら薬はやめて通常の暴露療法を行うように伝えた。
その後しばらく連絡はなかったが、再度連絡があり「薬が切れたが、明日でなくなるので処方してほしい」と。
結局彼は薬を自己判断で使い続けていたのだ。
約束を破っていたうえ、アマゾン薬局のようなノリで依頼してきた彼にその安易さを指摘した。
発達の関係もあり、ニュアンスとか漠然とした伝え方だと理解できないので、具体的に数字を示してどれくらいの市場価値のある特別対応だったのか説明した。
今回は急いでいるから薬は欲しいけど、他の心療内科に今後はかかりますって。
多分、彼はこちらの薬を指定して先方に処方依頼するんだろうな。
もう私には責任ないけど、とてもむなしくなる案件だった。
通常やってはいけないことをそれまでもやっていた人は、やはり約束を守ったり、関係性を大事にするということができない。
最初からなんとなくわかってはいたけれど、親しい人の伝手だったので、ついつい助けてあげようかなって思ってしまったんだよな。
私の人生は有限だ。
ただただ私の命、時間、エネルギーを奪うだけ奪ってなんともおもわないというエナジーバンパイアにはかかわらないようにしている。
それは患者さんに対しても同じだ。
エナジーバンパイヤに与える私の命のピースはない
心を尽くして相互作用がある人にしか命のピースは渡せない。
だから私のまわりは私が大事にしたいと思うし、私のことを大事にしてくれる友人に囲まれている。
当院の患者さんもそのような心をもった患者さんばかりだ。
だからこそ私も頑張れる。
折角先輩方から受け継いできた技術を世の中に還元せずに一生を終えるのも勿体無い。
だれにでもどんな人にでもという器の大きさは当院にはないが、
心のある患者さんやスタッフだけで運営することで「心の安全基地」が維持できるという側面がある。
心を亡うと書いて忙。
今年は新患の受け入れの中止期間も長く設定し、この期間でアクティブな患者を数百人減らしたものの、
多忙さは変わらず、まさに心を亡わんとする状況でしたが、温かいお言葉に救われます。
pon poko様わざわざ応援していただき有難うございます。
当職の魂を削った診療の価値を認めてくださる方がいてとても嬉しいです。
pon poko様のような方のためにこれからも頑張ろうと思います。
むしろこのような方しか診たくないです、という本音を言いたいところです(あ、言っちゃった?笑)
世の中にはいろいろな方がいて、「診させてやる」と言われたこともありました。
「私が診るなんて力が及ばない」と他院をお勧めしこちらから辞退しましたが、笑。
私には「やり甲斐」が必要です。
そのエネルギーをまた大事な患者さんに還元して、お互いに生きる喜びを感じていきたいですね。
重ね重ね感謝します。
それから、私はよほど調子がいい時でないと冗談は浮かんできませんし、その貴重な冗談もあまり面白くありません。まあ、面白くないのがオヤジギャグの真髄であるので、その点をご理解されているpon poko様は物事がよくわかっていらっしゃる。
一点、pon poko様にお願いがあります。
お薬の送付に関してですが、これはコロナ禍での電話再診に伴った患者さんの利便性を考えたサービスですが、
診療報酬の改定に伴い現在は行っておりません。
折角お褒めいただいたのですが、これを見て「私もやってほしい」と言う方が出てきてしまうかもしれませんので、
この部分だけモザイク(笑)をかけていただけますでしょうか?
電話再診の代わりに、オンライン診療をはじめます。
すでに試験的に行っているのですが、規約作りと料金設定が間に合っていません。
準備が整い次第発表いたします。
薬局との連携は薬局が電子処方箋の扱いを開始するまではできませんが、
何か方法を考えたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
追伸:
修正していただきありがとうございますね!
今日の上尾は曇り。
道路はやや混雑。
明日、明後日は葬儀に出席のため、今日しかできない仕事をしました。
一部のスタッフは出勤だったので一緒にインフルエンザワクチン接種に向けた準備、
郵便局での雑用なども行ってきました。
心に染み入る言葉が欲しくて
本家みつをの言葉をトイレに飾ってみました。
Shrink13巻大人買い。
当院では漫画を読めるほど待ち時間はないのですが、
待合室に置いてみようかななどと考え、
本棚のサイズを見積もったり。
医師としての仕事はほとんど進まず気分的に集中出来ない一日でした。
K先生に10年前にいただいたエバーフレッシュの元気がなかったので、水やりしたら夕方には少し復活し安心。
たくさんのことを同時にこなさなければいけないけれど、容量オーバー気味で。
親交ある上尾の有力者のご親族が他界され、
お悔やみを申し上げに伺い立ち話をして
そのまま帰宅しました。
人生はあっという間。
やりたいことをやっておかねばと
焦ります。(本末転倒?)
曇りがあるから晴れも雨もあるんだよな。
最近お二人の先輩から丁寧なお手紙頂戴しました。
今の時代メールでのやり取り、さらに砕けてLINEでのやり取りに終始しがちな世の中ですし、
私もメールに頼っているのですが、昭和の先輩方からはお手紙を頂戴することも多いです。
こんなに手間のかかることを超多忙な中わざわざやってくださると言うのは心に響くものがあります。
先輩の一人は教授。
先日の研究費の寄付に対するお礼状を教授自ら一人一人お礼状を直筆で書いていらっしゃるのです。
私の場合、謙遜なしで雀の涙ほどの額しか寄付できなかったので、逆にこれって“辱めの刑”?って被害妄想に陥りそうです(笑)。
話はそれますけど、教授は多忙です。
最近も同級生の教授就任ラッシュが続いています。
母校の教授よりも国立大学が多いですね。
それぞれ使命感を持っていて立派です。
もう一人の先輩は研修医の時にお世話になった先生です。
診察したすべての患者さんのすべての診察をレポートにまとめ、それを全部読んでいただき懇切丁寧にご指導いただきました。
文字通り有り難いことです。そこまでやってくださるのは同じ大学の先輩方以外いませんでした。本当に良くしていただきました。
その先生から転居する患者さんをご紹介いただき引き継がせていただきました。
その患者さんの診察のご報告書などのやり取りで、「ここまでしっかりと丁寧に診ているところはあまりないと思う」とご評価いただきました。私もそう思います、笑。
今回も丁寧なお手紙頂戴し、とても嬉しかったです。
大好きだった50年先輩の先生も大変な筆まめでした。
「お礼状はできるだけ早く書く」と言うのがマナーですが(私は実行できていません)、
私が盆暮の挨拶をお贈りすると、品物がまだ届いていないんじゃないかというくらい早いタイミングで丁寧でユーモアのあるお礼状が送られてきました。ご愛用の万年筆で含蓄のあるお言葉や漢詩などのお手書きをいただき、毎回楽しみにしていました。
ご多用な方がわざわざ時間を割いてくださる、そのような貴重なことに感謝しきりでした。
令和6年9月24日。
お世話になった親しい方とのお別れ。
余命宣告通り半年の闘病だった。
私は何人か大切な人の命を膵臓癌に奪われてきた。膵臓って聞くとドキッとする。
医療従事者とそうでない人の知識や考え方にはかなりのギャップがあり、今回は私が少し架け橋となった。
遠くの大学病院に足を運び、主治医にお手紙を渡し、コミュニケーションを図ってきた。
結果とても良い最期を送っていただけたのではないかと思う。
ほとんどのスタッフは心ある医療従事者であるが、看護師さんの中には意地悪な方もたまにいる。
そこをどう切り抜けるかと言うもの精神科でチーム医療をやっていた経験が役立つ。
今回は患者さんサイドの立ち位置で医療に接し、改めて医療は一般ビジネスとは異なると感じた。
心の使い方がまるで違う。
だからビジネスと同じような感じでサービスを要求する人は上手に医療を受けられないかもしれない。
完全にビジネスの世界から株式会社が医療に参入して、一見良いサービスが受けられると思った一般の方々は悲しい未来が待ち受けていることを知らない。
主治医の先生には本当にお世話になった。
緊急であればあるほど主治医を選べることは少ないが、ご縁に恵まれた。
しっかりした医学知識と技術、心ある先生で優しさに触れて助かった。
彼は生前1回だけ「自分には美学がある」と言った。
弱音を吐かずにメンタルをやられた患者さんをたくさん診てきたので、肯定するわけではないが、彼は一度も痛いとも言わず弱音をほとんど吐かなかった。
うなされながら最期に笑顔で手を合わせてくれた。皆様最後の瞬間が近づくとわかるみたい。
カッコ良かったですよ。これが美学だったのですね。お疲れ様でした。安らかにお休みください。
最後に不思議なことがありました。
旅立たれた後に、奥様の携帯に着信がありました。彼の携帯からでした。
電話にでたらすぐに切れてしまったそうです。
何か携帯に触れてしまって勝手に発信してしまったのでしょうか。
しかし彼の携帯にその時間の発信履歴がありませんでした。
何が生じたのかわかりませんが、
なんとなく
「ありがとう」
と言っていたのではないかと感じました。
まるで高級ホテルのような病室で、静かで穏やかな時が流れていました。
頑張って生きてきた彼へのご褒美のように思えたのです。
主治医の先生ありがとう。
【精神科医のTVドラマ】
今日は帰宅が遅くなり、Shrinkのこともすっかり忘れていました。
ニュースでも見ようかとテレビをつけたタイミングで、NHK Shrink 精神科医ヨワイがはじまっていました。
画面には「最終話」と。
え?第3話で最終回!?とびっくり、残念。
【クオリティの高い作りこみ】
今回のパーソナリティ症の演出もとてもリアルできちんと監修されていました。
私が見たことのある精神科物のドラマでは断トツでリアルな内容です。
このクオリティーで毎週ずっと放送することは困難と納得。
どんなものもクオリティを追求すると大量生産できないのです。
調べたら母校の先輩宮岡先生が全体の医療監修をされていたのですね。意外でした。
パーソナリティ症の監修は林先生で、なるほど納得。
【境界性パーソナリティ障害】
今回のテーマはパーソナリティ症(パーソナリティ障害)でした。
私が大学病院に勤務していた時代は、境界性パーソナリティ症(障害)の過量服薬やリストカットが社会問題化していたためか、大学病院の病棟に入院している患者さんの多くが境界性パーソナリティ障害の方々でした。
ドラマの中でもヨワイ先生が説明していましたが、境パ症の方は見捨てられ不安が強く情緒が著しく不安定です。
他者を過大評価してベタベタと近づいてきた(好き好き♡)と思ったら、些細なことで猛烈に怒り誹謗中傷してくる(大嫌い!😡)など、極端ではげしい反応を起こします。
【医師と患者さんの恋愛関係】
見捨てられることを恐れる裏返しで、(本人が意識しているかは分かりませんが)性的に魅力的であろうとして誘惑的な外見の女性が多かったという傾向もありました。
医療の現場でも、境パ症の女性患者さんが話を聞いてくれる男性精神科医に対して猛烈な好意を寄せ、性的に誘惑してくるという状況は少なくありませんでした。
どちらかというと共感スタイルの私は話を聞いてしまい、患者さんの陽性転移を受けやすい傾向にありました。
それから当時20代の私は今よりはしゅっとしていたのと、年齢的なものもあって(誰も信じてもらえないかもしれませんが、笑)ちょっとはモテていたのです。
じじいの昔話と自慢話は嫌われるのですが、当時は境パ症の患者さんからデートに誘われることもよくありました。
【禁欲原則】
医師には禁欲原則という決まりがあって、患者さんと恋愛関係になってはならないという戒律があります。
ときどき患者さんとその執刀医の結婚など美談として紹介されることがありますが、医師としては失格と言わざるを得ません。
精神科では尚のことご法度です。
今では医師と患者さんは対等に近づいていますが、
昔は医師と患者さんではパワーバランスがだいぶ偏っていました。
学校の先生と生徒くらいの差があったかもしれません。
そのような不均衡のパワーバランスのなかで生じた職業としての役割で獲得した患者さんからの憧れ(陽性転移)を利用して、立場的に弱い相手を搾取してはならないということです。
「先生と生徒」もダメです。
卑怯な大人がその立場を利用して未熟なものを搾取してはいけないということです。
ドラマのなかでは、チェーン店クリニックの理事長早乙女医師が境パ症の患者さんと院外でデートしている様子が描かれていました。
これ、そのまんま実在する精神科医○○じゃん!と笑ってしまいました。
実在するその医師の行為は当時問題となって糾弾されていました。
【私の強さ】
私のすごい(笑)ところは、どんなにモテていても!?、患者さんのデートの誘いには1回も乗ったことがないということです。
デートは断りつつも、担当する患者さんとして見捨てるわけではないというメッセージを伝える方法を恩師から教わって練習してきました。
まあ、それが難しいのなんの。やっぱり断られたら多かれ少なかれ傷つくのが人間のサガです。
さすがに今は患者さんからデートに誘われることはなくなりましたが、
40代前半までは時々ありました。
お断りするときはやはり緊張しますよね。
【不得意】
大学病院のころは病棟で境パ症と摂食障害の患者さんばかり診ていて苦労しました。
市中病院では救急医として過量服薬(OD)やリストカット(リスカ)の患者さんをたくさん診てきました。
境パ症の患者さんにとって医師が一定の距離感を保つためには、患者さんに優しくせず熱心にせず、ニュートラルに(端からみたら冷たいと感じる程度で)接しつづけることが必要ですが、
話をじっくり聞いてしまうタイプだった私は、患者さんに振り回され、疲労困憊し、境パ症の治療には不向きだと悟り、開業してからは診ないようにしています。
パーソナリティ障害を当院の診療対象外としている理由の一部は上記のような経緯があります。
【第4話】
ドラマとしてはそれほど深みのない内容だったかもしれませんが、医療ドラマとしては極めてクオリティの高いドラマでした。
第4話を期待して待っています。
またTVを見てしまいました。
第2話は双極1型障害の患者さん。
この男性も演技が上手で、躁鬱混合状態などの難しい状態を演じきっていました。
双極性障害がご専門の加藤先生が監修されたとか。
私も勤務医時代は双極1型障害の患者さんの診療を行っていましたが、
実際の私の経験はこんな生易しいものではありませんでした。
怒号や暴力の中、怒鳴りながら入院を説得し、大興奮の患者さんがそれに応じるわけもなく、屈強な男性数人で抑え込んで鎮静剤を打って・・・という入院の導入でした。
というわけで、社会適応度の比較的高い患者さんが多い当院は入院ベッドもなく、入院~退院へのスムーズな連続性が乏しくなってしまうため、症状の重い双極1型障害は治療対象外としています。
当院では日常生活が破綻しない程度の双極2型までを治療対象としています。双極1型は多職種連携の中で対応することが望ましく、初診の時点で双極1型とわかれば他院をお勧めするようにしています。
とはいえ、昔から診療を引き受けていた双極1型障害の患者さんは今もなお引き続き診ています。
ヨワイ先生が仰せのように、双極症では疾患教育、自己理解が最も重要な治療のひとつとなります。
患者さんがどうして今までの人生そこまで無理をして生きなければならなかったのか、落ち着いているときに人生を振り返って、詳しくお話を伺い、根っこを探っていきます。
あるいはADHDなどの発達障害をベースとした気分や活動性のムラが根っこにあることもあります。
ハイテンションで、頑張っているときは、そんな自分が誇らしいのでその状態を続けたいと思ってしまいます。
ただ、その躁状態を続けていると、その後のエネルギー切れで、まるで鉛を体にまとっているかのようなうつ状態がやってきて、その極端な落差から自死のリスクが高くなります。
テンションが高いときは周囲とトラブルを起こしやすく、大事な人間関係を破壊してしまうことも少なくありません。
お薬で躁鬱の波をできるだけ小さくするよう調整することがとても大事ですが、
ご自身が躁状態にならないようにブレーキをかけながら生活をすることがより重要になっています。
次週はパーソナリティ障害の患者さんがテーマだそう。
目が離せません。
おそらく私も知っている先生が監修されていると思いますが、どなたが監修されたのでしょうか?