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不眠

10月 27, 2025

”更年期のほてりに”

更年期のほてり(ホットフラッシュ)

更年期のほてり(ホットフラッシュ)に悩んでいらっしゃる方は本当に多く、女性ホルモンの低下にともなって生じる典型的な症状の一つです。当院でも長年にわたり、その症状緩和に取り組んできました。

そして、もしかしたら、とうとう、、、画期的な漢方治療を見つけてしまったかもしれません。(詳しくはブログでは非公開です、笑)

実は、精神科ではあまり使わない漢方薬を別の目的で処方していた患者さんの更年期のほてりが劇的に改善したのがきっかけで新たな治療の選択肢を発見しました。まさに盲点でした。
「あっつい、あっつい!」とお困りのお嬢様方は、一度ご相談なさってはいかがですか?

従来の治療

これまで更年期のほてりには、加味逍遙散(かみしょうようさん)などの漢方がよく使われてきました。「加味」とは、熱を冷ます生薬が加えられているという意味です。ただし、プラセボと差が出なかった研究もあり、効果には個人差があります。

また、サプリメントは全体としてのエビデンスは一貫性に乏しいとされています。
しかし大塚製薬のエクエル(S-エクオール含有食品)が比較的効果を示すことがあります。臨床試験で一定の改善効果を示した報告もあります。癌で闘病中の方にもリスクなく使用できるとのことで、試してみる価値はあると思います。

さらに、プラセンタ注射で「少し楽になった」という方もいますが、どれも「劇的に良くなった」とまではいかないことが多いです。

ホルモン補充療法(HRT)はもっとも標準的な治療です。ただし、経口製ホルモン剤では血栓や乳がんリスクの報告がありますので、投与前に前がん状態などが潜んでいないかなど入念にチェックする必要があります。経皮投与(貼付剤・ジェル)ではそのリスクが小さいことが示されています。個々の体質や背景疾患をふまえ、主治医と相談のうえで適切な方法を選ぶことが大切です。(当院では子宮がん検診や乳がん検診など行っていませんので、ホルモン療法は婦人科の専門医にご紹介させていただいております)

非ホルモン治療の新しい動き

近年、ホルモンを使わない治療として「フェゾリネタント(Fezolinetant)」という新しい薬が注目されています。これは視床下部にある「KNDyニューロン(キスペプチン・ニューロキニンB・ダイノルフィン)」に作用し、体温のコントロールを整えることでほてりを改善する仕組みです。米国ではすでに承認されており、日本でも第III相試験が進行中です。

更年期障害とは?

更年期とは、妊娠・出産が可能な「生殖期」を終え、身体が次のステージへと移行する過程のことを指します。この時期、卵巣から分泌されるエストロゲン(女性ホルモン)が減少し、それを脳の下垂体が察知して「性ホルモンをだしなさい」と卵巣を刺激するFSH(卵胞刺激ホルモン)を多く分泌するようになります。この過剰な反応の過程で視床下部の体温調節中枢のバランスが乱れ、体温の「許容範囲」が狭くなることが、ほてりや発汗の原因と考えられています。

脳の過熱感と不眠の関係

患者さんの中には「頭がのぼせたように火照る」「首から上が滝汗」と訴える方が多くいらっしゃいます。視床下部(体温調節中枢)が興奮状態になり、わずかな温度変化にも敏感に反応してしまうためと考えられます。

私自身の臨床体験からも、脳が興奮して熱を帯びているような状態――いわば「脳のオーバーヒート」が、不眠や頭部の火照りと密接に関係している印象を強く受けています。このような状態は神経生理学的にも、覚醒レベルの上昇(交感神経優位)や視床下部の過活動と一致する可能性があり、「脳の冷却がうまくいかない状態」とも言えるでしょう。

その意味で、就寝前に脳の興奮を静める習慣(照明を落とす、ぬるめの入浴、深呼吸、穏やかな音楽など)は、眠りの質を整えるうえで非常に重要です。脳を「冷やす」という比喩は、単なる感覚的表現ではなく、心身の調整をイメージするうえで患者さんにも伝わりやすいと感じています。

深部体温をコントロールする工夫

脳を冷やすとよく寝れるのではないかという考えから、氷枕(ダイソー200円、硬さがちょうどいいです)を患者さんに試したことがあります。「少し楽になった」とおっしゃる方もいますが、脳は深部にあるため、表面を冷やすだけでは十分な効果は得られませんでした。

 

そして今回、私自身が非常に興奮している「新しい漢方的アプローチ」がその一助になりそうです。研究するわけではないので、正式なデータをそろえるつもりはありませんが、感触をあらためてご紹介できればと思います。

 

 

 

 

 

 

8月 25, 2025

精神科って。

コレステロールがいくつ、

血圧がいくつ、

血糖値がいくつ。

 

この数値の場合は、この方法で、この薬使って。

 

内科の先生の中にはガイドライン一直線、マニュアル一本で

基準値を目指す医療を行なっている人も少なくない。

 

精神科もマニュアル的な治療で統一しようという方向に向かっている。

 

それも大事だけど、当院では基準値を目指すことを目標とせず、その人それぞれが心地よく生きていくためにどうするかを考えていく。

その結果基準値と大きく違っていたって構わないと思う。

 

発達障害の過剰診断を批判する医師もいるけれど、発達障害の部分特性のために精神疾患を発症している人はとても多い。

誰にでも発達障害の特性を多かれ少なかれ認める。

いくつかその特性が重なったり、突出することで掛け算的に生活に支障をきたすことも少なくない。

だからこそ、私は細かな特性もきちんと評価する。

その結果をフィードバックすることで患者さんが自分自身を理解し、自分の上手な扱い方を習得できるようになっていく。

基準値から外れていても、お薬を使って生活が豊かになるのであれば、それでいいのでは。

薬なしで基準値の健康体でありたいという無理な理想を追求していても、ずっとつらいまま。

 

睡眠薬だってそう。

幼少期の虐待経験で子供の頃から夜眠れなかったという患者に、「生活習慣をちゃんとしろ」「薬なんかに頼るな」

って言い続けるのは拷問だ。脳が常に警戒している過覚醒モードを記憶しているからだ。朝の日光を浴びたって、日中運動したって、夜に入浴したって、ダメな時はダメだ。

 

長いことアルコール習慣がある人も、自力で睡眠を取る力や不安を軽減する自前の力が衰えてしまう。

 

眠れないことで脳がオーバーヒートを生じやすく、うつ病発症や認知症のリスクも上昇する。

睡眠時間に脳の中のゴミが排泄されるのに、睡眠が取れなかったら認知症の原因になるゴミも溜まりやすい。

不眠が続くことで不具合が生じやすいのは当然だ。

 

「睡眠衛生指導さえすれば全ての患者は眠れるようになるはずだ」というのは妄想だ。

「睡眠薬が悪だ」というのも絵空事だ。

 

基準値にならないといけないのではなく、基準値ではない状況を変えることができなくても快適にするにはどうしたらいいのか、

それを毎日追求している。

 

結果的に睡眠薬を継続することでなんとか生活を維持している人もいる。

全員が「薬なしで健やかに」という基準値になるはずだというのは机上の空論もいいところだ。

 

 

 

 

 

 

4月 20, 2025

素敵なレビューをありがとうございます。

良い評価・口コミをいただきありがとうございます。

 

この方も長い初診受け入れ中止期間をお待ちいただいた方ですね。

大変お待たせして申し訳ありませんでした。

と同時に当院の価値を見出していただき心より感謝いたします。

 

全ての初診に2時間以上かけているわけではなく、必要に応じてどこまで掘り下げるか考えながら診察を行なっています。

今回は問題の根っこが幼少時の環境にある症状を認めたため、駆け足かつ長時間お話を伺いました。

怖くて辛いお気持ちに蓋をしてずっと頑張ってこられたご様子が手に取るようにわかりました。

診察でだいぶお疲れになったり、お気持ちが揺れたかと思います。

 

これまでに受診された医療機関では解離症状を伴う不眠に対しての診断や治療がなく、不眠=睡眠薬で対処されていたようでした。

不眠の原因は何か?可能な限り背景を掘り下げていくだけでも色々なことがわかることがあります。

このようなことからも初診の段階でボタンをかけ間違わないようにしっかりと評価することが大切であると常日頃思っております。

 

時間がかかったり簡単ではないと思いますが、誠心誠意の診療を心がけて参ります。

症状に一喜一憂せずじっくりとゴールに向かって進んでいきたいですね。

 

7月 9, 2017

今月の健康 不眠

平成29年7月上尾市広報誌

私が今月の健康

不眠について執筆しました。

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http://www.ageomed.com/index.php?action=guide62:index

 

 

 

6月 12, 2017

上尾市広報誌ー不眠

 

 

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http://www.ageomed.com/index.php?action=guide62:index

 

平成29年7月上尾市広報に私の執筆した「今月の健康ー不眠」が掲載されます。是非ご一読を!

今の時期、キンキンに冷やした水でつくる水出し緑茶も睡眠によいですね。冷えた水でつくる場合は、カフェインはあまり抽出されず、リラックス効果のあるテアニンが抽出されます。熱いお茶はカフェインが含まれますので寝る前だと冴えてしまいますので、ご注意を。

 

 

☆ただいま初診の予約が8月以降となっております。

折角お電話をいただいても他の機関に当っていただくことになった皆様、すみませんでした。

ご予約の方、お待たせして大変申し訳ありません。

 

 

4月 23, 2017

アロマ。

こんばんは。

今日は久しぶりに昼頃まで布団でゴロゴロ。

(※夜間の睡眠の質を上げるためには、

一定の時間に起きることが望ましいです。)

急に思いつき、渋谷へ直行。

クリニックの待ち合い室とレストルームの

アロマの新しい選択肢を探しに繰り出しました。

良い天気でした。人であふれかえっていました。

 

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お店の人がご自宅で使っているアロマは私の好みのものでしたので、

アドバイスをいただいてスムーズに選ぶことができました。

今までは医療機関であることを意識し、

除菌、消臭、抗炎症作用のあるものを選択していました。

当院のスタッフ全員がインフルエンザや風邪もひかずに

過ごせたことと少しは関係しているかもしれません。

しかし今回はそのような枠にとらわれずにチョイスしてみました。

アロマは人それぞれ好き嫌いがあります。

アロマが苦手な方は、受付までおっしゃってください。

ご予約の時間帯は噴霧を止めて対応しております。