ブログ

睡眠関連食行動異常

2月 7, 2023

朝起きられない中高生:起立性調節障害!?

今日は睡眠障害のうち過眠傾向のある障害についての勉強会。

当院では睡眠ドックを行っていますが、検査のレポートは有名な先生に作成していただいております。

今回はその先生のご講演でした。

1998年に覚醒維持と関連のあるオレキシンを発見した柳沢先生のグループです。

不眠症の治療では第一選択薬と言っても良いオレキシン拮抗薬(ベルソムラ、デエビゴ)をご存知の方も多いと思います。

【ナルコレプシー】ナルコレプシーという病気を聞いたことはあるかと思います。これもオレキシンと関連した病気です。(ナルコレプシー・タイプ1はオレキシン欠如、ナルコレプシータイプ2はオレキシン機能およびドパミン機能低下を想定)

視床下部腫瘍、多発性硬化症、頭部外傷、筋ジストロフィー、プラダウィリー症候群、パーキンソン病、サルコイドーシス、脳梗塞などに伴った症候性ナルコレプシーはタイプ2に分類されます。

ナルコレプシーは昼間に強烈な眠気の発作が生じ、寝てしまいます。楽しい、嬉しい、驚きなど強い情動が沸いた時に体の力が抜けてしまうカタプレキシー(情動脱力発作)や、寝入りばなに幻覚を体験したり(入眠時幻覚)、寝入りばなに金縛りにあう(睡眠麻痺)などが認められます。居眠り発作は15分程度で、目覚めはスッキリだと言います。

【特発性過眠症】特発性過眠症はナルコレプシーと似ていますが、カタプレキシーはなく、そのほかのレム睡眠関連症状の頻度は低いものです。特発性過眠症はドパミン機能の低下が想定されておりますが、モディオダールの処方で効果を認めるときも、効果が得られない時もあります。当院では発達障害との関連性を疑って注目していた疾患です。(ナルコレプシーも30%以上にADHDの症状があることが報告されています。)長時間睡眠を伴うものと、伴わないものがあり、伴うものは有効な治療薬がありません(適応外処方で多少の改善は認めることがあります)

ナルコレプシーと違って居眠りは1〜数時間にわたり、目覚めが良くありません。10代から20代後半が好発年齢です。ナルコレプシーはもっと若いです。

ナルコレプシーも特発性過眠症もPSG、MSLTという精密検査が診断のため必要です。1泊2日の入院が必要で、検査技師さんが一晩泊まって検査します。私も研修医時代に終夜脳波などでお休みになる患者さんの枕元で流れてくる脳波を見て、患者さんの体動など書き込んでいく作業を夜通ししたことがありますが、かなりきつい作業でした。何度も寝落ちしそうになりながら患者さんを起こさないよう静粛に起きていないといけないのです。この点がネックで当院では精密検査を行っておらず、全国的にも検査ができる施設はとても少ないという現状があります。

【反復性傾眠症】クライネーレビン症候群(周期性傾眠症)のケースを1例経験したことがあります。数日から数週間続く過眠症状を年に数回から10回以上認め、その間は学校や会社などの社会生活を送ることができなくなります。国家試験には出ていましたが、精神科医でも知らない先生も多く、怠けているなどと誤解されて見逃されていることも多いのではないかと思います。

【睡眠不足症候群】臨床で意外に多いのが、睡眠不足症候群による日中の眠気です。これは2−3回通院すれば診断と解決ができます。

日中の眠気でまず除外しなければならないのは睡眠時無呼吸症候群です。当院では簡易検査を行っていますが、精密検査に迫る情報が得られ、詳しい分析をしてレポートにして差し上げています。(忙しい私にとっては結構大変なのですが)

【睡眠相交代症候群】睡眠相後退症候群に対する治療薬の使い方もあまり知られておらず、ノウハウがあります。

【若年性起床困難症】中高生の起床困難には色々な要因があると思いますが、昔は起立性調節障害という病名が使われていることがありました。

朝に血圧が低いために起きられないのではないかという仮説です。自律神経症状を伴うことは多いものですから、起立性低血圧(寝た状態から起き上がった時に血圧の低下が認められる)があるから、血圧を上げる薬を使えばいいという理屈です。しかし実際にそのような薬を使って不登校が解決することは少なく、血圧は問題の本質や原因ではないのです。今でも起立性低血圧が原因だと信じて治療している小児科医や精神科医がいます。どうして治らないのか振り返る必要があります。神林先生は「若年性起床困難症」という病名をご提案されていますが、まさにその通りだと思います。

【発達障害の睡眠障害】発達障害の人の中には衝動性や依存報酬系の問題を抱えた人も多く、アルコールやギャンブル、スマホ、ゲームにハマってしまう人がいます。夜のスマホやゲームで夜更かしして、朝起きられない人がかなり多く認められます。こだわりも強く、どうしてもやめられない場合は、朝起きられず登校や仕事ができない状態が長期化します。

中高生の不登校には発達障害の問題のほか、親との関係や学校でのいじめなど心理的な要因も関係していることがあり、何が原因なのか突き止めることが難しいことも少なくありません。

【長時間睡眠者】そのほかロングスリーパーによる起床困難も経験しました。診断がわからず、いつもご相談させていただいている睡眠の専門家にご診断いただき、納得することができました。日中の家事の段取りが悪く、入眠時間を早めることができない状況があり、なかなか症状を改善することができないケースでした。

【交代勤務睡眠障害】交代勤務の方の眠気も問題となることが多く、これはなかなか対応が難しいものです。

追記:当院では睡眠関連摂食障害に対する対応も早期から関心を持って行ってきました。

マイスリーなどの睡眠薬服用中の方に認められることが多いもので、寝る直前あるいは一旦寝てから起きて、炭水化物や高カロリーなものを異常に沢山食べてしまう症状です。オレキシンは摂食行動と関連します。薬による脱抑制だけが注目されていましたが、異なる機序も関連してそうです。また私の中で新しいひらめきがありましたので、そのような症状がある方はぜひご相談ください。