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12月 25, 2022

精神科薬の副作用ー心療内科医編。

複雑な生育歴の初老の女性。もう20年近く品川の心療内科に通っていた。いろいろなストレスがかかっているときに、テレビに出演していた心療内科の女医にかかりたいと思い、上尾からはるばる受診しに通った。不安を感じると胸がざわざわして、心電図などには異常を認めなかった。心療内科医はシンドロームXだと診断し、デパスを処方した。不安を感じたらいくらでも飲んでいいと指示した。患者さんは完全にデパス依存になった。少しでも薬が切れると、そわそわざわざわ落ち着かなくなったりイライラしたり変な汗がでる。そのように訴えると、栄養が足りないと説明された。毎回採血し、高額なサプリを服用するよう指示された。1回数万円単位のサプリは経済的に厳しかったが、頑張って購入していた。いよいよお金が底をつき、買えませんと伝えると、女医はほとんど無視するようになった。つらくなって、当院に転院を希望した。紹介状を準備するよう伝えたところ持参したきたが、20年近くかよった通院経過どころか診断名も記載されていない過去最凶の紹介状だった。しっかりと紹介状作成料は請求されていた。彼女の20年の通院は何の役にも立っていなかった。それどころかデパス依存で離脱症状に苦しまされていた。

デパスは今やアメリカでは大麻よりも依存性が高い質の悪い薬だと評価されている。私も一般の外来患者さんに新たに処方することはない。

今回はデパスをやめていくつもりがあるなら治療に付き合うという約束で転院を受け入れた。

漢方を中心に身体症状症に対応し、今はデパスはどうしてもつらいときに頓服でたまに服用するだけで、離脱症状も認めていない。

栄養療法も確かに大切で私も部分的に取り入れているが、高額なサプリを売りつけるおかしな商売をやっている心療内科医もいる。

精神科医でも光トポグラフィーで確定診断ができるかのような誇大広告、脳の磁気刺激によりあらゆる病気がすっと治ってしまうかのように誤解させるような誇大広告をして高価な治療費を支払わせ続けるという詐欺商法をやっている者も一部いる。

光トポグラフィーはあくまで診断の補助で参考程度のものであり、それだけで確定診断することはできないことを説明すべきだ。

磁気刺激の適応が限定されている(中等度以上のうつ病で十分な量の抗うつ剤治療を行なっても改善が認められないもの)し、治療効果の持続期間も限定されるということを説明すべきだ。

どの業界にも詐欺で儲ける者がいるので注意すべきだが、TVで売名行為を行っていると信じてしまう患者も少なくない。

リテラシーって言葉があるけれど、信頼できる相手か見極めるのは本当に難しい。

 

悪を正そうとすると〜べき〜べきというメンタルヘルス的にはよくない思考になってしまうが、良くないことは良くないと言いたい。

 

 

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