—— 医療の現場から見た「完全予約制」と財務省の言説への強い懸念 ——
当院が完全予約制である理由
当院は初診・再診ともに完全予約制です。
この点について、時に「予約制=急患を診ない」と誤解されることがあります。
しかし実際には、
かかりつけの患者さんの急変には、ほぼ 100% 対応しています。
お困りの際は、どうかまずお電話ください。
予約患者さんの時間を丁寧に調整し、誰にも不利益が生じぬよう最大限配慮します。
ただし、予約制の診療を成立させるためには
患者さんにも時間を守っていただくことが極めて重要です。
その秩序があるからこそ、急な相談にも柔軟に対応できる体制が維持できます。
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初診がすぐに受けられない理由
当院の初診に関しては、残念ながら「即日対応」はほぼ不可能です。
理由は単純で、精神科の初診は極めて高度で時間を要する作業だからです。
私は初診に1〜2時間、全力で集中し、
病歴、生育歴、性格、発達特性、生活背景、家族歴、リスク評価、併存疾患、環境、法的要因まで徹底して確認します。
これは、私が尊敬する師匠から学んだ
「精神科の初診は、最初のボタンをかけ違えないことが最重要」
という教えによるものです。
初診を雑に始めると治療は必ず迷走し、
患者さんに不利益が生じます。
そのため、初診枠はどうしても限られます。
おつらいところ申し訳ありませんが、「たまたま空いていたらラッキー」——それが現実です。
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「即日初診」を売りにしているクリニックについて
精神科で予約なしに次々と初診をこなすというのは、
本来の精神科医療のあり方からは大きく逸脱しています。
質を重視するクリニックほど、予約枠はタイトになります。
その結果、正直に言えば “儲かる構造” ではありません。
しかし、「診療の質」を最優先にするのであれば、
このスタンスは譲れません。
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財務省の言説について
ここからは、現場医として強い危機意識を込めて書きます。
近年、財務省や財政審の議論には、
医療現場への敬意も、正確な理解も、残念ながら感じられません。
特に問題だと考えるのは、
医療費を「無駄遣い」と決めつける姿勢と、
医療者への一方的な悪者扱いです。
「協力してほしい」と言われれば、医療者は応えます。
しかし、今の言説は
“断罪” と “恫喝” と “印象操作”
に近い性質を帯びています。
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社会保障費が増えた理由を、財務省は正しく説明していない
医療費全体が増えたのは、
高齢者が増えたからであり、
個々のクリニックの収益が増えたからではありません。
むしろクリニック単体で見れば、
診療報酬引き下げに伴い 収入は減っています。
にもかかわらず、
•一部の悪徳クリニックのデータを利用して“平均値”を引き上げて扱う
•コロナ禍の補助金による一時的収入を意図的に切り抜く
•内部留保の実態が見える中央値は提示しない
こうした、実態を歪めたデータ提示が続いてきました。
これはもはや、政策のための分析ではなく、
政策ありきの“物語づくり”です。
天下り先や大企業の不祥事には寛容なのに、
医療機関には容赦なく刃を向ける
これもまた、現場として大いに疑問を覚えます。
財務省で医療費について論じている財政審のメンバーは
日本郵政の不祥事を在任時には明らかにせず多額の報酬を受け取って勇退した天下りの増田寛也氏、
消費税を社会保障に使うと言って莫大に特定の企業に還付させている経団連の代表、
などです。
官僚の天下り問題——
国民負担や税金の使途に関わる重大な問題は数多くあるのに、
天下り問題には触れさせようとしません。
医療が壊れると、最終的に困るのは国民です
今の方向性で診療報酬が削減され続ければ、
•急増する患者数に対して
•労働時間は伸ばせず
•報酬は減り
•人材は枯渇し
•質より量をこなす医療に落ちていく
そして、まともな医療は自費でしか受けられない社会になります。
財務省は「財源がない」と言いますが、
国民が納得できない税金の使われ方は他にいくらでもあるはずです。
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最後に
国民の生命と財産を守るのが政治の役割だと思います。
高市さんには財務官僚の脅しに屈せず任務を遂行していだきたい。
健康なうちは強がっていられますが、命に関わる病気にかかれば医療の大切さを痛感します。
財務省、経団連、増田寛也氏の診療を皆でボイコットすれば、医療のことをもっと理解していただけるのでしょうか…



