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10月 25, 2024

信じる者は救われる。

「他院に通院していて症状が良くならないからそちらに転院したい」

そういった内容で当院を受診希望の方が見えることも少なくありません。

医師の診断や治療内容がよくないから改善しないのか、

患者さんの受診態度に問題があるのか、

内容はさまざまで、患者さんに問題がある場合はどこに行っても良くならないことがあります。

例えば薬は絶対に飲みたくないという要望がある場合、症状によってはどうしても治療が困難になってしまうことが少なくありません。

以前、ある女性が他院から当院への転院を希望しました。(同じような方が何人もいましたので、複数人のエピソードを混ぜて記載します)

私には最初からその方の問題点が見えていましたので、「お薬を服用されないのでしたら、こちらでは対応ができないので他を当たってください」とお断りしました。しかし、「必要なら服用しますのでどうしても診てほしい」と粘られてしまい、迷った挙句引き受けることにしました。

非常に不安が強く、疑り深い方で、病気のことや薬についてインターネットで調べて来ては、(ほとんどが間違った情報なのですが)悪い情報ばかりを拾っています。

当院を受診後も私が見通していた通り、お薬を処方してもネットで調べたらこんな副作用が書いてあったので飲みたくありませんといっては服薬してくれません。

毎回飲む飲まないの話で時間をたくさん費やして、全然先に進めません。

他の薬に変えても効果が出る前に辞めてしまいます。

「信用していただけないのは当職の力不足なのでまずは薬を使わない治療を謳っているところをあたってみては?それでうまくいかなかったらまた相談してください」

と提案するも、当職の治療にこだわっていました。

当職をまるっきり信頼していない訳でもないと考え、治療を続けていました。

治療を続けるのは構わないですが、毎回質問攻めで説明に時間が係り、他の患者さんを待たせてしまいます。

その点だけは困りました。

 

ある日、近隣の医療機関のHPを見て、そこに書いてある薬を使ってみたいと言い出しました。

これは実在する他院のHPです。

彼女が興味を示したのは「海外のガイドラインで認知機能低下を伴ううつ病で推奨されている抗うつ薬」とのこと。

「それは、まさにあなたに今処方している薬ですよ」

と事実をお伝えしたところ、きちんと服用するようになって

急に症状が良くなり始めました。

 

薬について不信感を抱きながら服用するのと、

症状がよくなっていくイメージで服用される時では、

副作用の感じ方や、改善を正しく認識する度合いが異なり、

服薬を維持できるかどうか予後を左右します。

 

やっと信用してくれて、治療が噛み合い始めたのです。

「信じる者は救われる」

ということでしょうか。

信用に至るタイミングや状況、きっかけなどが揃わないと治療がうまくいかないので、

医療や薬への不信感、困り具合などの状況によっては、「治療する腹が決まってから連絡してください」と初診のお電話の段階で一旦お断りすることもあります。

当院は患者さん側にも覚悟を要求するこだわりの医院ですので、びっくりさせないようHPにも詳細に注意書きを掲載しています。

逆に腹が決まって受診された方を、初診の段階で詳しく理解してどうしてこうなっているのか説明して差し上げると、良い意味でびっくりしてくださることは私にとって至福の喜びです。