異動の季節がやってきました。
当院を受診され、「やっと安定してきた!」
とほっとしたところに突然の辞令です。
何人もの患者さんが会社の突然の辞令で
遠方に転勤されることになりました。
私も勤務医時代は大学医局の人事で各地を転々としていました。
新しい環境に対する好奇心と、今までの環境を喪失する寂しさとが
交錯する複雑な心境ですが、ある意味で病み上がりの人たちには
大きなストレスとなる可能性も秘めています。
「お元気で」と心からのエールを送ってお別れするのですが、
今までの場面が走馬灯のようによみがえりジンとしてしまうこともあります。
私にとっても喪失体験なのです。
そして、転勤後もしばらくは服薬などが必要な方には転院先への紹介状を用意します。
紹介状が、これまた大変なのです。
医師によっては一言だけしか書いておらず、どのような経過だったのか全く分からないような
さっぱりした紹介状を書かれる先生もおられますが、
私はよほど急いでない限り、振り返りながら丁寧に書くので時間がかかります。
でも、その作業がとても大切なのです。
多くの医師や患者さんは、「どうして悪くなったのか?」ばかりに関心があります。
私は「どうやって良くなったのか」というプロセスを毎回総括していくことで、
「良くするための方法論」を積み上げていくことに注力しています。
この点で、良くするための技量が格段に上がっていくのです。
今日現在で、膨大な未完成の書類が積み重なっており
目が回りそうですが、頑張ってひとつひとつ片づけていますので
どうかお待ちください。