Written by 上尾メンタルクリニック
たった今、音楽家の坂本龍一さんの訃報に接しました。
唯一無二の素晴らしい楽曲が心に響いた音楽家でした。
坂本さんの言葉が印象に残っています。
「私には友達の定義がある。
本当に困った時に電話する奴。」
創作活動に伴う苦しみは甚大なものであったようです。
その苦しみを打ち明けることのできる友達がいたのでしょう。
私も精神科医を生業としているということも要因かと思いますが、深刻な悩みを相談されることが時々あります。
幼稚園の時の友達から大学の同級生、仕事仲間など人生を通して出会ってきた大切な仲間から。
そのような時、改めて私のことを友人として信頼されていたことを痛感します。
ただ、私の能力が低いためにお悩みの解決の力になれることは半分もなかったかもしれません。
力になれない時は私もとても悔しいし、悲しいのです。
それでもできることが何かないか懸命に搾り出そうとする姿勢は相手に伝わりますし、友達であるという実感自体はお互いの支えになると私は考えています。
信頼関係は簡単なものではないですが、とても力になるものです。
坂本さんも良いお友達に囲まれて天に召されたのでしょう。
坂本さんはドビュッシーに影響を受けたそうです。
憂のある美しい旋律がドビュッシーのアラベスク1番を彷彿とさせます。
心よりご冥福をお祈りいたします。