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12月 25, 2022

精神科薬の副作用ー薬剤師編。

30代男性。うつ病の診断で、他院から転院。色々薬を使ってみたが良くならないという。

紹介状を用意してもらった。

私は前医からの紹介状は必ず用意してもらうが、実は前医の診断は鵜呑みにしない。

もしかしたら誤診かもしれない、という目で見ている。

うつ病と書いてあってボーダーラインパーソナリティだったり、

統合失調症だといわれて実は発達障害だったなんてこともしばしば。

治療は結構変わってくる。自称「うつ病」はもっともあやふやな診断名だ。

じゃあ紹介状なんていらないじゃんという人もいるかもしれない。

しかし、前医がどうして誤診したかその過程までわかると、かなり深いところまで理解ができるようになるから前医からの情報は有用だ。

 

と、ものすごい話がそれたが、本題に戻る。

うつ病にはSSRIを使うべし、みたいな流行があった。

でも当時の薬では力不足でなかなかうまくいかないことも多く、SSRIの増強療法が色々考えられた。その中で炭酸リチウムを追加するとSSRIの効果が増強され、症状が良くなることもあるという知見が大学病院では常識となっていた。しかし添付文書上はSSRIと炭酸リチウムは併用注意の薬剤である。SSRIの作用が強く出てしまうことがあるためである。その性質を逆手にとってSSRIの効能を最大限に強化したのである。

私も大学の研究会で得た知識をもとにSSRIに炭酸リチウムを併用して増強療法を行なった。

するとその男性の親戚であるという薬剤師が急に出てきて、「SSRIと炭酸リチウムは併用してはいけないのに、そんなことも知らないで処方してヤブ医者だ」とがなりたてた。

その男性には最新の増強療法だと説明していたが、親戚のいうことの方を信用していたので話は通じなかった。

横やりが入って患者さんも親戚のいうことを信じていたので、私も何とかしてあげたいというモチベーションがうせてしまい、

「その薬剤師と相談してやぶ医者じゃないところにかかったら?」と大人げなく突き放した。

長年良くならなかったというのは、そもそも不信感があって治療にうまく乗らなかったのかもしれない。

今振り返ると背景に発達の問題があったように思う。

 

医師であれば皆さん経験する横やり。

多くは親戚の看護師や薬剤師でほとんどその分野の知識がないような人がいきなり割り込んでくる。

 

医療従事者の敵は医療従事者だったりして。

 

まあ、実際に第3者だからこそ見えてくるということもありうるわけで、聴く耳は持ち続けたいと思う。

でも、マウンティング目的で適当なことをいうやつは許さん、笑。

 

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