30代の女性。時折蕁麻疹が出るようになったということで市内の〇〇〇皮フ科を受診。初老の女医が3分くらいみて精神科の薬のせいだと言われたそうです。かなり断定的に。
たしかに精神科の薬には薬疹が出ることがある薬がいくつかあります。
有名なのはラミクタール、テグレトール、ルジオミール、コントミンなどです。
また古いタイプの抗精神病薬を長期的に使っていると特有の皮疹が認められることがあるということは、何年か精神科単科病院に勤務していれば常識となります。やはり実際に見たことがあるかどうかというのは非常に大事な要素になります。
ベンゾジアゼピン系の薬を服用していると光線過敏症になる可能性があるということも重要な知識です。
どのような皮疹がどのようなタイミングで出るとか経過を見れば、関連性を推定することはある程度できます。
まあ、確かにどの薬で薬疹が出るかというのはわからないので、色々調べていくしかないのです。
患者さんから相談を受けて、一つひとつ薬を抜いたりして経過をみましたが、皮疹の方は改善されません。
その間薬を抜くわけですから患者さんは当然症状がぶり返し、苦しみに耐えながら実証実験を繰り返すわけです。
結局埒が開かないので、私が信頼する皮膚科を受診してもらい、最終的に大学病院で全ての薬のアレルギー検査をしてもらいました。
結局精神科の薬は全くの白で、薬疹の原因ではありませんでした。詳しくは忘れましたが、他の皮膚疾患だったそうです。
元々そこの皮膚科は適当な診療で有名で、脂漏性湿疹をニキビだと診断したり、専門性に乏しい様子でした。
〇〇〇皮膚科ではその後も他の患者さんでも「これは精神科の薬の薬疹です」と宣告し、不安に陥れていましたが、ことごとく誤診であることが判明しています。
どれだけこちらが迷惑しているか知らないんでしょうか。患者さんの身にもなってみてほしいですね。
わからないものをわからないと正直に言えない医師。
わからないと精神科の薬のせいだと決めつける医師。
そういわれてもおかしいと気が付かない身体の勉強が足りない精神科医も少なくありません。
精神科医ももっと体の勉強もして信用される診療を行うべきだと感じます。
大学で私のオーベン(指導医)だった水野先生が院長を務めていらっしゃる都立松沢病院では、精神科医のための身体科研修コースというのもあるようです。
精神科医が体も同時に診察すると実は精神科の治療的にむずかしい部分も出てくるのですが、わかっているかどうかはとても重要だと思うのです。