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11月 17, 2025

財務省の本音。

財務省は、ついに本音を隠さなくなった。

長年、私は財務省が

「開業医は楽をして儲けている」というイメージづくりを

意図的に行ってきたと感じていました。

勤務医と開業医を対立させ、

医療者同士を分断することで、

抵抗力を弱めたうえで診療報酬を削る。

その構図が、今回ついに表面化しました。

2024年度の診療報酬改定では、特に開業医への打撃が顕著でした。

さらに来年度に向けて、財務省は客観性を欠いたデータを持ち出し、

医療費削減を正当化する姿勢を強めています。

その中で、ついに「勤務医の収入も高すぎる」という言説まで飛び出した。

つまり――開業医も勤務医も、標的になっているということです。

勤務医の先生方、目を覚ましてください。

財務省はあなた方の大変さを少しも理解はしていません。

病院の先生方が大変だと最初言っていたのは演技だったのですよ。

 

官僚の“率直な本音”を耳にしたことがある。

酒席とはいえ、私は財務省の官僚からこう言われました。

「医者は言うことを聞かない。

日本の頂点に立ち、財布を握っているのは自分たちだ。

医師会も病院団体にも金はやらない。どっちも潰してやる。」

当時は「万能感の強い東大アスペの暴言」だと受け取っていましたが、

今の状況を見ると、その言葉の数々が現実味を帯びてきています。

勤務医の皆さんにも、ぜひ目を向けていただきたい点です。

私たちが何か悪事を働いたわけではない。

しかし、財務省の視点では「医者はけしからん」という考えなのです。

 

 

OTCの自費化には、表と裏がある。

医療費削減のために一部の薬をOTCへ移行する動きは、

やむを得ないと思います。

私の立場では国民がデメリットも理解した上で選択するならば全然OKです。

 

しかし、

薬の自己判断はリスクを伴う。

たとえばロキソニンを

「頭痛だから」と毎日のように服用すれば、

  • 鎮痛薬乱用性頭痛を招く
  • 腎機能障害を引き起こす
  • 透析が必要になるリスクも増える

これらは私たち医師が処方の際慎重に考えている点であり、

OTCが“安全なお手軽薬”であるわけではありません。

短期的には医療費が下がるかもしれない。

しかし、長期的には透析や副作用治療で

医療費がむしろ膨れ上がる可能性もあります。

このリスクについて、財務省は国民に十分説明していない。(というかわかっていないのでは?というかわかろうともしないのでは?)

私はそこに深い懸念を抱いています。

 

医療の質を下げる政策は、必ず患者さんに返ってくる。

診療報酬を過度に引き下げ、医療機関は数をこなす診療に追い込まれます。

高回転・高負荷の医療は、救える命を救えなくする。

この責任も財務省は負ってほしいと思います。

国民にきちんと説明してほしい。

 

一方診療報酬をさげるならば、医療の質を守るために一定の自由度(混合診療など)を認めなければならないと思います。

質を高めた医療に正当な評価が与えられる仕組みが必要だと考えています。

財務省による命の差別化に乗っかってしまうものではありますが、我々医療者の人生もかかっています。

 

最後に

私は、医療費の議論そのものに反対しているわけではありません。

高齢化社会で医療費が増え続ける現実は、誰もが直視すべきです。

しかし――

医療者を敵に回し、

分断し、

圧力で屈服させるかのような手法には、

強い違和感を覚えます。

医療は国民の生命を支えるインフラです。

その現場で働く人々を“消耗品”のように扱う政策は、

必ず国民の不利益につながります。

私は一人の現場医として、

これからも遠慮なく発言していきたいと思います。