お薬の内容によっては3ヶ月に1回は採血で内臓機能や薬の濃度を測ることが推奨されています。
売り上げ追及型のクリニックでは受診のたびに血を取られると評判?のところもあります。
うちでは、ごめんなさい、忙しさにかまけて間が空いてしまうことも少なくありません。
ご心配な方は診察の際にそろそろ採血を、とご希望をお伝えください。
今日は東京からわざわざ採血をしに、知人が当院を受診しました。
採血困難者で、どこの医療機関に行っても看護師さんに何回も刺されてしまい失神したことがあるということでした。
以前私が一発で採血したので、また今回もやってほしいというのです。
すぐには血管が見つからず、水をたくさん飲んでもらい少し様子を見てから採血しました。
せっかく来たので、あらゆる検査をしてあげました。もちろん、オプションは自費ですよ。
病状と関連した必要最低限の検査以外は医療費高騰の原因になりますから保険は使えません。
とはいえ、採血困難者の採血、 ウェルカムというわけではありません。
採血専門ではありませんし、大変なだけで、お金にもなりません、笑。
もちろん通院中の患者さんで採血苦手な方には可能な範囲で対応しますが。
昔勤務医だった頃、私が熱心に診察し、話を聞いてくれると評判になってしまい、次々と「話を聞いてほしい」という患者さんが集まってきてしまいました。他の日の担当医に不満をもった人が話を聞きつけて私の外来にきてしまうのです。
私の経験上、症状が明確ではなく、「話を聞いてほしい」という方のほとんどは、「私のことをわかってほしい、不満や愚痴を聞いてほしい」だけで、治療して自分をかえたいとは思っていません。アドバイスしても聞かないし、薬も拒否したり、何のために来ているのかわからない人たちです。毎回夫の愚痴を言い続けている女性がいましたが、「人は変えられない、変えられるのは自分だけ、どんな症状を良くしたいのか、自分の何を変えたいのか」と伝えても、やっぱり夫の愚痴を毎回30分聞かされました。切り上げようとしても最後まで吐き出していきます。これって治療とは言えません。社会保険料を使うのも医療経済的にも無駄だし、やりがいもありません。本来自費のカウンセリングで聞いて貰えば良い話です。
そのような人に時間を奪われずに、本当に治療を求めている方々に私のエネルギーをお分けするにはどうしたら良いか考えました。
「カウンセリングはやっていない」「とりあえず話を聞いてほしいというご要望は受けていない」とマッチングしないようにアピールしています。貴重な医療資源と保険診療費を治療ではない内容に注ぎ込むことはできません。しかしそう言った方はなかなか引き下がってはくれません、、、
私は採血ばかりしたくもありませんし、治療の意義のない無駄な話を聞くこと専門でもありません。
というわけで、良い評判ばかりを求めるのではなく、「できない」「やっていない」ということも示しながら、過度な期待を抑制し現実的な治療契約を結ぶことで、私の限られたエネルギーと時間を無駄遣いすることなく全力を治療に注ぐことができるように調整しています。もし当院を気に入ってくださって、どなたかにご紹介してくださることがあるとすれば「話を聞いてくれる」という表現以外でお願いできると助かります。
この辺のスタンスはなかなか一般の方には理解されないし、実際の治療内容を知らずにネットの情報だけをみた同業者からも「患者の話を聞かず薬だけ処方する簡単な診察しかしていない金儲け主義だ」と誤解され、通り魔的に嘘のレビューをされたこともあります。仕方がないことですが、本当に治療したいと思って受診された方でないと状況はわからないかもしれません。
*愚痴を聞くのは精神科医の仕事ではない、と言いましたが、
通院中の方にも色々と抱え込んだ事情がありますよね。
今までも聞いてきましたし、毎回でなければ伺いますよ。
時間かかりそうだったら、最初にそう伝えてくださいね。
工夫します。