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7月 3, 2023

マインドフルネス認知療法(MBCT)。

今日も患者さんが多く、一日頑張りました。

仕事も終わらないまま、オンライン研究会。

今晩は慶應認知行動療法研究会。

マインドフルネス瞑想と認知行動療法とが統合されたマインドフルネス認知療法は、英国NICEガイドラインでも、軽症のうつ病の再発予防などに対して実施が推奨されています。(とはいえ医療資源が足りないため、実際は一部の患者さんしか受けられません。どこも金と人が足りないのです)

佐渡教授のレクチャーでマインドフルネス認知療法が作られた経緯を振り返りながら、プログラムの概要についての解説とともに、どのような機序で効果を発揮すると考えられるかなどについて議論されました。

うつ病の再発予防に関しては抗うつ薬と同等の有効性があるようです。

Segal、Teasdale、Williamsらは再発予防を目的としたCBTの開発を計画する中で、一度寛解に至ったうつ病患者がなぜ再発するのか?と言う点に関して、日常生活の中で生じた些細な落ち込みが引き金となって否定的な思考が誘発され、思考が反芻を始める(ぐるぐる思考)ことで抑うつ気分が増大し、うつ病に引きずりこまれていくと言う仮説に辿り着いたようです。

それに対して「脱中心化」と言うスタンスをとることが重要だと気がついたのです。

その手段として瞑想技法を活用しました。

脱中心化=メタ認知能力

不安や落ち込みは消えはしないけれど、冷静に対応できる可能性が高まるのです。

そして、脱中心化が進むと自動的にセルフコンパッションも上がっていく、

これがとても面白いところです。(暖かく側から見ている感じ)

私が精神療法でやっているところも、脱中心化をお手伝いし、トラウマを受けた小さい頃の自分を労ってあげることを支援していますが、

同じ真実を見ているのではないかと思い感動しました。

ただ、MBCTでは、トラウマがきついパニック障害やPTSDに対してはフラッシュバックを起こしてしまうことがあるので注意が必要とのことでした。

またバリバリの反芻思考にはMCBTでは対処が厳しいところがあり、そのようなケースには反芻をターゲットした従来のコラム式CBTを推奨されるとのことでした。

なぜこうなったのかと言う沼に落ちてしまうので、WHYではなくHOWどうやっていくかターゲットにしていくところも、最近の精神療法に共通した手法ではないでしょうか。

 

ちょっと一般の方には難しいかな?

 

7月 3, 2023

キーボード。

電子カルテを入れ替えたのですが、色々と

メリットよりもデメリットが大きかったような気がします。

その中の一つにキーボードがとても打ちにくくなりました。

そこで、別のキーボードを試しに購入しました。

エルゴノミックなんちゃらは高い割に慣れないので、結局オーソドックスな形の大きめのキーボードにしたところバッチグー!

2500円くらいです。

少しかちゃかちゃ音がするので、気になる方はごめんなさい。

タイピングよりも話を聴く方に集中したいので、お許しください。

 

 

電子カルテ繋がりのお話しですが、

国はマイナカードと保険証を一体化し、さらに電子カルテを共通カルテとして他の医療機関のカルテも見れるようにしようとしているようです。

特に精神科だとかなりプライベートな話もあるので、例えば知り合いの医療事務のスタッフとかが勝手にあなたの個人情報閲覧できるとしたら問題じゃないでしょうか?

断固反対ですね。みなさんも声をあげてください!

このまま強行するなら(まあ、いつも無理やり強行するよね)当院では2重カルテにして、プライベートな内容は別に保管し、外部からアクセスできないようにしようと計画しています。

7月 2, 2023

ラケット買います。

テニスを始めてから2ヶ月半。

おっさんでもまだ間にあう!を合言葉に練習に励みました(オオゲサ)。

優しいコーチにうまい!うまい!とおだてられ、

結構いい感じになってきました。

とりあえずラリーして遊ぶところまではできそうです。

 

と言うことで、今までレンタルラケットでしたが、自分のラケット買います!

コーチのおすすめでレベルが上がっても使えるモデルにしました。

楽しみです。

 

一方、ショッキングなことも・・・

テニスを初めてから体重は鰻登り。

太ももやお尻が筋肉でムチムチしてきました。

 

なかなか体重減らないんですよね、

とコーチにつぶやくと

「テニスは痩せないよ。

だって、止まっている時間多いし、瞬発系だから」

だって。

 

痩せるって信じていたのに・・・

体が軽くなって、階段とかスイスイ登っちゃうイメージだったのに・・・

 

テニスとは別に、ランニングなど有酸素系の運動しないといけません。

 

ん〜、テニスの時間作るのに相当大変だったのに、走る時間作るの厳しいっす。

 

 

それはそうと、テニスは楽しいし、運動後のシャワーが超気持ちーのです。

コーチと話していると、いかに生徒に楽しんでもらうか、生徒が楽しいとコーチも楽しい、

そういう視点で教えているとのこと。

 

いいね!

 

そう考えると我々の世代の部活ってなんだったんだろうか?。

技術も楽しさも教わることなく、素人の先輩からのしごき、無限坂ダッシュ。

予算の関係上、きちんと教えられるコーチを中学生や高校生ごときに配置するなんて無理だったのはわかります。

しかし、あれだけの時間と熱意を費やしたのに、大した技術も習得ことなく過ごしたのはなんともったいないことかと振り返ります。

テニスなんて言うおフランスの貴族が始めた高貴なスポーツと違って、ストリートから発祥したサッカーやバスケをやるのが精一杯だった少年時代、コーチをつけるなんぞ、夢のまた夢でしたね。

 

 

 

7月 1, 2023

薔薇色の人生。

イブピアッツェ。

香水のような香りのするバラ。

昔バラガムってあったの知っている中高年の皆様はいらっしゃいますでしょうか。

ガムを噛むと汗がバラの香りになり、体臭が心地よいものになるとか、ならないとか。

好きでよく食べていたのですが、すぐに廃盤になってしまいました。

汗がバラの香りになった自覚はなかったですね、笑。

 

薔薇色の人生って言う表現、最近はあまり使わないですけど、

そんな人見たことないですね。

精神科医だから?

どんなに輝かしく見えても、それぞれ事情があります。

 

自分で自分のこと薔薇色の人生だな〜って思うのはとても良いと思いますが、笑。

 

 

6月 29, 2023

幸せ。

6月29日。

肉の日。

連想が、食欲丸出しでお恥ずかしい。

 

新宿で研修会があり、お腹が空いたので、昔訪れたことのあるブラッスリーに立ち寄った。

ちょっと贅沢な2500円のランチ。

でも、この物価高で、この美味しさで、2500円は破格だと思う。

家賃も相当高いはずで、赤字なのではないかと心配してしまう。

 

ラム肉と魚介グラタンのワンプレート。

カシスソースが香ばしく焼いたラムチョップによくあう。

パンにつけるオリーブオイルも絶妙に美味しい。

もちろん大人になってから初めて食べたものだが、

懐かしくて、温かい気持ちになった。

ぼっちであるが、素敵な時間を過ごせた。

ありがとう。

 

 

 

6月 28, 2023

それぞれの道。

研修会の会場で、親しい友人とばったり会った。

資格の更新のために私と同じように焦って研修実績のポイントを貯めていた。

 

彼は大企業のCEO、昔から話のスケールが大きかった。

有名人や成功した人がこぞって入居していた六本木ヒルズに若い頃から居住していた。

住人同士の交流もビジネスの成功に関係しているようだ。

彼は医者の免許も持っているし、その分野でも活躍していた。

しかし、法科学院に通って法律の勉強をしたり、ビジネススクールでMBAエッセンシャルも勉強。

経営者としての敏腕を如何なく発揮。

世のため人の為に事業を展開してきた。

今や彼は臨床で患者さんを診察することもないし、関連企業のトップらを招集し、経営の勉強会を開き更に企業の飛躍を追及。

昔はすこしとんがっていたけど(誰しもがそうだとは思うが)、今はとてもとても優しい。

生まれもいろいろ。

人生色々。

能力色々。

 

 

6月 19, 2023

どうなりたいか。

今日は診療直後より慶應認知行動療法研究会を聴講。

大野裕先生の鋭いコメントが冴え渡ります。

私も先輩方から指導を受けていた時に、患者さんの言葉の意味がイメージできるまで質問するということをトレーニングを通して学んできました。

経験の浅い頃は、患者さんの言ったことをそのまま鵜呑みにしてしまう傾向にあります。

わからないことをなんとなくわかったような気になってそのままにしてしまうことがあります。

どういう意味なのか、どうして言ったのか、情景が目に浮かぶまできちんと聴かないと、聞き流しているのと同じことになってしまいます。

そして、患者さんに聴かなければ行けないこととして一番大事なことは、

治療をして、どうなりたいのか、どんな風に生きていきたいのか、何をしたいのか、

きちんと聞いて共有できることはとても大事です。

患者さん自身どうなりたいのか考えていないことも少なくないのですが、

それがあるのとないのでは、治療の結果も異なるし、よくなる度合いも違うと思います。

「症状を軽くして健康になりたい」という先の

「症状が軽くなったら、どんなことをしたいのか?どんな風に生きていきたいのか?」

が重要なのです。

発達障害の傾向のある方は、将来を想像することが難しく、どうなりたいかがイメージしづらいこともあります。

症状が遷延する理由の一つはこの想像力の乏しさにあるのではないかと思います。

この辺りをどうするかもっと掘り下げて行きたいと思っています。

 

6月 16, 2023

大物との戦い。

今日はそろそろ卒業が視野に入ってきた患者さん数名の診察がありました。

辛かった以前を振り返って笑えるようになったことの喜びを共有し、今までよく頑張ってきた健闘を讃えました。

お世辞もあるとは思いますが、「辛い状況を乗り越えられたのは先生のおかげです」と実感を込めて言ってくださるのです。

嘘には敏感なので、多分(笑)本心から言ってくださっていると信じています。

 

公務員の方は、相当な地位のある上司から壮絶ないじめを受けていました。

どうしてそのような状況になったのかも詳細にしらべて理解しました。

休職をし、体調を整え、異動ができるまで耐え忍びました。

そしてその上司が定年退職し、やっと平和を手に入れたのです。

その間、反撃は行いませんでした。

あまりやりすぎると強硬な措置を取りうる(実際に法的措置の実績があり)ことはやんわりと警告しましたが、私自身も危うい状態に追い込まれたかもしれません。

おそらく私自身が被害者であったら反撃していたかもしれません。

しかし、その後の患者さんにとってのメリットデメリットを天秤にかけて、

こちらからの攻撃はせずに乗り越えました。

もし反撃をしていたら患者さんの心に新たなトラウマを作ってしまっていかもしれません。

 

患者さんは自分がどういう状態なのか関心をもち、一般の医師はどうして症状が出現したのか、その原因に関心があります。

しかし、私がもっと重要であると感じているのは、どうして良くなったのか、何がきっかけで症状が改善したのか、ということです。

これを評価することで、患者さんがその後強く柔軟に生きていくための力を得ることができます。

患者さんへの最大のプレゼントはそれなのではないかと思って、日々診療にあたっています。(これは本人には難しいことなので、主治医が重要な働きになると思います。)

 

全力で診療にあたってきて、感謝のお言葉を徐々に頂戴するようになったのは、今までの努力が結実してきたことの表れだと思っています。

直接のコミュニケーションはもちろん、Googleレビューでも是非!笑。(それかい!)

 

 

 

 

 

 

6月 15, 2023

今日も講演会。

今日は医局の1コ先輩の宗未来先生のご講演が聴きたくて、以前からリクエストしていました。

とてもユーモアのあるスライドを使って饒舌に面白くご講演されていました。

同じ医局の大野裕先生から認知行動療法を学び、水島広子先生から対人関係療法を学び、独自の精神療法を発展させていらっしゃいます。

薬物療法が主流の現在の精神医学において、精神療法(心理療法)に力を入れている大学は他にないのではと感じています。

精神分析の日本での第一人者である小此木啓吾先生は有名ですが、私の師匠は門下生としていつも小此木先生のご自宅で色々なことを教わっていたそうです。躁うつ病の研究で有名な下田光造先生も同じ医局の先輩で、精神療法に禅の文化を取り入れました。同じ医局には偉人たちからスピリッツを受け継いだ先生方もたくさんおられます。

若い頃、もっともっと先輩方に食らいついて教えていただくべきだったなと振り返ります。

丸山公園のカエルさん

 

6月 13, 2023

摂食障害。

オンラインで研究会に参加。

慶應児童精神医学研究会で現在の摂食障害の治療に関してのご講演。

遅い時間からのスタートなので時間的に忙しい開業医には助かります。

 

私が大学病院で研修医をスタートした時、慶應の精神科病棟は境界性パーソナリティ障害及び他院で手に負えなくて紹介されていらした摂食障害の患者さんで溢れていました。

研修医時代に一番思い入れのあった患者さんは摂食障害の中学生の女の子でした。

最大限の熱意を持って治療に参加していたので、患者さんにもご両親からも信頼していただいたと感じました。

私がバイクに乗って通勤しているとお話ししたら、白バイ隊員のお父様が大事なグローブを譲ってくださったこともよく覚えています。

今も元気にお過ごしのことと、思いを馳せています。

 

当時私の指導医にあたってくださった先生方は、今では全員が精神医学会の重鎮の先生としてご活躍です。

当時の摂食障害の治療としては斬新なIVHポートを使った治療を渡邊衡一郎先生が提案され、私も学会で発表させていただきました。

 

今回の摂食障害の治療は、昔と大きく変わった印象はありませんでしたが、

流派によって治療法は大きく変わるようです。

飢餓状態にある時は認知が歪んでいるので、精神療法はやっても効果がないということで、前半は再栄養を行動療法を用いて行うことが今も昔も一般的です。

また最近ではやはりASD(自閉スペクトラム症)と摂食障害の関連に関心が集まっており、治療法もASD有無で変えているスペシャリストもいます。昔は父親や母親との葛藤云々とか言われていましたけど、ASDではあまり関係がないかもしれません。親の関わり方の問題ではなかったのに、当時は指導されてしまったケースもあったかもしれません。

 

慶應の小児科では児童精神科の重鎮である渡辺久子先生が当時ご活躍されていた流れで、今は小児科で摂食障害を診ているのかもしれません。(間違っていたらごめんなさい)

 

摂食障害の治療には内分泌などの身体医学のかなり詳しい知識や治療技術が要求されます。

よって今も昔も、小児科、内科、精神科などが連携して治療ができる総合病院でないと、対応が難しい場合も多々あります。

 

私は摂食障害の治療経験があるからこそ、治療の限界もよく知っています。

その結果、当院では摂食障害の治療は行わないと決め、受け入れを行っていません。

摂食障害治療経験が生かされないのは残念ですが、なんらかの形で他の疾患の治療に役立っていることと信じています。