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12月 8, 2024

処方薬依存。

特にエチゾラム(デパス)、トリアゾラム(ハルシオン)などの即効性のある独特の飲み味のある安定剤は強烈に依存性がある。

飲んですぐにふわっと効いた感覚を感じることができ「キタ!」という決まった感がある。覚醒剤同様にキマッタ感が癖になるという。

そして上記の薬物は3時間程度で血中濃度が半分まで低下し、効果が急速に薄れていく。薬が抜けていく感覚も感じやすい。

それゆえ、また欲しくなるという寸法である。

発達障害の傾向がある方の中には、その独特の感覚にハマってしまい、その同一性という特性でこだわりから離れられなくなってしまう人もいる。

アルコールとか安定剤とか、これ一本あれば、これさえあれば、という思考にはまりやすい。

一旦デパス依存形成されてしまうと、他のどんな薬にも満足できなくなり、他の薬を受け付けにくくなってしまう。

だから、デパス依存の人の精神疾患の治療は極めて難しくなる。

長期にわたって入院していて他に打つ手がない患者さんに使っていたことは過去にあったが、当院では基本的にデパスとハルシオンなど特定の薬剤を処方しない。

これまでも他院でデパスを処方された経験のある患者が、私にデパスを処方するよう要求し、私がそれを受け入れなかった時に猛烈な反応を示し、悪いクチコミや書き込みを行った者が3人ほどいた。感想だからいいけど、事実を歪曲している場合は徹底的に対応するかもしれない。どういうわけか一人だけ今も当院に通い続けている。私はみんなわかっているのだけどね。その後はデパスがなくても調子はいいみたいなので書き込んだものの消せないのかもね。いい迷惑だけど。

このような事情で最初からこれらの薬を指定してくる患者は基本的に受け付けない。

服用している場合は当院では処方しない旨ご納得の上受診の受け入れを行なう。

 

先日他院からの転院希望の患者さんを受け入れた。

よーく話を聞くとデパスを1日8錠処方されていた。

患者さんには処方薬の指定はできないこと、デパスはやめさせてもらうという条件なら受け入れると返答した。

発達の観点からも詳細な問診して診断を行った。

2回目の再診時に「先生に嘘をついていました」と打ち明けた。

実は転院元以外にも別のクリニックにかかってデパスを大量にもらっていたとのことだった。

二つの精神科にかかって同じ薬をダブって処方してもらっていたという。

薬を右から左にただ処方するだけの診察をしているクリニックはそのような事態に巻き込まれやすい。

私のように詳細な経過を聞くと些細な違和感で気がつくことが多い。

まあ、なんとなくわかっていた。

患者自身から告白して謝罪の上、「生育歴から聞いてくれてラポールが形成されたのは先生しかいないので、できれば先生に診ていただきたい」と精神科の専門用語まで使って当院での加療を希望した。

本人から正直に打ち明けてきたし、きちんと謝って、処遇も委ねてきたので、許して診てあげることにした。

これから治療が良い方向に展開していくだろう。

彼から申告しなければ不正薬物取得とみなして出禁にしていたかもしれない。

 

別の患者は最後までしらばっくれていた。こちらから暴いてどうするつもりなのか追求したところ、大宮駅の不誠実なクリニックにはこれからも通い続けたいと述べた為、当院出禁とした。

素直に謝れる人間にはチャンスを与える。

逆ギレするエナジーバンパンパイヤには私の命を削ることはさせない。

たかが仕事だけど、こっちだって真剣に全力でやっている。

たかが薬と思うかもしれないが、処方するのかしないのか、何を処方するのか、変薬するのかしないのか、一歩間違えば大きな影響を与える一手。

決断は消耗する。

アップルの社長だって決断の数を減らすために毎日同じ服を着るという。彼にとっては洋服選びは無駄な消耗らしい。

 

とはいえ、デパス依存を作ってきた医療サイドの問題もあるよね。(メンタルに限らず、内科や整形外科を含め節操のない処方をしていたところがあったという背景がある。これは30日処方制限のリストに入れていなかった厚労省のミスだよね。)

このような薬こそ専門医以外は処方できないようにすべきだと思う。

 

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