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脳の過敏

12月 19, 2025

耳鳴り。

耳鳴りってやっかいです。

耳鳴りの症状があれば通常耳鼻科を受診します。

でも、「年だから」「耳鳴りは治らない」と言われてしまい、取り合ってもらえないことも少なくありません。

せめてもとストミンAを処方してくれる先生もいらっしゃいますが、なかなか効果は得られません…

そういうところにサプリ業界が進出してきます。

当帰芍薬散や八味地黄丸などをまるで劇的に効くかのうような誇大な新聞広告などよく見ます。

間違ってはいないけど、病態があっていなければ全く効果は得られません。

 

うつ病にともなう耳鳴りはうつ病の治療するだけで自然となおっていくこともありますし、

ASDの感覚過敏が主体の場合はまた別のアプローチが必要な場合もあります。

難聴が原因であれば、より耳鼻科的なアプローチが主体となります。

 

ただ、一つ言えることはめまいや耳鳴りなどの症状は非常に苦痛が強く、不安と結びつきやすいということです。

また脳の過敏状態が疑われるケースが多く、(めまいの場合ははPPPD:トリプルPDと言われますが)感覚過敏を抑えてあげる治療をすることで症状が緩和されることを私は見出してきました。

適応外治療などで自費で受けていただく場合もありますが、うまくいけばそれなりの効果が得られています。

そうはいっても、なかなか手ごわい症状で簡単ではありません。

10レベルの症状が5になればいいという感覚です。

期待しすぎるとがっかりするかもしれません。

 

今年は少し離れた地域から学校の校長先生が当院を調べて受診にきてくださりました。

大きな病院の耳鼻科で匙をなげられてしまったのです。

 

当院ではなぜか一般の先生よりも校長先生・教頭先生・事務長の比率が高い印象です。

大学の教授や大病院の幹部の先生などもそうなのですが、お忙しい先生方ほどスケジュール管理が厳格で予約通りにいらっしゃるし、治療も熱心で服薬忘れも少なく治療はうまくいくことが多いです。

 

校長先生には精神科的な課題を抽出した上で、脳の過敏性を緩和する服薬をしていただくと同時に、注射も受けていただき1年近くかけて耳鳴りレベル10が0~1までになったと喜んでくださいました。

0~1レベルというのはなかなかない治療成績です。

可逆性の病態であったということが一番の鍵ではありますが、やはりご本人の努力なしにはこの結果は得られません。

今年最後の診察でそんなうれしいお言葉を頂戴し、やってよかったとしみじみ感じました。

 

最近やっとめまい専門外来を有する耳鼻科と精神科・心療内科の連携について認知されるようになりましたが、

当院でははやくからこの分野について注目していました。

今年も岩槻の目白大学耳科学研究クリニックの角田先生には大変お世話になりました。

今後ともよろしくお願いいたします。