今日も忙しく後半は嫌な頭痛も出現。
60人を超えたあたりでキツくなってきたので、アセトアミノフェンを服用し、診療を続けます。
なんと、大谷翔平選手と想定外のつながりを持っている方もいて、大変驚きました。
世界は狭い!?
サインもらえないかな?笑
いやいや職権乱用はいけません。。。
3月から5月は転居によるお別れの季節です。
しかし、最近は転居後も当院に通院してくださる方が増えてきました。
東京から通院して下さる方、
はたまた広島や仙台、茨城、岩手、山形、千葉などからわざわざお越しくださる方もいます。
私にとっては想定外だったのですが、
そのような患者さんから言われることは、
「受診して話すとモヤモヤした不安が言葉になって消化されていく」
「色々な振り返りをできたことで自分のことが少しずつわかってきて、冷静に対処できるようになった」
「話しにくるのが楽しい」
とまで言ってくださるのです。
私はおしゃべりでもなく、話もつまらないのです。
ひたすら真面目にやっているだけです。
私はメェ医ですが、名医ではありません。
山羊さんメェ医です。
本気出してこれくらいのつまらなさです。
(長文です)
思えば、私の師匠は力動的精神医学と児童精神科を専門とされていました。
その影響で、開業時は患者さんの生い立ちとか心理学的なことにやや偏った診察をしていたように思います。
その後は認知行動療法の行動活性化、あるいは行動療法に力を入れたり、
マインドフルネスを一生懸命やっていた時期もありました。
患者さんと一緒にヨガをしたり、瞑想をしたりということも。
EMDRなどのトラウマ治療も勉強したり、
試行錯誤していました。
しかしどこかスッキリしない感じがあったのですが、
発達障害、あるいは非定型発達の理解が進むにつれて、
いろいろなパズルが解けてきたのです。
ここ数年は発達障害を理解しようと相当勉強してきました。
心理的に考えても仕方のない脳の発達特性と、その後の心の傷つきを丁寧に分解しながら理解を進めていくようになりました。
もちろん、まだ道半ばですが。
患者さんには、自分自身が不安を感じている、
あるいは傷ついているんだ、ということに気がついていない人も少なくありません。
言葉にならないモヤモヤしたものに、私が名前をつけてあげるのです。
「不安だったんだね」
「怖かったね」
「辛かったね」
「腹が立ったよね」
「悔しかったよね」
ピッタリくるまで、言葉を探りながら確認していきます。
特に非定型発達の人は自分の状態に気が付きにくい人が多いのです。
まずは、自分自身が不安であること、傷ついていること、それらをありのままに見るという行為が大変重要なステップになります。
マインドフルネスの一つのあり方と言えます。
そして、どういう経緯で傷ついたのか、どうして傷ついたのか、
何を失って、怒りや不安を感じているのか、
振り返っていきます。
もちろんPTSDの症状が強く出ている方にはあまり深く突っ込みません。
さらに、不安に対する心の守り方は人それぞれタイプが異なりますので、心の防衛方法についても明らかにしていきます。
これらを言葉にできるようになることは重要ですが、それだけでは十分ではありません。
文章にしたり図式化することで可視化します。
実はこの目的もあって、当院では予約表を連絡表がわりに使っています。
何も書かなくても結構ですが、上手に使っている方も少なくありません。
限られたスペースだからこそ威力を発揮します。
そういうことができるようになってくると、客観的に自分を見る力が醸成されていき、
それだけで不安に圧倒されなくなったり、傷の癒やしが始まります。
ここまで来れた方には、過去の傷つきを癒していく方法を共有していきます。
ケースバイケースですが、最終的に子供の頃に傷ついた自分を慰められるのは、大人になった自分です。
キャッチボールをしているうちに患者さんが成長し、一緒に成長している感覚が得られ私も喜びを感じます。
実は、開院当初からロゴに込めた当院の精神療法の柱としてポジティブセラピーを発展させてきました。
ポジティブサイコロジーやポジティブ精神医学の出現を知らずに私が独自に発展させてきたものです。
従来の認知行動療法のように患者さんの欠点やマイナスを指摘することも大事ですが、
ポジティブ感度を徐々に上げていけるように合いの手を入れるようにしてきました。徐々にタイミングがわかってきました。
もしかしたらこれが私の精神療法の中で一番治療的かもしれません。
私の精神療法の一例です。
これを行う素地を作るためには初診で60分以上詳細に問診する必要があります。当院では資料の読み込みなど合わせて90分は費やします。
(もちろん病気や人によって精神療法の内容は大きく変わります。)
上記のような精神療法が必要ない方も多いですし、IQの低い方は精神療法よりも環境調整が重要です。
また、安定していて維持療法の方にはドリフターズ外来(飯食ったか?トイレ行ったか?早く寝ろよ!のシンプルな診察)をすることもありますが、
診察の中では患者さんからの質問は必ずお答えします。
「わからない」ということもありますが、ご質問には正直にお答えしています。
「わからない」というのは現在の精神医学ではまだわかっていないこともありますし、
単に私が勉強不足で知らないということがあります。
どちらなのかはっきりお伝えします。
もし、私が知らないことで、患者さんの治療にとても重要な質問だと私が感じたら、宿題として持ち帰らせていただきます。
質問に対して答えないという精神科医はいるようですが、私は必ず答えてきました。
もし質問に答えてくれないという感想を抱いている方がいるならば、一部の強迫性障害の方かと思います。
強迫性障害あるいはASDの強迫・こだわりによって、毎回10個くらい詳細な質問をレポート用紙に書いてきて質問する方がいます。
治療の開始時点では全てお答えするかもしれません。
しかし、徐々に「質問を2〜3個に絞ってください」とお伝えします。
質問一つが大きなテーマの人は毎回一つに絞ってくださいと伝えます。
あなた一人に無限に時間を使えない(資源はみんなで分かち合っている)という現実検討を持っていただくためのメッセージでもありますが、強迫症の治療的な意味を考えての指示となります。
強迫症は物事が自分の思い通りにコントロール(支配)できないことに不安を感じる病気です。(不安を打ち消すために完璧にして心を守ろうとするのですが)
自分なりに完璧にしたいのです。
強迫症の治療は、完璧にしなくても大丈夫だという安心感を手に入れることです。
世の中は思い通りにならない、支配できないものだと理解してもらうことが重要です。
10個の質問(不安に感じていること)を毎回解消させてスッキリするということを繰り返していても、
よくなりません。
全部は解消しない、少しモヤモヤした状態、少し不安な状態のまま耐えるという練習が必要なのです。
そのような意味があって、質問を2−3に留めて、あとはモヤモヤしたまま次回までとどめてくださいと伝えるのです。
ご説明しても納得されない方の場合は、「質問にも答えてくれない!」と攻撃的になってしまうのです。
信頼関係ができないのですが、当院では去る者負わずの姿勢です。(逆に他院にかかっている人に治療を開始して患者さんを手招きするということもしません。)
詳しく説明していくと精神療法の受け答えには一つ一つ意味があることが多いのです。
短時間でも意味のあるやり取りだとわかってくれる患者さんはどんどンよくなるし、
転居しても続けたいと言ってくださるのかなと思いました。
当院の治療ポリシーとして、心理士のカウンセリングは行わないと明記しています。
さらに精神科医によるカウンセリングも特殊な例を除いてやらないと明記しています。
カウンセリングと精神療法を私なりの表現で区別しています。
精神療法は通常の診療費用の中で、言葉による治療を意味します。
カウンセリングは(現在のところ)自費で構造を決めて(毎週何曜日の何時から何分とか)
行います。カウンセリンぐはどんなスタイルがあっても良いし、ただ愚痴や話を聞くだけというのも実際に少なくありません。
精神療法はなんらかの治療効果を期待した対話による診療なので、ただ一方的に話を聞くというのは治療ではないと思っています。
精神療法の範囲内でできることと、要求されてもできないことがあります。
急性期で症状が重い場合は、カウンセリングに近い形では精神療法は行いません。
勘違いしている方が多いのですが、うつ病の急性期に認知行動療法は行いません。
また、初診1回で問題を解決することを期待している方もおられますが、それができるような内容はもはや病気ではありません。
とりあえず1回だけかかりたいという方は遠慮していただいています。
他の精神科機関では、初診3分でパッと薬だして(精神療法をやらずに精神療法費用を請求して)おしまいというところも時々あるので、開院当初は話を聞いてもらいたい人は当院にいけと回されてくる人も多かったのです。
しかしその中のほとんどの人が精神療法を望んでいるわけではなく、ただ文字通り話を聞いてほしいとか
カウンセリング的な内容を求めている人がほとんどでした。
話を聞いてほしいという人が殺到してしまい、交通整理が大変でした。
無駄な労力で疲弊してしまうので、その辺を解決するために
「カウンセリングを行なっていない」と明示したのです。
とにかく話を聞いてほしいという方には「ご期待に添えない」とお伝えしてきました。
お電話の段階で、その方が何を望んでいるのかわかるようになったので、
今ではほとんどミスマッチは生じなくなってきました。
精神科って難しいと思いませんか?