今夜は慶應薬理研究会に参加。せん妄について八田耕太郎先生のご講演を拝聴。
せん妄って一般の方には馴染みのない言葉だと思います。
きちんとした説明はここではせず、ざっくり行きます。
インフルエンザなどで高熱でうなされ、夢かうつつかわからないような状態になったことってありませんか?
体調が悪くて意識が朦朧としているようなイメージです。
怖い夢を見て興奮してしまうこともあれば、意識がぼんやりしてぼーっとした状態かもしれません。
基本、体調が悪い時に生じます。高齢者で脳や体の機能が落ちていて、入院して手術するときなどに認められることがあります。
おじいちゃんが入院したら、場所も日付も家族もわからなくなってしまって急にボケちゃったとか、夜騒いで病院から家族が呼び出された、なんてこと経験されたご家族もいらっしゃるのではないでしょうか。
総合病院では日常茶飯事です。
慣れた外科の先生なら、ご自身で管理されますが、オペ以外には関心がない先生の場合は、せん妄が起きたら自動的に精神科医が呼ばれます。
私の総合病院時代は、そのような時にスマートに対応しその場をおさめてあげると、精神科医がありがたがられました。
精神科医がヒーローになれる唯一の?場面でした。
そういう関係性があったので、総合病院勤務時代は他の科の医師ととても仲良く過ごせて、色々教えてもらえたので、充実した医師生活だったと振り返ります。
患者さんは意識が濁っていますから、基本、話は通じません。対話でなだめてなどというのは机上の空論で、第一線で対応する看護師さんが怪我をするリスクがありますので、精神科医が体を張って暴れる患者さんを抑えて鎮静することもあるのです。
しかし当時は有効な薬も少なく、副作用も問題となり、なかなかスマートに対応というわけにもいきませんでした。
今私は診療所で仕事をしているので、せん妄の患者さんの対応をすることはほとんどなくなりましたが、知識をアップデートするために参加したのです。
とても勉強になりました。
せん妄と炎症、酸化ストレス、睡眠覚醒の関係、高齢化にともなうメラトニン分泌の減少、侵襲とコルチゾールやオレキシンの分泌、
デクスメデトミジン(DEX)、ガバペンチンのみならずプレカバリンなどの効果、抗精神病薬の効果の研究結果の解釈の仕方や実践的な使い方、メラトニンやオレキシン拮抗薬の使い方、経口投与ができない時の貼付剤や点滴薬の使い方、メラトニンには覚醒睡眠リズムの改善のみならず、抗炎症作用や抗酸化作用があることなどの知識を整理して解説いただきました。
普段せん妄を診ることはなくなりましたが、他の病気の治療に役立てたいと思います。