今日の午後は土砂降りにもかかわらず、ほとんどの方が予約時間通りにお越しいただき、恐縮です。
怒涛の忙しさを毎日乗り越えているような、乗り越えられていないような、
短時間睡眠にも慣れてしまい、健康には良くない状況です。
でも書類作成は残業してほとんど溜め込まずに遂行できています。
帰宅後はマッハの速度で家事です。
太陽光で電気代をかけずに洗濯、乾燥したものをまずは畳みます。
衣類やタオルの畳み方は色々あると思いますが、一応一回はたたみのプロの技を習いました。
収納するときにとても美しく重ねることができる畳み方で、最初はやってみたものの、作業工程が多く、結局自分流の畳み方に戻りました。
洗濯物をたたみながらオンラインで研究会に参加。
忙しくても最新の知見をアップデートさせて診療に反映させるというクリニックの公約(モットー?)がありますので、
今日も慶應の研究会に参加。テーマはてんかんで、講師は尾久守侑(おぎゅう かみゅう)先生。
尾久 守侑先生は精神科医であり、詩人でもあり、多才で有名な若手の先生です。
彼の著書を拝読しましたが、今時の若者らしい独特のリズム感があります。
慶應精神科に入局されていますが、出身大学は横浜市大だそうです。
私にとっても知り合いの多い馴染みのある大学です。
横浜市大出身の先生には随分とお世話になりました。
話はそれましたが、今日はてんかんの話。
新規てんかん薬の復習に始まり、臨床てんかん治療について。
昔は精神科と神経内科は統合されていたので、精神科医も普通にてんかんの治療をしていました。
最近は神経内科が主体的に診療を行なっています。
ただ、精神科医がてんかん診療で必要とされる特殊な領域もあります。
誰が見てもわかるような痙攣発作は小児科や神経内科で診療を行います。
一見精神症状のようなてんかん発作を生じるものや、てんかん精神病、間欠期の精神症状などより高度な内容は精神科のてんかん専門医がみることになります。
これはてんかん診療の中でも高度な内容になるので、一般の精神科医はなかなか手が出しにくい状況にあります。
そのような状況もありてんかん診療をする精神科医は少なくなりました。
私も防衛大の吉野教授をはじめ脳波を懇切丁寧にご指導いただいたこともありますが、実際の経験症例が少なく、てんかん診療は諦めました。てんかんセンターなど専門的な機関で一定期間トレーニングをすることが必要なのでしょう。
私には時間が足りなくてそこまではできませんでした。
ただ、日常的にしばしばあるものの一例は、てんかんとPNES(心因性の偽てんかん)の鑑別が問題となるケースです。
本物の?てんかんなのか、
心因性の(解離性という)てんかんなのか。
短時間脳波をとったところで診断することは難しいのです。さらに言えば24時間脳波測定をしても確定診断がつかないことも少なくありません。
本来マークしていた発作ではない別の発作が出てきたタイミングでチェックされた脳波が正常だったので、「PNES」ではありません、などと誤診されてしまうのです。誤診というか、検査の限界といった方が正しいですね。
尾久先生の話では、結局てんかん治療の際、薬を増やすか減らすか変えるかなどの判断は、臨床症状によって決定するのであって、脳波を綺麗にするためにやるのではないし、脳波が汚ければすぐに薬増やすというわけでもない、と。つまり脳波を定期的に取れない環境でも十分に治療が可能なのではないかというご意見でした。
当院で積極的に診る予定はありませんが、実はてんかんだったという見逃しがないようなトレーニングはこれからも続けていきます。