今日も患者さんが多く、一日頑張りました。
仕事も終わらないまま、オンライン研究会。
今晩は慶應認知行動療法研究会。
マインドフルネス瞑想と認知行動療法とが統合されたマインドフルネス認知療法は、英国NICEガイドラインでも、軽症のうつ病の再発予防などに対して実施が推奨されています。(とはいえ医療資源が足りないため、実際は一部の患者さんしか受けられません。どこも金と人が足りないのです)
佐渡教授のレクチャーでマインドフルネス認知療法が作られた経緯を振り返りながら、プログラムの概要についての解説とともに、どのような機序で効果を発揮すると考えられるかなどについて議論されました。
うつ病の再発予防に関しては抗うつ薬と同等の有効性があるようです。
Segal、Teasdale、Williamsらは再発予防を目的としたCBTの開発を計画する中で、一度寛解に至ったうつ病患者がなぜ再発するのか?と言う点に関して、日常生活の中で生じた些細な落ち込みが引き金となって否定的な思考が誘発され、思考が反芻を始める(ぐるぐる思考)ことで抑うつ気分が増大し、うつ病に引きずりこまれていくと言う仮説に辿り着いたようです。
それに対して「脱中心化」と言うスタンスをとることが重要だと気がついたのです。
その手段として瞑想技法を活用しました。
脱中心化=メタ認知能力
不安や落ち込みは消えはしないけれど、冷静に対応できる可能性が高まるのです。
そして、脱中心化が進むと自動的にセルフコンパッションも上がっていく、
これがとても面白いところです。(暖かく側から見ている感じ)
私が精神療法でやっているところも、脱中心化をお手伝いし、トラウマを受けた小さい頃の自分を労ってあげることを支援していますが、
同じ真実を見ているのではないかと思い感動しました。
ただ、MBCTでは、トラウマがきついパニック障害やPTSDに対してはフラッシュバックを起こしてしまうことがあるので注意が必要とのことでした。
またバリバリの反芻思考にはMCBTでは対処が厳しいところがあり、そのようなケースには反芻をターゲットした従来のコラム式CBTを推奨されるとのことでした。
なぜこうなったのかと言う沼に落ちてしまうので、WHYではなくHOWどうやっていくかターゲットにしていくところも、最近の精神療法に共通した手法ではないでしょうか。
ちょっと一般の方には難しいかな?