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11月 16, 2025

シゴデキ。

上尾市長になりました。

早速記者会見です。

 

ハイ、つまらないウソです。

 

公務も頑張っています。

 

会議でいつものように全力疾走したら、他の審査委員の先生方に「そこまでやりますか?すごい…」と驚愕されました。

仕事ができる男はつらいよ、爆。

 

開業医になると、自分の評価ってフィードバックされにくくなります。

裸の王様にならないように気をつけないといけません。

勤務医の時は、たとえば総合病院など他の科や看護師、事務職そのほかいろいろな方面からの評価にさらされ、フィードバックされることも少なくありません。

開業医に対するグーグルレビューはビジネス的な側面もあり、必ずしも医師としての技術や信頼性を示しているものではありません。

そのような中で、リアルな声を聞かせてもらえることはとても貴重なことです。

紹介でやり取りした医師、患者さん、公務で関わった方々など。

 

私のブログを読むと私が自惚れているように感じられるかもしれませんが、実際は自分にも同業者にもかなり厳しいです、笑。

これからもガチンコで頑張ります。

 

11月 16, 2025

急患お断り?

—— 医療の現場から見た「完全予約制」と財務省の言説への強い懸念 ——

当院が完全予約制である理由

当院は初診・再診ともに完全予約制です。

この点について、時に「予約制=急患を診ない」と誤解されることがあります。

しかし実際には、

かかりつけの患者さんの急変には、ほぼ 100% 対応しています。

お困りの際は、どうかまずお電話ください。

予約患者さんの時間を丁寧に調整し、誰にも不利益が生じぬよう最大限配慮します。

ただし、予約制の診療を成立させるためには

患者さんにも時間を守っていただくことが極めて重要です。

その秩序があるからこそ、急な相談にも柔軟に対応できる体制が維持できます。

初診がすぐに受けられない理由

当院の初診に関しては、残念ながら「即日対応」はほぼ不可能です。

理由は単純で、精神科の初診は極めて高度で時間を要する作業だからです。

私は初診に1〜2時間、全力で集中し、

病歴、生育歴、性格、発達特性、生活背景、家族歴、リスク評価、併存疾患、環境、法的要因まで徹底して確認します。

これは、私が尊敬する師匠から学んだ

「精神科の初診は、最初のボタンをかけ違えないことが最重要」

という教えによるものです。

初診を雑に始めると治療は必ず迷走し、

患者さんに不利益が生じます。

そのため、初診枠はどうしても限られます。

おつらいところ申し訳ありませんが、「たまたま空いていたらラッキー」——それが現実です。

「即日初診」を売りにしているクリニックについて

精神科で予約なしに次々と初診をこなすというのは、

本来の精神科医療のあり方からは大きく逸脱しています。

質を重視するクリニックほど、予約枠はタイトになります。

その結果、正直に言えば “儲かる構造” ではありません。

しかし、「診療の質」を最優先にするのであれば、

このスタンスは譲れません。

財務省の言説について

ここからは、現場医として強い危機意識を込めて書きます。

近年、財務省や財政審の議論には、

医療現場への敬意も、正確な理解も、残念ながら感じられません。

特に問題だと考えるのは、

医療費を「無駄遣い」と決めつける姿勢と、

医療者への一方的な悪者扱いです。

「協力してほしい」と言われれば、医療者は応えます。

しかし、今の言説は

“断罪” と “恫喝” と “印象操作”

に近い性質を帯びています。

社会保障費が増えた理由を、財務省は正しく説明していない

医療費全体が増えたのは、

高齢者が増えたからであり、

個々のクリニックの収益が増えたからではありません。

むしろクリニック単体で見れば、

診療報酬引き下げに伴い 収入は減っています。

にもかかわらず、

•一部の悪徳クリニックのデータを利用して“平均値”を引き上げて扱う

•コロナ禍の補助金による一時的収入を意図的に切り抜く

•内部留保の実態が見える中央値は提示しない

こうした、実態を歪めたデータ提示が続いてきました。

これはもはや、政策のための分析ではなく、

政策ありきの“物語づくり”です。

 

天下り先や大企業の不祥事には寛容なのに、

医療機関には容赦なく刃を向ける

これもまた、現場として大いに疑問を覚えます。

財務省で医療費について論じている財政審のメンバーは

日本郵政の不祥事を在任時には明らかにせず多額の報酬を受け取って勇退した天下りの増田寛也氏、

消費税を社会保障に使うと言って莫大に特定の企業に還付させている経団連の代表、

などです。

 

官僚の天下り問題——

国民負担や税金の使途に関わる重大な問題は数多くあるのに、

天下り問題には触れさせようとしません。

 

医療が壊れると、最終的に困るのは国民です

今の方向性で診療報酬が削減され続ければ、

•急増する患者数に対して

•労働時間は伸ばせず

•報酬は減り

•人材は枯渇し

•質より量をこなす医療に落ちていく

そして、まともな医療は自費でしか受けられない社会になります。

 

財務省は「財源がない」と言いますが、

国民が納得できない税金の使われ方は他にいくらでもあるはずです。

最後に

国民の生命と財産を守るのが政治の役割だと思います。

高市さんには財務官僚の脅しに屈せず任務を遂行していだきたい。

健康なうちは強がっていられますが、命に関わる病気にかかれば医療の大切さを痛感します。

財務省、経団連、増田寛也氏の診療を皆でボイコットすれば、医療のことをもっと理解していただけるのでしょうか…

 

11月 15, 2025

世界一注射がうまい医師。

「先生は世界一注射がうまいね。」

最近ある患者さんからこう言われました。

お世辞を言うタイプではない方なので、なおさら胸に響きました。

もちろん、私が世界一注射がうまいはずはありません。

それでも、難病を抱え、幾度となく注射を受けてこられたその方が、

「先生が一番上手」と感じてくださったという事実は、医師として身に余る光栄です。

 

注射なんて基本中の基本の手技です。手術やカテーテル、内視鏡のような高い技術ではありません。

どうやったら痛みを最小限にできるか?そんなことに時間を割いている医療従事者は少数でしょう。

しかし「注射が怖い」という方はたくさんいますし、全てにこだわって完璧を目指すというのが私のスタイルです。

針、温度、スピード様々な観点から痛みを最小限にする工夫を研究しています。

 

インフルエンザのワクチンひとつとっても原価が高くても水銀が入っていない高品質なものをあえて仕入れたものです(現在入手できません)。

また四人分のワクチン(少し多めに入っている)を五人に分けて摂取して経費を節約している医療機関もありました。少しくらい量が少なくても効果には影響ないかもしれませんが、当院ではそのような節約はせず、ワクチンは規定量+アルファを使用しています。

こんなこだわりのためにお金持ちになれなかったのでしょうね。

経営者としてのセンスはないですが、私は医師は職人だと思っています。

 

嬉しいお手紙と患者さんの努力

今日はこんな心温まるお手紙いただきました。

とても嬉しいフィードバックをありがとうございます。

お薬の調整で状況が改善していると伺い良かったですね。

「もっと早く先生にかかりたかった」

そう言ってくださる患者さんが増えました。

しかし、10年前の僕は医師としてもっと未熟で、今の僕の方がマシです。

出会うべきときに出会ったのだと思います。

随分と遠方から通院されたいというお話でしたので最初は断ろうと思ったのですが、本当に頑張って通院されていますね。

治療のために時間とお金をかけてわざわざ遠くまで通う、そのこと自体が治療を促進させることがあります。

逆に楽して手に入れようという人は1回1回の治療をあまり大切にされない傾向にあります。

 

 

感謝のお気持ち

感謝のお気持ちをいただきました。

本当に心がこもっていて、おじさん泣きそうです。

 

 

患者さんの紹介・返書

患者さんと医師にも相性がありますし、また医師の得意不得意や思い込みなどによってうまくいくときもそうでない時もあると思います。そのような観点から、(ドクターショッピングをすすめるわけではないですが)私の治療がうまくいかないと感じた時は、別の医師で違う視点で診てもらうことをお勧めすることもあります。

紹介状というのは医師から医師へのお手紙であり、一見患者さんのもののようで違います。患者さんは開封してはいけません。そして、通常は紹介状を受け取った医師は返書を書くのが礼儀となっています。しかし返書を書かない医師も稀にいますし、診断名、受信した日付だけの内容の返書というのも少なくありません(むしろそれが一般的です)。そのような中、私の師匠先生は、返書を丁寧に書いていました。診断がきちんとついてから、見立てをフィードバックしていました。「紹介元の先生は患者さんがどうなったのか知りたいでしょ」

それを聞いてから私も丁寧に返書を書くようにしています。特に他の科の先生には「そんなふうに患者さんを診察しているんですね」と好評です。

大学の先輩から紹介された患者さんの初診について詳細にフィードバックしたところ、「こんなに詳しく診ている医師はなかなかいないよ」とお褒めの言葉をいただいたこともあります。

逆に、私の治療で部分的には良くなったもののすっきりしない部分もあった患者さんを年配の先生に紹介したところ、目から鱗の視点を返書で教えていただいたこともあります。

とはいえ、私からのフィードバックを余計なお世話だと思う先生もいらっしゃるかもしれないのは重々承知です。たとえば変にプライドの高い先生は「至らぬ点を指摘された」と感じてしまうかもしれません。

まあ、そういう先生とは関わらない方がいいので、それで距離を置けることはかえって好都合ともいえます。

 

私の力不足

身体疾患との複合により今回当院では限界と判断し、大きな病院にご紹介した患者さんがいました。

今はそちらの病院に入院中ですが、娘さんがわざわざ福岡からいらして、お土産までいただきました。

有名な大学病院の専門外来で治療がうまく行かず、そこからのご紹介で当院で引き継がせていただいたのですが

やはり私の力不足で申し訳ありません。

元気になられることを心から、心からお祈りしています。

 

 

好物の最中と哲学

 こちらも感謝のお気持ちということでありがとうございます。

毎回漢方と若干哲学的なお話がメインとなっています。

私は高校1年くらいの時にキルケゴールなどの実存主義に心奪われた時期もありましたが、医師になってからは全くです

精神科医は哲学に詳しいと思われている節もありますが、全然そんなことないです、笑。

 

 

激務お疲れ様です

こちらは湘南の風が吹きました。

流石のセンスでありがとうございます。

 

早く平穏が訪れますように

こちらは東京の風が吹きました。

私も昔は都会に住んでいたこともありましたが、東京はいろいろな意味で怖いです、笑。

住むには埼玉が一番です。

埼玉にいながら東京を感じることができました。ありがとうございます。

 

お疲れ様です

こちらもいつもありがとうございます。

励みになります。

 

11月 12, 2025

11月12日水曜日の診療時間変更

診療時間の変更のお知らせです。

11月12日水曜日は公務のため12時で診療を終了致します。

ご不便をおかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

11月 9, 2025

優しさってどうよ。

最近残業がひどくて夜帰る時ビルの階段の電気とかもう消えてて、暗闇の階段降りるわけ。

昨日は参加予定だった講演会と会議に行けなかったよ。

今日も公務の準備、若干ゆーうつ。

昼飯食いに外に出たら、カップルの女性が車道側歩いててね。

俺なんか、昭和の人間だから、若いころは男は女を守るべきだと思い込んでいたわけさ。

高校生のときとか、彼女には安全な所を歩かせ自分は車道側を歩いていたな。

それが優しさだと思ってた。

むしろ俺クラスになると、車道歩いて車に轢かれそうになったよ。

 

どーでもいいこと思い出したな。

早く公務の準備しろよ。

上尾みつお。

11月 3, 2025

掃除職人。

今日は月曜祝日。

昨日に続き、お歳暮の手配に奔走。

お世話になっている大きな会社や大学病院にお贈りするものを決定しました。デパートやネットでは手に入らないものをチョイスしました。

大きな仕事を一つ終えました。

 

それから数ヶ月できなかった家のことを徹底的にやりました。

テラスや窓をピカピカにしました。

私の「掃除職人シリーズ」、意外と好評みたいです。

「水回りを制するもの、掃除を制す」by Dr.Yagi

これは私の言葉です、笑。

 

まずはハシゴを使って屋根の上へ。

結構でかい脚立ですが、屋根までの高さはなく、ただハシゴを壁にかけて固定するわけでもなく、ハシゴの先はいろいろ掴まりながらよじ登っていく感じです。

年齢を重ねると想像以上に体が硬くなり、「え、待って、足が上がらないんだけど、、、」という局面に遭遇します。

というわけで、屋根の上の作業は緊張感もあって、疲れました。

 

テラスやベランダ掃除はケルヒャーが必須です。一部コケが生えてました。

ケルヒャーは大体5年位で故障し、3回くらい購入しました。洗車にも大活躍ですが、どんどん値上げされてる。しかも重くなってつかいづらい。さらに完成した製品を送ってくるのではなく、ドライバー使って一部組み立てなければならなくなった。大きさはそんなにかわらないから、輸送コスト削減というより、工場の人件費削減と思われる。

しかも水道ホースも別売になっている。

普通に値上げして、さらにステルス値上げ。

なんか、みんな、便乗値上げしてない!?

 

窓はエトレのスキージ必須ね。

高い所の窓は脚立&エトレの延長棒でなんとか。

安全ベルトとかつけるところのないので、バランス崩して転落しないように注意しないとね。

以前エトレのスキージはアメリカ製だったのよ。

それが、Amazonでかったら中国製になっていて製品の精度が甘すぎて、拭き筋むらができたり、端の金属部分が当たってサッシを傷つけちゃうんだよね。

どうやって完璧な窓掃除するのか、解説しようと思ったけど、長くなったからやめるね、笑。

洗面所やトイレ、風呂の水垢も全てクリーンに、風呂釜内部のクリーニングもしました。

濡れた服で外に長時間いたら体が冷えちゃいました。今日はさっさと寝ます、

おやすみなさい。

 

 

11月 2, 2025

お歳暮ってどうよ。

昨日の土曜日もとても忙しく診療が終わるとフラフラです。

思い返すと10年以上「楽だったなぁ」という日はほとんどなく、毎日全力で仕事をしてきたと感じています。

何をやるにしても手抜きをしないという性質が私にはあります。

明日は月曜祝日、今日しかないと思い立ち、大渋滞の中往復12時間かけてでかけてきました。

お歳暮手配の旅です。

今時は年賀状もお歳暮も省かれる時代になってきましたが、私は感謝を伝える派です。

幸せってそれぞれの人が自分の心に従って決めるものですが、感謝できる状態が幸せなのではないかと私は感じています。

今日はそこでしか手に入らないものを求めて出かけてきました。

どうせ感謝を伝えるならできれば感動してほしい。毎回そんな気持ちで厳選してきました。

今回のチョイスは生ものなので大所帯の団体へのお歳暮にはできませんが、少数お贈りできるお相手にお贈りします。贈り先が驚き喜んでいただける顔を想像して選びました。

遠路向かっても手に入らないかもしれないし、冷凍での配送のお願いも受け入れられないかもしれない。そんな状況でしたが、ダメ元で伺ったところ、たまたま連休で在庫を多くしていたこと、配送伝票も補充したばかりなど、ラッキーが重なりました。

たけうちさん、親切にご対応いただき、本当にありがとうございました!

 

11月 1, 2025

12年目の朝に。

2015年11月1日は上尾メンタルクリニックの11周年記念日です。

開業12年目の朝を迎えました。

なんとも素敵な花が届きました。

記念日を覚えていてくださり、さらにお祝いしてくださるなんて、この上なく嬉しいことですね。

当院にぴったりな色彩の好きなお花で、診察室が優しい香りに包まれました。

12年目の抱負や想いを語ろうと思っていましたが、とにかくこの感激をまずお伝えします。

ご厚意を忘れません、ありがとうございます。

 

こちらも毎年欠かさずお祝いいただきありがとうございます。

記念日を私が忘れていてもちゃんと知らせてくれます。

 

ハロウィーンの季節にもピッタリです。

透明なキリンさんも・・・

 

大きなキリンさんと小さなキリンさんで仲良く並びます。

いつもありがとうございます。

こちり北海道から泣きながらお父さんの形見の車を運転して戻られました。

「すごくお世話になっているから」とわざわざ青森で買ってきてくださる、

そのお気持ちがとてもうれしいです。

 

なんだかおしゃれな洋菓子で。

わか頃はクレームブリュレを食べたときの衝撃が忘れられないです。

 

本当にありがとうございます!

 

 

 

 

10月 30, 2025

ハロウィンの贈り物、日々の感謝。

貴重な薔薇ガムありがとうございます

バラの香りがするおじさんを目指します。

 

 

ハロウィンだったことを教えてくださりありがとう!

こちらもハロウィーン!

これは美味しい!

やばい!!

 

 

安心できる「安全基地」をめざして

当院は患者さんの安全基地であると同時に、スタッフにとっても安心して働ける場所を両立しています。

開院当初は、どんな方でもお受けしていました。

しかし中には、

・詐病により金銭を得ようとする反社会的な人物

・他院(公立のセンターや総合病院)で(ハードクレームや素行の問題、訴訟のリスクがある方などで)対応困難とされ、押しつけられるように紹介されてくるケースなど、さまざまな困難がありました。

そこで、「本人が真剣に治療を希望していること」と「信頼関係を前提とした治療契約を結べること」を条件とし、診療対象を慎重に限定する方針へと転換しました。

その結果、患者さんとのトラブルは一切なくなり、現在は平穏で安心できる治療環境=安全基地を提供できています。

クリーンな医療を守るために

最近では「退職代行モームリ」が違法行為により家宅捜索を受けたとの報道がありました。

弁護士との不正な金銭授受に加え、メンタルクリニックと提携して「傷病手当金支援」や「障害年金受給支援」などをうたい、本来病気とはいえない人に不正な診断書を取得させていた実態も明るみに出ています。

また、「診断書即日発行」を掲げていた東京メンタルクリニックにも行政指導が入りました。

診断書を“即日”発行することを売りにする姿勢そのものが、不正の温床となる危険をはらんでいます。金さえだせば欲しい診断書を簡単にゲットできるということは医学的な正しさを無視しているということです。

今後は刑事事件として裁かれる可能性もあるでしょう。

当院の姿勢

上尾メンタルクリニックは、完全にクリーンな診療体制を維持しています。

「診断書だけほしい」「治療は必要ない」という問い合わせには、電話の段階でお断りしています。

そのため、現在通院されているのは真剣に治療に取り組むクリーンな患者さんばかりです。

(誰でもというわけではないのでその点は残念ですが)信頼関係がしっかりと築かれ、アタッチメント(愛着)に関する課題にも取り組みやすい環境が整っています。

10年以上にわたり、地道に信頼を積み重ねてきた結果です。

みなさま、日々のご協力に心より感謝申し上げます。

 

 

 

10月 27, 2025

”更年期のほてりに”

更年期のほてり(ホットフラッシュ)

更年期のほてり(ホットフラッシュ)に悩んでいらっしゃる方は本当に多く、女性ホルモンの低下にともなって生じる典型的な症状の一つです。当院でも長年にわたり、その症状緩和に取り組んできました。

そして、もしかしたら、とうとう、、、画期的な漢方治療を見つけてしまったかもしれません。(詳しくはブログでは非公開です、笑)

実は、精神科ではあまり使わない漢方薬を別の目的で処方していた患者さんの更年期のほてりが劇的に改善したのがきっかけで新たな治療の選択肢を発見しました。まさに盲点でした。
「あっつい、あっつい!」とお困りのお嬢様方は、一度ご相談なさってはいかがですか?

従来の治療

これまで更年期のほてりには、加味逍遙散(かみしょうようさん)などの漢方がよく使われてきました。「加味」とは、熱を冷ます生薬が加えられているという意味です。ただし、プラセボと差が出なかった研究もあり、効果には個人差があります。

また、サプリメントは全体としてのエビデンスは一貫性に乏しいとされています。
しかし大塚製薬のエクエル(S-エクオール含有食品)が比較的効果を示すことがあります。臨床試験で一定の改善効果を示した報告もあります。癌で闘病中の方にもリスクなく使用できるとのことで、試してみる価値はあると思います。

さらに、プラセンタ注射で「少し楽になった」という方もいますが、どれも「劇的に良くなった」とまではいかないことが多いです。

ホルモン補充療法(HRT)はもっとも標準的な治療です。ただし、経口製ホルモン剤では血栓や乳がんリスクの報告がありますので、投与前に前がん状態などが潜んでいないかなど入念にチェックする必要があります。経皮投与(貼付剤・ジェル)ではそのリスクが小さいことが示されています。個々の体質や背景疾患をふまえ、主治医と相談のうえで適切な方法を選ぶことが大切です。(当院では子宮がん検診や乳がん検診など行っていませんので、ホルモン療法は婦人科の専門医にご紹介させていただいております)

非ホルモン治療の新しい動き

近年、ホルモンを使わない治療として「フェゾリネタント(Fezolinetant)」という新しい薬が注目されています。これは視床下部にある「KNDyニューロン(キスペプチン・ニューロキニンB・ダイノルフィン)」に作用し、体温のコントロールを整えることでほてりを改善する仕組みです。米国ではすでに承認されており、日本でも第III相試験が進行中です。

更年期障害とは?

更年期とは、妊娠・出産が可能な「生殖期」を終え、身体が次のステージへと移行する過程のことを指します。この時期、卵巣から分泌されるエストロゲン(女性ホルモン)が減少し、それを脳の下垂体が察知して「性ホルモンをだしなさい」と卵巣を刺激するFSH(卵胞刺激ホルモン)を多く分泌するようになります。この過剰な反応の過程で視床下部の体温調節中枢のバランスが乱れ、体温の「許容範囲」が狭くなることが、ほてりや発汗の原因と考えられています。

脳の過熱感と不眠の関係

患者さんの中には「頭がのぼせたように火照る」「首から上が滝汗」と訴える方が多くいらっしゃいます。視床下部(体温調節中枢)が興奮状態になり、わずかな温度変化にも敏感に反応してしまうためと考えられます。

私自身の臨床体験からも、脳が興奮して熱を帯びているような状態――いわば「脳のオーバーヒート」が、不眠や頭部の火照りと密接に関係している印象を強く受けています。このような状態は神経生理学的にも、覚醒レベルの上昇(交感神経優位)や視床下部の過活動と一致する可能性があり、「脳の冷却がうまくいかない状態」とも言えるでしょう。

その意味で、就寝前に脳の興奮を静める習慣(照明を落とす、ぬるめの入浴、深呼吸、穏やかな音楽など)は、眠りの質を整えるうえで非常に重要です。脳を「冷やす」という比喩は、単なる感覚的表現ではなく、心身の調整をイメージするうえで患者さんにも伝わりやすいと感じています。

深部体温をコントロールする工夫

脳を冷やすとよく寝れるのではないかという考えから、氷枕(ダイソー200円、硬さがちょうどいいです)を患者さんに試したことがあります。「少し楽になった」とおっしゃる方もいますが、脳は深部にあるため、表面を冷やすだけでは十分な効果は得られませんでした。

 

そして今回、私自身が非常に興奮している「新しい漢方的アプローチ」がその一助になりそうです。研究するわけではないので、正式なデータをそろえるつもりはありませんが、感触をあらためてご紹介できればと思います。