みぞれの降る中、公務をはしごしてきました。
午前中は県の児童相談所、
午後は県のリハビリセンターで知的障害者の更生相談。
クリニックでは現在の体制の事情から、児童思春期や自閉症などは「専門外」として扱っていない分野なのですが、
私の師匠がこの分野での第一人者ということもあって、とても大事な分野だと認識しています。
検査などの数字には出てこないであろう微妙なニュアンスを、知的障害の方や発達障害の特性を持つ方に感じ取ることができるようになりました。
児の発達と母親との愛着の問題も切り離すことができません。小さいころにネグレクトされ親から捨てられ施設に入った子が多くの問題を抱えて過ごしていることも少なくありません。
師匠のこどもの診療はこども中心で、とても愛があふれていました。虐待をしている親と対決することも少なくありませんでした。
まずはこどもひとりだけに診察室に入ってもらい、丁寧に時間をかけて話を聞いていきます。どの程度の力があるのか評価するのと同時に、親には言いにくい、親の問題を聞くことができます。
本人と相談して親には内緒にしてほしいと言われたことは内緒にしてこどもとの信頼関係を醸成することをまずは優先します。緻密な対応が必要となっており、非常に高度で専門的な治療を行っていました。
私もそのスピリットを継いでいきたいと思いましたが、現在の体制では十分な治療ができるとは言えません。中途半端にやるのにはどうしても抵抗感がありました。
最近は児童精神科を標榜する医療機関もちらほら見られています。
しかし内容はピンキリで、とても児童思春期専門と宣伝するには?な機関もあります。
「こどもの治療は親の希望なんだから、子供だけから話を聞く必要がない」とこども不在の治療を行っているところや、
親への不満や友人関係の不安などを言語化できずに不登校になっているこどもをひたすら叱咤激励するだけ、とか
びっくりするような機関があります。
まあ、私の立場で言えるような話ではありませんね。
でも自分のこどもを診てもらいたいと思えるような機関は限られます。
ご時世としては財政難から診療報酬を引き下げる方向にしか動きませんが、ますますきちんとしたことをやろうとするところほど成り立たなくなっていきます。
中途半端でもやらないよりかはましなのでしょうか?何かもう少し役に立てるようなシステムを考えたいと思います。