ブログ

上尾

11月 15, 2025

世界一注射がうまい医師。

「先生は世界一注射がうまいね。」

最近ある患者さんからこう言われました。

お世辞を言うタイプではない方なので、なおさら胸に響きました。

もちろん、私が世界一注射がうまいはずはありません。

それでも、難病を抱え、幾度となく注射を受けてこられたその方が、

「先生が一番上手」と感じてくださったという事実は、医師として身に余る光栄です。

 

注射なんて基本中の基本の手技です。手術やカテーテル、内視鏡のような高い技術ではありません。

どうやったら痛みを最小限にできるか?そんなことに時間を割いている医療従事者は少数でしょう。

しかし「注射が怖い」という方はたくさんいますし、全てにこだわって完璧を目指すというのが私のスタイルです。

針、温度、スピード様々な観点から痛みを最小限にする工夫を研究しています。

 

インフルエンザのワクチンひとつとっても原価が高くても水銀が入っていない高品質なものをあえて仕入れたものです(現在入手できません)。

また四人分のワクチン(少し多めに入っている)を五人に分けて摂取して経費を節約している医療機関もありました。少しくらい量が少なくても効果には影響ないかもしれませんが、当院ではそのような節約はせず、ワクチンは規定量+アルファを使用しています。

こんなこだわりのためにお金持ちになれなかったのでしょうね。

経営者としてのセンスはないですが、私は医師は職人だと思っています。

 

嬉しいお手紙と患者さんの努力

今日はこんな心温まるお手紙いただきました。

とても嬉しいフィードバックをありがとうございます。

お薬の調整で状況が改善していると伺い良かったですね。

「もっと早く先生にかかりたかった」

そう言ってくださる患者さんが増えました。

しかし、10年前の僕は医師としてもっと未熟で、今の僕の方がマシです。

出会うべきときに出会ったのだと思います。

随分と遠方から通院されたいというお話でしたので最初は断ろうと思ったのですが、本当に頑張って通院されていますね。

治療のために時間とお金をかけてわざわざ遠くまで通う、そのこと自体が治療を促進させることがあります。

逆に楽して手に入れようという人は1回1回の治療をあまり大切にされない傾向にあります。

 

 

感謝のお気持ち

感謝のお気持ちをいただきました。

本当に心がこもっていて、おじさん泣きそうです。

 

 

患者さんの紹介・返書

患者さんと医師にも相性がありますし、また医師の得意不得意や思い込みなどによってうまくいくときもそうでない時もあると思います。そのような観点から、(ドクターショッピングをすすめるわけではないですが)私の治療がうまくいかないと感じた時は、別の医師で違う視点で診てもらうことをお勧めすることもあります。

紹介状というのは医師から医師へのお手紙であり、一見患者さんのもののようで違います。患者さんは開封してはいけません。そして、通常は紹介状を受け取った医師は返書を書くのが礼儀となっています。しかし返書を書かない医師も稀にいますし、診断名、受信した日付だけの内容の返書というのも少なくありません(むしろそれが一般的です)。そのような中、私の師匠先生は、返書を丁寧に書いていました。診断がきちんとついてから、見立てをフィードバックしていました。「紹介元の先生は患者さんがどうなったのか知りたいでしょ」

それを聞いてから私も丁寧に返書を書くようにしています。特に他の科の先生には「そんなふうに患者さんを診察しているんですね」と好評です。

大学の先輩から紹介された患者さんの初診について詳細にフィードバックしたところ、「こんなに詳しく診ている医師はなかなかいないよ」とお褒めの言葉をいただいたこともあります。

逆に、私の治療で部分的には良くなったもののすっきりしない部分もあった患者さんを年配の先生に紹介したところ、目から鱗の視点を返書で教えていただいたこともあります。

とはいえ、私からのフィードバックを余計なお世話だと思う先生もいらっしゃるかもしれないのは重々承知です。たとえば変にプライドの高い先生は「至らぬ点を指摘された」と感じてしまうかもしれません。

まあ、そういう先生とは関わらない方がいいので、それで距離を置けることはかえって好都合ともいえます。

 

私の力不足

身体疾患との複合により今回当院では限界と判断し、大きな病院にご紹介した患者さんがいました。

今はそちらの病院に入院中ですが、娘さんがわざわざ福岡からいらして、お土産までいただきました。

有名な大学病院の専門外来で治療がうまく行かず、そこからのご紹介で当院で引き継がせていただいたのですが

やはり私の力不足で申し訳ありません。

元気になられることを心から、心からお祈りしています。

 

 

好物の最中と哲学

 こちらも感謝のお気持ちということでありがとうございます。

毎回漢方と若干哲学的なお話がメインとなっています。

私は高校1年くらいの時にキルケゴールなどの実存主義に心奪われた時期もありましたが、医師になってからは全くです

精神科医は哲学に詳しいと思われている節もありますが、全然そんなことないです、笑。

 

 

激務お疲れ様です

こちらは湘南の風が吹きました。

流石のセンスでありがとうございます。

 

早く平穏が訪れますように

こちらは東京の風が吹きました。

私も昔は都会に住んでいたこともありましたが、東京はいろいろな意味で怖いです、笑。

住むには埼玉が一番です。

埼玉にいながら東京を感じることができました。ありがとうございます。

 

お疲れ様です

こちらもいつもありがとうございます。

励みになります。

 

10月 27, 2025

”更年期のほてりに”

更年期のほてり(ホットフラッシュ)

更年期のほてり(ホットフラッシュ)に悩んでいらっしゃる方は本当に多く、女性ホルモンの低下にともなって生じる典型的な症状の一つです。当院でも長年にわたり、その症状緩和に取り組んできました。

そして、もしかしたら、とうとう、、、画期的な漢方治療を見つけてしまったかもしれません。(詳しくはブログでは非公開です、笑)

実は、精神科ではあまり使わない漢方薬を別の目的で処方していた患者さんの更年期のほてりが劇的に改善したのがきっかけで新たな治療の選択肢を発見しました。まさに盲点でした。
「あっつい、あっつい!」とお困りのお嬢様方は、一度ご相談なさってはいかがですか?

従来の治療

これまで更年期のほてりには、加味逍遙散(かみしょうようさん)などの漢方がよく使われてきました。「加味」とは、熱を冷ます生薬が加えられているという意味です。ただし、プラセボと差が出なかった研究もあり、効果には個人差があります。

また、サプリメントは全体としてのエビデンスは一貫性に乏しいとされています。
しかし大塚製薬のエクエル(S-エクオール含有食品)が比較的効果を示すことがあります。臨床試験で一定の改善効果を示した報告もあります。癌で闘病中の方にもリスクなく使用できるとのことで、試してみる価値はあると思います。

さらに、プラセンタ注射で「少し楽になった」という方もいますが、どれも「劇的に良くなった」とまではいかないことが多いです。

ホルモン補充療法(HRT)はもっとも標準的な治療です。ただし、経口製ホルモン剤では血栓や乳がんリスクの報告がありますので、投与前に前がん状態などが潜んでいないかなど入念にチェックする必要があります。経皮投与(貼付剤・ジェル)ではそのリスクが小さいことが示されています。個々の体質や背景疾患をふまえ、主治医と相談のうえで適切な方法を選ぶことが大切です。(当院では子宮がん検診や乳がん検診など行っていませんので、ホルモン療法は婦人科の専門医にご紹介させていただいております)

非ホルモン治療の新しい動き

近年、ホルモンを使わない治療として「フェゾリネタント(Fezolinetant)」という新しい薬が注目されています。これは視床下部にある「KNDyニューロン(キスペプチン・ニューロキニンB・ダイノルフィン)」に作用し、体温のコントロールを整えることでほてりを改善する仕組みです。米国ではすでに承認されており、日本でも第III相試験が進行中です。

更年期障害とは?

更年期とは、妊娠・出産が可能な「生殖期」を終え、身体が次のステージへと移行する過程のことを指します。この時期、卵巣から分泌されるエストロゲン(女性ホルモン)が減少し、それを脳の下垂体が察知して「性ホルモンをだしなさい」と卵巣を刺激するFSH(卵胞刺激ホルモン)を多く分泌するようになります。この過剰な反応の過程で視床下部の体温調節中枢のバランスが乱れ、体温の「許容範囲」が狭くなることが、ほてりや発汗の原因と考えられています。

脳の過熱感と不眠の関係

患者さんの中には「頭がのぼせたように火照る」「首から上が滝汗」と訴える方が多くいらっしゃいます。視床下部(体温調節中枢)が興奮状態になり、わずかな温度変化にも敏感に反応してしまうためと考えられます。

私自身の臨床体験からも、脳が興奮して熱を帯びているような状態――いわば「脳のオーバーヒート」が、不眠や頭部の火照りと密接に関係している印象を強く受けています。このような状態は神経生理学的にも、覚醒レベルの上昇(交感神経優位)や視床下部の過活動と一致する可能性があり、「脳の冷却がうまくいかない状態」とも言えるでしょう。

その意味で、就寝前に脳の興奮を静める習慣(照明を落とす、ぬるめの入浴、深呼吸、穏やかな音楽など)は、眠りの質を整えるうえで非常に重要です。脳を「冷やす」という比喩は、単なる感覚的表現ではなく、心身の調整をイメージするうえで患者さんにも伝わりやすいと感じています。

深部体温をコントロールする工夫

脳を冷やすとよく寝れるのではないかという考えから、氷枕(ダイソー200円、硬さがちょうどいいです)を患者さんに試したことがあります。「少し楽になった」とおっしゃる方もいますが、脳は深部にあるため、表面を冷やすだけでは十分な効果は得られませんでした。

 

そして今回、私自身が非常に興奮している「新しい漢方的アプローチ」がその一助になりそうです。研究するわけではないので、正式なデータをそろえるつもりはありませんが、感触をあらためてご紹介できればと思います。

 

 

 

 

 

 

9月 30, 2025

インフルエンザ予防接種開始

インフルエンザ予防接種すでに開始しています。

現時点で300名ほどご予約いただいておりますが、まだまだ在庫に余裕がございます。

痛くない注射というものはありませんが、当院では「どうやったら注射の痛みが軽減できるか」

工夫を凝らして行っており、良い評判をいただいております。

また、内科に予防接種を受けに行って風邪をひいた患者さんと接触するのが気になる、という方も当院を選ばれます。

 

ぜひ、当院でご用命ください。

 

なお、精神科・心療内科の初診はいっぱいになっており、現在受付を行っておりません。

ご期待に沿えず申し訳ございません。

 

 

 

8月 25, 2025

精神科って。

コレステロールがいくつ、

血圧がいくつ、

血糖値がいくつ。

 

この数値の場合は、この方法で、この薬使って。

 

内科の先生の中にはガイドライン一直線、マニュアル一本で

基準値を目指す医療を行なっている人も少なくない。

 

精神科もマニュアル的な治療で統一しようという方向に向かっている。

 

それも大事だけど、当院では基準値を目指すことを目標とせず、その人それぞれが心地よく生きていくためにどうするかを考えていく。

その結果基準値と大きく違っていたって構わないと思う。

 

発達障害の過剰診断を批判する医師もいるけれど、発達障害の部分特性のために精神疾患を発症している人はとても多い。

誰にでも発達障害の特性を多かれ少なかれ認める。

いくつかその特性が重なったり、突出することで掛け算的に生活に支障をきたすことも少なくない。

だからこそ、私は細かな特性もきちんと評価する。

その結果をフィードバックすることで患者さんが自分自身を理解し、自分の上手な扱い方を習得できるようになっていく。

基準値から外れていても、お薬を使って生活が豊かになるのであれば、それでいいのでは。

薬なしで基準値の健康体でありたいという無理な理想を追求していても、ずっとつらいまま。

 

睡眠薬だってそう。

幼少期の虐待経験で子供の頃から夜眠れなかったという患者に、「生活習慣をちゃんとしろ」「薬なんかに頼るな」

って言い続けるのは拷問だ。脳が常に警戒している過覚醒モードを記憶しているからだ。朝の日光を浴びたって、日中運動したって、夜に入浴したって、ダメな時はダメだ。

 

長いことアルコール習慣がある人も、自力で睡眠を取る力や不安を軽減する自前の力が衰えてしまう。

 

眠れないことで脳がオーバーヒートを生じやすく、うつ病発症や認知症のリスクも上昇する。

睡眠時間に脳の中のゴミが排泄されるのに、睡眠が取れなかったら認知症の原因になるゴミも溜まりやすい。

不眠が続くことで不具合が生じやすいのは当然だ。

 

「睡眠衛生指導さえすれば全ての患者は眠れるようになるはずだ」というのは妄想だ。

「睡眠薬が悪だ」というのも絵空事だ。

 

基準値にならないといけないのではなく、基準値ではない状況を変えることができなくても快適にするにはどうしたらいいのか、

それを毎日追求している。

 

結果的に睡眠薬を継続することでなんとか生活を維持している人もいる。

全員が「薬なしで健やかに」という基準値になるはずだというのは机上の空論もいいところだ。

 

 

 

 

 

 

7月 8, 2025

うつ病って人生終わりなんですか?

うつはうつでもいろいろな種類があるので、簡単ではありませんが、

急性期のうつ病で休職せざるを得ない状況になることがあります。

今まで病気一つせず、仕事もバリバリやってきた方がそうなると、

まるで人生お終いであるかのような落ち込み方をする人がいます。

 

うつ病は頑張りすぎの黄色信号、いえそれどころか赤信号とも言えます。

 

しかし、うつを克服すれば、人生さらにステップアップできます。ピンチはチャンスなのです。

例えば、インフルエンザにかかった後、かかる前と比べて、よりヴァージョンアップされた状態になることがあります。

抗体ができて、インフルエンザに強い体になるのです。

それと同じように(若干強引な例えではありますが)うつ病を乗り越えれば、よりよく生きられる力をつけることができるのです。

これはPTSDを治療した後に、心の成長が促される心的外傷後成長(PTG)が認められることと同じことだと私は思っています。

当院では病状から必要と判断される方には休職を勧めることがあります。

ただ、すぐに休ませたい方でも、あまり強い言い方はしません。

なぜならば、ご本人が腹を決めて休むのか、そうでないか、それによって今後の回復や成長が変わるかもしれないからです。

同じ休職するにしても、休む目的を理解して休むかどうかで結果が異なるのです。

しっかりと休養をとって、心の充電をし、健やかに生活していけるような成長をしてから復職することが大事です。

人生でまとまった休みを取ることなんてなかなかありません。このチャンスを活かして成長できれば、振り返ったときにかけがえのない財産だと感じる人も少なくないのです。

一方、休職後も「あの仕事どうなったかな、あの人にどう思われているかな」などと心の消耗を続けているのでは、休職しても休養にはなりません。無駄に時間を過ごしているだけです。

そうならないために、必要ならマインドフルネスの指導もしますが、まず一番大事なのは、「また元気に人生というマラソンを走るための、大事なメンテナンス期間なのだ」と言う意識を持って自分の意志で休職をスタートさせることが大事なのです。

そのために、私は病状の詳しい説明と休養の目的についてしっかりご説明したら、ご本人の腹が決まるまである程度待つことにしています。

(注:いまにも自死してしまいそうな時は別のルートに乗せます)

ご本人が休む覚悟が決まったら、休職診断書を書いてお渡しします。

そうすると結構上手くいくことが多いのです。

開院当初から必要な方にはそのようにアドバイスしてきました。

休職中の過ごし方についてはここには書けませんが、私独自の考え方も伝授します。

 

昔の銀行員など、一回休職すると出世ルートから外れる業種もあって、私も患者さんと一緒に何が一番ダメージが少ない方法か頭を悩ませてきましたが、今は一つの会社にこだわることもなくなりました。

休職して思考力が戻ってから今後のことを考えればいいのです。

 

うつ病は決して人生の終わりなんかではありませんよ。

 

(注:当院では、「治療は必要ないけれど、ご本人の希望で休職診断書を作成してほしいというご要望での初診は受け付けていません。休職の要否は当職の診断ののちに判断することにしています。オンライン診療で安易に発行された診断書の継続の診断書作成も致しません。)

(注:うつはうつでも色々な種類があり、発達特性、パーソナリティ特性、双極性、慢性うつなど状態に応じた対応が必要です。上記が全てに当てはまるわけではありません)

7月 8, 2025

ありがとうございます!

ご両親と旅行に行ってきたよ、とお土産頂戴しました。ありがとうございます。

虐待のトラウマのフラッシュバックがひどかったけれど、EMDRというトラウマ治療をやったり(かなり苦戦しました^^;毎回通常の診療後、夜遅くまでよく頑張りましたね!)薬の調整もあれこれとやり、今では(気を遣うものの)親と一緒に旅行にいけるようになるとは想定外でした。

治療って一緒に成長することなんだと実感しました。

 

 

 

こちらはお手紙を書いてくださり

すごく嬉しいです。

幸せのあり方を私自身学ばせていただきました。

あ、無断で掲載しちゃったのですが、まずかったらご連絡くださいm(__)m

 

 

あと、こんな感じで日々の診察で書いていただけると状況がよくわかります。

全身全霊で診療にあたっていますので、このようなお言葉いただけると大変励みになります。

6月 10, 2025

カルテ廃棄します。

一般的な心療内科のクリニックに比して当院の占有スペースは相当広いです。

それにも関わらず、患者さんのカルテが倉庫いっぱいになってしまいました。

長期間お見えになっていない方で保管の義務期間を過ぎたカルテについては廃棄することにしました。

手書きの問診票や詳細な資料など電子カルテに入力されていないものもたくさんあるため、

電子媒体での情報ものこりません。

サーバー負担のこともあり、そのほかの電子媒体の情報自体も削除する可能性があります。

以上ご報告です。

 

これをアップした直後に、10年前に受診していて、まさに廃棄しようとしていたカルテの患者さんから連絡が・・・

転居後ずっと地方の病院にかかっていたそうなのですが、結局障害者年金を申請することになったそうで、初診時の状況の診断書をご希望でした。

こういうこともあるのですが、保管にもコストがかかるので致し方ありません。

今後は保管期限を過ぎた方に、過去の状態を記載するような診断書は作成できなくなります。

6月 5, 2025

薬はいつまで飲むのですか?

全例にできるわけではありませんが、当院ではなるべく初診の時点で詳しい病状とその原因や背景、さらには見通しまでも立ててお伝えするように全力で診察を行っています。(どうしてもわからないことや最初の見立てが違っていることもありますが)

ある程度の治療計画が見込める場合は、どのくらいのスパンで服薬が必要になるかお伝えすることもありました。

最近では、それもちょっとやりすぎだなぁと思う節がありまして、少し落ちついたころにお話ししようと思うようになりました。

たとえば、うつ病の患者さんはとても悲観的な状態で受診されます。それでもご本人はどこかで「受診して治療すれば風邪のようにすぐに治って薬も不要になる」という理想を思い描いていることも少なくありません。

自分がどういう状態なのか、

改善するのか、

それらがわかるだけでかなり安心できることが多いです。

しかし、その先の維持療法の見込みまで言われてしまうと、理想と違っていることで少し落胆してしまいます。

正直に全てをお話しする誠意も大事ですが、お伝えするタイミングも簡単ではありません。

また、初診時に全てを盛り込むと患者さんも理解仕切れないかも知れません。

 

できれば、患者さんのほうで疑問に思ったタイミングで聞いていただければと思います。

 

「薬はいつまで飲むのですか?」

答えは「ケースバイケース」です。

 

うつ病と言ってもそれぞれの背景や特性、生活、置かれた状況など千差万別です。

一般論で論文のデータを提示して説明することは簡単ですが、でもそれって目の前の患者さんに当てはまるの?っていう話です。

初めてうつ病になった人と、2回以上うつ病を繰り返している人では統計的に再発率には差があり維持療法の期間は違ってきます。

それは一般論でもあり、だいたい目の前の患者さんにお伝えしても間違っていないですが、

初回であっても、長めにした方がいい人と、早めに切り上げても良さそうな人もいて、ある程度見通しは立てられることがあります。

 

発達障害という言葉が知られるようになってから久しくなりましたが、当院では発達障害とまでは言えないまでも非定型発達の部分特性がどのように発症に関連しているのかなど、背景にある要素を詳しくアセスメントしています。

ネックになっている発達特性が、現在の環境でどれだけ支障をきたしているのか、環境が変わる見通しはどうなのか、その辺りまで考えると、維持療法をどれくらい続けるべきか検討する材料になると思っています。

 

また、服薬の期間と障害の程度は必ずしも一致しません。

「睡眠薬が悪」という風潮がありますが、(薬剤の種類は厳選しますが)ケースによっては年単位で使用した方が良い場合があると思います。

とある大企業の取締役としてご活躍されている能力の非常に高い方が何人か通院されています。

どの方も社会適応は問題ないわけです。

ただ、元々の特性として過集中、過覚醒、マルチタスクの特性があって、かなりのタスクをこなされているわけです。

そういう方は色々な生活習慣を工夫しても、なかなか良い睡眠が取れなかったりします。

「寝れなくても死にはしない」という乱暴な言い方をする人もいますが、睡眠はとても大事な役割があります。

心身の調子を整え、記憶を整理し、脳のゴミを排泄する働きがあります。

脳にゴミが溜まると認知症の発症を加速させます。

治療してでも睡眠をとった方が良いと考えます。

役職定年などのタイミングで減薬して、定年後に(対象喪失のうつ症状がなければ)廃薬に持ち込めることも少なくありません。

長期的な計画ですが、そのようなケースもあります。

 

漫然と処方を続けるのではなく、ちゃんとビジョンを持って維持療法を行っているのです。

 

 

 

 

5月 29, 2025

エクエルキャンペーン!(20250602~20250731)

6月2日より7月末までエクエルを当院でお買い上げの方に、エクエルジュレを1個差し上げます。

手軽にはじめる大人のスマート習慣 エクエル ジュレ |【大塚製薬の公式通販】オオツカ・プラスワン

数には限りがございますので、お早めにお申し込みください。

在庫がある限りはキープもOKです。

つまり、「6月◯日に受診の予約をしていますが、その時にエクエルを購入予定なので、ジュレがほしいです!」とお電話いただければ、キープします!!

 

以前のブログより〜〜

当院ではゆらぎ世代の女性をサポートする大塚製薬のエクエルを取り扱っています。

女性のための基礎サプリメント:大塚製薬のエクエル|【大塚製薬の公式通販】オオツカ・プラスワン

更年期の諸症状に効果を認め、なおかつ副作用のリスクが極めて低い安心感もあるものです。

効果が認められているものは大塚製薬のエクエルのみで、巷にあふれている安価な類似品は品質や効能、有害事象が怪しいものとなります。中には模造品もあるようです(こわっ)。健康リテラシーのきちんとした方には大塚製薬のエクエル(正規品)をお勧めします。

当院では製造元の大塚製薬よりも価格を低く抑え、利益をほとんどとっておりません。

あくまで当院での治療を強化するための患者様サービスのひとつという位置づけです。

ですので当院の価格よりも安いという場合は正規品かどうかご確認ください。(内容量もちゃんと見てくださいね!)

5月 19, 2025

自己肯定感って。

今日の診察の中で、患者さんと「自己肯定感」についてお話しする場面がありました。

「自己肯定感が低い」

「自己肯定感を高める」

そんな表現が巷で溢れています。

メディアでも若干誤解してこの言葉を使っており、多くの方が少し違った捉え方をしていると思います。

「俺ってすごいぜ」

「俺、完璧」

「ラーメン、つけ麺、僕イケメン♪」

こんなふうな感覚が「自己肯定感」としてイメージされていますでしょうか?

最後のはちょっと違うかもしれませんが・・・しかも古いか、、、

 

以前のブログでもお話ししたことがありますが

「自己肯定感」ってもっと控えめなもので

「これでいい」

「こんな私だけど、それでいい」

「これで〜いいのだ〜これで〜いいのだ〜ボンボンバカボン、バカボンボン」

という感覚です。

最後のは昭和世代にしかわからないかもしれませんが、笑。

すごくなくて全然いいのです。

キラキラしていなくていいのです。

インスタで羨ましがられる生活しなくて全然構いません。

 

私の場合、精神科医として「これでいい」と思えるようになったのは正直最近になってからかもしれません。

医療が生身の人間を相手にしており、まだ解明されていないこともたくさんある中で、「完璧な医師」というのは成立し得ないのですが、ずっと完璧になりたいと思ってきました。どんなに勉強してもどんなにあがいても、わからないことがたくさんあって、うまく行かないことがある。

でも、クリニックをはじめて10年間、ひたすら丁寧に、納得がいくまで、特に初診を大事に診察して最初の見立てとその後の答え合わせをするということを繰り返してきました。

5分の初診で患者数をこなす医師もいれば、初診の大半を心理士やPSWに任せて最後だけ医師の診察で締めくくるという医療機関も多い中、医療経済上とても効率が悪いと言われようが、専門医が最初から最後まである程度の答えが出るまで時間をかけて初診を行うということを愚直に繰り返してきました。患者さんが抱えているものが大きな場合は2時間以上かける場合も少なくありませんでした。

その結果、やっと自分なりに納得のいく見立てができるようになってきました。

決して完璧でも完成でもありませんが、ひとまず、今のやり方で良いと思えるようになってきたのです。

折しも、患者さんからのポジティブなフィードバックを次々といただけるようになり

それを噛み締めています。

10年前とは別の次元になってきました。

 

ここ1週間の例では、

「今まで何十年と人に理解されないだろうと思って話すこともしなかったけれど、今回先生に話してみようと思って理解してもらえるという体験が衝撃的でずっとあった胸のつかえがとれました。先生はすごいとおもいました」

「はじめて先生に傾聴してもらった時、水中にいるような一瞬空気が止まったような、なんだこの静寂な世界はという感覚がしたことを覚えています。自分のこだわりが足を引っ張っていることに気がつきました」

「当たり前のようにたくさん話をさせてもらいましたが、自宅に帰って友人に話したら、こんなに初診でじっくり聴いてくれてきちんと評価してくれるところは他にないよって言われました。本当にありがとうございます」

 

こんなありがたい感謝の言葉をいただきました(ご本人たちのお言葉其のまま)。

その他にもお褒めの言葉を頂戴しました。

 

俺ってすごいぜ!

 

あれ?なんか違いますね、そういう話ではありませんでしたね。。。

これはうぬぼれに近いかもしれません。

うぬぼれはよくありません。

すみませんふざけてしまい、ちょっと照れ隠しです。

 

これからも健康に気をつけながら、しっかりとした診療を行なっていくという今までの方向性でやっていきたいと思っています。

 

さて、冒頭の「自己肯定感」。

やはり生育環境の影響は大きく、親からの心理的虐待など受けてきた方が「自己肯定感が低い」大人になりやすいと感じています。

虐待の難しい問題は、「こんなことをするひどい親」なのだけれど、「やっぱり親に愛されたい、認められたい」「親だから嫌いになれない、親のことがどうしても気になる、親を否定しきれない」という葛藤が生じやすく、自分自身のあり方に混乱が発生してしまうことです。この矛盾した葛藤があるからこそ虐待の問題は苦しいのです。これは人生の長い間の課題となります。

こういった被虐待の問題を抱えた人たちが、その苦しみから抜けるためには、一旦「親は自分の望む形では愛してくれないのだ、事情があってそういうことができない人なのだ」と親に期待することをいったん諦めることではじめて再生が始まります。

自分の頭の中、心の中に棲みついて、「自分を否定する、責める、見捨てる親」の存在に気がついて、自分なりの親との適切な距離を見直す必要があります。

例えば、親とはお盆と年末年始にしか会わない、年に1回連絡を取るだけにする、別居する、

あるいは一切関わらない、そんな選択肢もありだと思います。

自分でどのような距離を保つか選ぶのです。

そこからはじめて辛かった自分を慰め、癒し、育てて再生することが始まります。

 

そういった一連の再生を支援するために「心の安全基地」が必要となるのです。

患者さんのことをしっかりと理解し患者さんの持つ本来の良さをきちんと評価してあげる「心の安全基地」となることが開院のテーマでした。

10年ほど前のブログに書いたかもしれませんが、当院のロゴマークはそのような意味を持っているのです。

 

当院で全ての方を受け入れることができないのは心苦しいのですが、多くの方に「心の安全基地」を実感していただけるようになったことはこの上ない喜びです。

いつもありがとうございます。

https://www.uta-net.com/movie/3150

 

ちなみに親子関係のカウンセリングなどは当院ではやってませんので悪しからず。

虐待親の治療も行なっていません。

治療対象となる症状を抱えた方々の背景にある問題を、診察の中でタイミングを見計らってご指摘したり、助言したりしながら症状の改善を目指すのが当院の治療となります。