当院では待合室から診察が始まっています。
私のセンサーが比較的広いクリニックの待合室にまで及んでいるというのは冗談のようで本当のことです。
診察しながらでも、待合室の様子が手に取るようにわかることがあります。
雰囲気とか物音、声色など。ああ今日は子供連れてきているな、
お子さんADHDっぽいな、
今日はテンション高めだな、とか。
通院患者さん以外の人が自動ドアから入ってくるとすぐにわかります。
予約外で初診を受けようと直接いらした方に、完全予約制であり当日の診察はできない旨丁重にご説明することがありますが、納得されない方もいます。ちょっと不穏な雰囲気を感じればスタッフの安全確保のためすぐに駆けつけます。
強迫性障害の方が洗面所で激しく手を洗っているのもわかります。
仕事中はずっとアンテナを張っています。
また特に初診の方に関してですが、待合室での様子を詳細にスタッフが観察し、私に報告してもらいます。
受付で横柄な態度をとっていて、医師には媚びているとか患者さんの様子は筒抜けになっています。
トイレはどなたかが使用されるたびに清掃しますので、通常ではない使い方で汚される方も把握しています。
排泄と攻撃性の心理的な関係も診断の一助になることがあります。
ある日、スタッフが焦った感じで私に報告してきました。
◯◯さん、ものすごい露出したミニスカートなんです!
まあ10代後半から20代前半の女性がミニスカートを履いていることはたまにあります。
境界性パーソナリティ障害の方を診察していたときは、かなりの露出の方も少なくはなかったです。
しかし◯◯さんは落ち着いた大人です。
そんなわけはない、まさか今まで躁状態を見逃していたのか?などと思案しながら入室を待ちました。
ああ、なるほど。
薄いピンクのタイトなパンツの上に短い紺のスコート(っていうのかな)を履いてたのです。
履いているどころかとてもおしゃれに着こなしておられました。
電子カルテを経由して
「履いてますよ!ピンクのパンツ」
と通知したら、スタッフが吹き出しそうになり大変だったそうです。
いえいえ、いつもはこんなふざけていません。
限られた時間の中でも患者さんの本質を見る為にここまでやっているクリニックも少ないのではないかと思います。
診察室の中はその患者さんの一面しか見ていません。
待合室は別の顔があるかもしれません。
自宅の様子が知りたければご家族に伺うことが必要だし、
会社での様子は上司に伺うことが必要な場面もあります。
(ご家族や上司からの面談のご要請の場合は面談料がかかる場合がありますので必要な方はお問い合わせください。予約が必要です)
院内ではできるだけのことをやります。
だから疲れるんですよね、笑。