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4月 10, 2019

措置入院デイ。

今日は真冬のような寒雨で、片付けようとしていた暖房器具を全開で使ってます。

今日は朝から各保健所より複数の措置入院診察の依頼。

時間的に対応できる案件のみお受けして診察を行いました。

 

措置入院とは自傷他害の恐れのある精神障害者を、知事の命令で精神保健指定医が診察し強制的な入院加療を行うものです。人を殺したい、だけではなく、死にたいって言うのも激しい怒りの表現です。もし、実行されることがあるならば、周囲の人達にさまざまの怒りの反応を残します。

それぞれの人が生い立ちや親子関係を含む家庭環境の中で、その人の個性に沿った形で、その怒りの根源となるものを持つことに至るのですが、赤の他人がその怒りを消化させることは至難の技です。

ですから、措置入院が効果的なのは、幻覚妄想状態の統合失調症とか、躁うつ病のはっきりした病相とか、自傷他害のおそれが症状として期間限定的に生じていて、薬でその症状を消退されることができる場合に限定されてくるかもしれません。

一方で、相模原の施設の殺人事件のように、優生思想を持った自己愛性人格障害の加害者が殺戮を行ったケースのような場合は、措置入院をしたからといって殺意がなくなるわけではなく、解決にならないという困った事態もあります。

医療は基本的に病者を治療する立場ですから、本人に治そうという意欲もなく、医療では治すこともできない人を相手にした場合、治療が意味がないものになる可能性があります。偏見のある人が「まわりが迷惑するおかしな奴は精神科にいけ」と言うことがありますが、それは間違いなのです。

相模原のようなケースでは、時代として合わない考え方ですが、殺人をおかしそうな危険人物を医療ではなく、他の方法で行動制限することでもしない限り、事件は防げないのが現状です。

危険人物というだけで拘束する法律などありませんから、相模原事件の場合は、殺戮をおこなってから逮捕する、という後手にまわってしまったわけです。

当院では、医療で治すものとして適当でないと判断した内容に関してはお引き受けしていません。初診をお断りするととてもお怒りになる方がいらっしゃいますが、初診のご案内をよくお読みになってから受診のご意向をお伝えください。

当院には限界があり、万能ではないことを私自身がよく知っていますので、誇大広告もしなければ、安請け合いも致しません。そのかわり信頼関係ができる方には私ができることは全力を尽くしております。それが私なりの誠意と考えております。