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10月 21, 2024

香川。

香川旅行にいけましたと

お土産いただきました。

良かったですね。

まさか香川まで行けるようになるなんて私もびっくり。

私も行きたい、讃岐うどん巡りしてみたいな~

 

ボストンで出会った女性が香川にお住まいで一時期文通していましたが、元気にしているでしょうか?

昔々の話です。

文通なんてしたことありますか?

ラインでもSNSでもないんですよ。昭和だな~。

10月 21, 2024

特別枠の診察。

超長文愚痴ブログにつき閲覧危険!

 

私が通常の初診の受け入れを中止しても忙しい理由の一つに

非公開の「特別枠」と言う謎の診療がある(ここで公開しちゃってるか・・・)。

 

日曜などの休診日や夜間に親しい人の伝手で依頼のあった方々を特別に診察している。

通常の診察ではないので保険診療では行わないことも多々ある。

ここ最近も毎週日曜医師の初診を行っていた。

今まで相談に乗ったり診察してきた特別枠の人たちもかなりの数になった。

通常の初診枠を確保するのに苦労しているので、もはや休みの日くらいしかしっかりと時間を確保できない。

特に病院やクリニックのトップで働いている医師を始め、多忙すぎて初診の日程調整とか、かなり難しい人もいるので、

お互いに忙しいもの同士やむを得ないかなとも思う。

私は休みなく働き、肩や背中はバキバキだ。

 

つい最近は、日本でもトップレベルのIQを誇り東大を首席で卒業した医師を診察した。

とても忙しい人なので、日曜でアセスメント診察をやってしまおう!と8時間くらいぶっ続けで診察した。

その間何度もトイレに行ったり、サンドイッチを頬張りながら診察を続行した。

 

世の中の皆さんは医師は皆、金持ちの家庭で育って、甘やかされて育ってきたに違いないと思っている。

ところがどっこい、そうでもないんだよな。

 

虐待と貧困のセットは生まれる家庭を選べない子どもに、不公平だが、ある意味公平に降りかかってくる。

虐待の話は内容にもよるけれど、話を伺って共感した私の心身にも少なからずダメージを与える。

それなりにトレーニングを積んできたけど、やはりつらいものはつらいよね。虐待を受けてきた人の診察をすると私もしばらく体調が悪くなる。全部引き受けてしまうんだよね。

 

先日は大学の同級生とあった。

整形外科医の友人は本当につらい状況でもう少しで自死してしまうところだったが、

私のつたないサポートがなんとか通じて生きて元気になってくれた。

先日「お前が助けてくれなかったら俺今いなかったよ」

と涙ぐんで語ってくれた。

 

一人の精神科医ができることなんでほんとちっぽけなことだけだ。

でも本気で相談にのっていることが伝わる人には価値のある援助になったようだ。

嬉しいことだ。

 

とはいえ、たま〜に、エナジーバンパイヤの人もいる。

人を物のように扱って自分の利益のために利用するタイプの人間だ。

ある人は大変なお金持ちであるが、(趣味で?世間体のために?)公務員をやっている。お子さんが不登校で、様子がおかしいというのだ。

毎日のようにメッセージや電話をしてきてその都度詳細にアドバイスしていた。

どうやら繊細なタイプの自閉スペクトラム症が背景にありそうで、いろいろな提案を行なった。

なんどもなんども援助しても結局私のアドバイスを無視し、「栄養のバランスが悪いから不登校になっているのだ。栄養療法でサプリを飲ませれば登校できるようになる」というSNSを発信している医師のもとに行き、何万円もする高額なサプリを定期購入し、せっせと飲ませていた。

当然そんなので登校できるようになるわけがなかった。

そうなるとまた相談してきては、私のアドバイスは無視。

結局私が最初から伝えていた路線で話がすすむと徐々に好転。

薬の処方はしなったので保険証も使わず、特に診察代も請求しなかったが彼からは大した感謝の言葉もなく時間が経過した。

 

しばらくして今度はお母さんのことで相談にのってほしいという。

私の時間やエネルギー、何より心をつくしたことを吸い取るだけ吸い取って感謝もしない。

私の厚意をなんだと思っているのか、これ以上は無理とさすがに断った。

 

菓子折りをもってこいというのではないが、心があれば、それは形になる。

私に伝わるような感謝の言葉かもしれないし、菓子折りかもしれない、

その人それぞれの考え方ややり方があるだろう。

気持ちがあるのかないのかはこちらもすぐにわかる。

出鱈目な栄養療法に毎回数万円は支払うのに、親身に夜中まで話聞いて付き合ってた俺に対する扱いって酷いんじゃないか?

 

だいぶ前の別の案件(特定されないよう少し内容はアレンジしています)

会社経営者という方が社交恐怖を診てほしいと依頼。

しかも、大事なプレゼンが間近に迫っているという。

通常の初診枠では少なくも2-3か月先になってしまう。

親しい方の紹介なので特別枠で診てさしあげた。

直近の休日に診てくれて、しかもインスタントな診察ではなく専門医の真剣な診療だなんて、そんなところがあったら私だってかかりたい、笑。

会員制のクリニックで大金を支払えばやってくれるところもあるだろうけど、富裕層向けのビジネスを私はやりたいわけでもない。

金持ちのご機嫌取りなんて御免だ、笑。

 

社交恐怖の背景にはいろいろなものが隠れている。

大体の医療機関ではそこまで深くアセスメントせずに、とりあえず社交恐怖の治療だけ行うところが多い。

当院ではその後の予後や治療のリスクを見立てるために、そこで留まらない。

発達やパーソナリティ傾向も把握するため、幼少期からの様子をざっと伺っている。

今回は自己愛性パーソナリティ障害があって実力以上に自分をよく見せたいという意識で恥をかきたくないために生じている社交恐怖のケースで、さらに発達障害の傾向が認められた。コミュニケーションが苦手で対人緊張がつよい。さらに自分の立場からしか物事を考えられず、他者の気持ちがくみ取れないので、非常識なことやマナー違反をやってしまい、自分では何が悪いのかよくわからずに相手を怒らせてしまったり、強い指摘を受けたりする。さらに指摘を恐れ緊張していた。自己愛性パーソナリティ障害の傾向のため指摘されると憤慨してしまい、そういう相手に対して逆切れしてしまう・・・。治療がうまくいって社交場面が増えていくとまた新たなトラブルが発生してくるケースだ。

人前で話すときは強い酒を隠し持っていてそれをあおっていたという。

問題行動も認められていたし、イベントが間近であるという(今考えれば身勝手な理由で)急いで治療を開始、さらに結果を出すために、彼に暗示をかけた。

「簡単にスピーチできるようにできますよ」と伝え

彼に暗示をかけ強い安心感のもと治療効果を最大限発揮させることを試みた(こういうところがプロの技なんだけどね、わかんねだろうな)。

(それは治療効果を上げることには成功したが、発達と自己愛の問題を抱える彼をうぬぼれさせてしまう結果につながってしまったことは失敗だった。)

治療は有効で、次々とスピーチができるようになっていった。

当院では通常の暴露療法よりも早い効果を見込めるようアレンジした薬物療法をミックスさせ独自の治療を行っている。(結果として同じ処方を違う使い方で処方し薬だけの治療を行っているところはあるが・・)

薬物療法もメンタルだけではなく、自律神経を介した身体反応を抑えるダブルブロック療法を考案し、一般の暴露療法とは真っ向から逆の思考(趣旨が違うことは専門家ならわかる)の治療を行っている。

これなら重症なSADの方でもスムーズに治療の導入ができるって寸法だ。

 

しばらく経って連絡がパタリと途絶えたので、その後どうなったのか聞いたところ、

「薬さえあれば問題なくできるので、近くの内科で同じ薬を処方してもらった」という。

そういうところ!

すぐにうまくいったという状況で自信満々となった彼は薬も自分でコントロールできると勘違いし、

さんざん世話になった治療関係をまるで「もう要らない」とゴミ箱に捨てるようにぽいっと投げたのだ。

どれだけ特別扱いされたのか全く価値を見出していないようだった。

 

処方薬はOTCではない。

しかも向精神薬は使い方を間違えばいろいろな不具合も生じかねない。

医師の管理のもと服薬しなくてはならない。

彼には自己判断で薬を使うのはよくないから、治療を受けないのなら薬はやめて通常の暴露療法を行うように伝えた。

 

その後しばらく連絡はなかったが、再度連絡があり「薬が切れたが、明日でなくなるので処方してほしい」と。

結局彼は薬を自己判断で使い続けていたのだ。

 

約束を破っていたうえ、アマゾン薬局のようなノリで依頼してきた彼にその安易さを指摘した。

発達の関係もあり、ニュアンスとか漠然とした伝え方だと理解できないので、具体的に数字を示してどれくらいの市場価値のある特別対応だったのか説明した。

今回は急いでいるから薬は欲しいけど、他の心療内科に今後はかかりますって。

多分、彼はこちらの薬を指定して先方に処方依頼するんだろうな。

もう私には責任ないけど、とてもむなしくなる案件だった。

 

通常やってはいけないことをそれまでもやっていた人は、やはり約束を守ったり、関係性を大事にするということができない。

最初からなんとなくわかってはいたけれど、親しい人の伝手だったので、ついつい助けてあげようかなって思ってしまったんだよな。

 

 

私の人生は有限だ。

ただただ私の命、時間、エネルギーを奪うだけ奪ってなんともおもわないというエナジーバンパイアにはかかわらないようにしている。

それは患者さんに対しても同じだ。

エナジーバンパイヤに与える私の命のピースはない

心を尽くして相互作用がある人にしか命のピースは渡せない。

 

だから私のまわりは私が大事にしたいと思うし、私のことを大事にしてくれる友人に囲まれている。

当院の患者さんもそのような心をもった患者さんばかりだ。

だからこそ私も頑張れる。

 

折角先輩方から受け継いできた技術を世の中に還元せずに一生を終えるのも勿体無い。

 

だれにでもどんな人にでもという器の大きさは当院にはないが、

心のある患者さんやスタッフだけで運営することで「心の安全基地」が維持できるという側面がある。