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4月 18, 2025

知り合いの助言ってどうよ。

循環器内科の友人が嘆いていた。

その友人は昼夜を問わず、患者さんの命を守るために、それこそ自分の命を削って毎日働いている。

典型的な職人気質の医師だ。

 

あるご婦人が心筋梗塞で運ばれてきた。胸に鋭い痛みが走り、灯が消えかけていたが、懸命なカテーテル手術により命を呼び戻した。

心臓の力は衰えたが彼女はリハビリに励み、歩いて家に帰ることができた。

 

心筋梗塞の再発を防ぐためには、悪玉コレステロールを抑えることが不可欠だ。コレステロールを下げる薬でLDLを200から90まで良下げることができて、退院できた。

しかし、退院1ヶ月後、診察に訪れてきた彼女のLDLは再び200に戻っていた。

首を傾げていると、「薬はやめました」

「友人がネットで調べてくれて、週刊誌にも載っている強すぎる薬だからやめた方がいいって」

と彼女は申し訳なさそうに言った。

服薬の重要性を説明したが、「薬は飲みたくない」と首を縦に降らなかった。

 

しばらくして、彼女は救急車で運ばれてきた。今度は心臓がさらに弱り、動くたびに息切れがし、外出すら叶わぬ身となった。

「先生の言うことを聞いておけばよかったです」

瞳の奥には深い悲しみが漂っていた。

目の前の医師よりも、見えぬ言葉を信じた代償は大きかった。

友人は医師としての無力感に苛まれた。

 

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