秋の収穫ということで患者さん方が収穫したお米やカボチャなど持ち寄ってくださいました。
色々な意味で、とても感慨深く、涙が出るほど嬉しいです。
大きな病院に勤務していた頃は、患者さんからの差し入れなど一切受け取ってはならないというルールがありました。
先輩のクリニックでは、仲間(患者さんを仲間と表現したりする)からいただいたお中元やらお歳暮など(食べ物が多いですね)を皆で有り難く分けていました。
精神科では特に禁欲原則(医師患者関係における医師と患者さんとの恋愛は絶対禁止)、白衣の存在(白衣の精神科医は患者さんを映し出す鏡なので医師のプライベートを自己開示しない)など他の科と比べてかなり厳しく教育されていました。
先輩のクリニックは内科や小児科、皮膚科、精神科をトータルで診療し、障害者支援にも力を入れた地元に愛されたクリニックであったので、納得の状況かと思いますが、物品の授受についてどのように考えたら良いか先輩に伺った事があります。
患者さんが治療で良くなるなど、本当に感謝していただくものであれば有り難く頂戴し、患者さんの気持ちを受け取る。これは患者さんの自己肯定感を高める側面もある。
しかし、治療前などの段階で「これでよろしく診てください」という物なら受け取らない、
そう教わりました。
それ以降、私も過剰なものでなければ、感謝の気持ちは有り難く受け取るようになりました。(恋愛感情の色彩の強い陽性転移を動機とした贈り物はいただきません)
感謝の気持ちを伝えられることはいつでもとても嬉しいものです。
ただ、収穫したお米は一層嬉しいものでした。
患者さんには「今生きているのは先生のおかげだよ」と言われて、ありがたいお言葉への感激と同時に、
ここに至るまでの患者さんの苦しみに思いを馳せ、涙ぐんでしまいました。
こちらこそ人が迷いから脱し、成長していく姿を見せていただき感謝の気持ちでいっぱいです。
食べ物を得るために、土を耕し、種や稲を植え、自然災害を乗り越え、苦労して、収穫する。
目的に前に投げて、そこに向かって身を投じていく。
これ、まさに人生そのものなのではないでしょうか。
本当にいろいろな方がいらっしゃるけれど、私も頑張ってきた甲斐があるなと、癒されました。
本当にありがとう。