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厳しい診察

3月 16, 2022

480円の癒し。

デスクでパソコンと睨めっこ。

だらだら仕事をするときと、短時間の仕事ではかける音楽を変えている。

診察中でも好きなバッハをよく聴いていた。

コロナ禍では空気清浄機の騒音と、マスクや飛沫防止板などのため、患者さんの声が聴き取りにくくなった。

とても音楽をかけられる状態ではない。

ながら仕事をしなくなって、

次第に仕事中に音楽を聴かなくなった。

しかし過集中は体に良くない。

デスクの上に気分転換ができるよう、癒しを求めた。

480円の癒し。

私の好きなオーガスタ。

 

今日はここからが本題。

双極性障害の治療について。

もう8年も前のものだが、当院HPにオリジナルの内容で双極性障害の説明を掲載している。

私の私見も含むものだ。今もそのままで十分通用する内容だと思う。

ただ、双極性障害と言っても個々に見ると、色々な背景があり、全く事情が異なることも少なくない。

双極性障害の方には、一定の割合で薬嫌いの人がいる。

どうしてそうなのか、私なりの考察も記載している。

薬だけでなく、治療に関しても嫌がることがある。

その背景も同じものだと思う。

しかし、そのまま本人の言うなりに放置すると、やがて入院を要するほどの躁状態で受診に結びつくことも少なくない。

本人の社会的信用の喪失のみならず、家族も大変な尻拭いをしなくてはならず、皆んなが疲弊する。

そうならないように、治療に対する構えが怪しくなってきた時に、患者さんと対決して厳しい現実を突きつけることがある。

険悪になって、たまに当院から離れていく人もいる。

ただ、私が真剣に言っていることが伝わると、それを乗り越えて、とても治療が良い方向に進むことがある。

信頼関係ができると、私も患者さんが直面する困難に対して、治療とは一見関係なさそうな内容においても支援を行なっていくことができる。

後になって、色々な意味がわかってもらえるととても感謝される。

双極性障害の方はエネルギーを持っている。

その分、真剣にぶつかっていくと疲れる。

今日は60人。混雑時は100人。

毎日全力で、ヘトヘトだ。

初診受け入れをずっと停止していたが、これは大正解だった。

患者さんには伝わっているかわからないけれど、診療の質を整えることができる。

患者さんのことがもっとよく見えてくる。

初診が多すぎると、正直顔も名前も覚えられなくなることがある。

当院では患者さんを番号で呼んだりはしない。匿名で人を診ることなんてできない。

1人1人の背景を理解して初めて病気が見えてくるのだと思う。

 

清水靖晃さんのバッハ無伴奏チェロ組曲第1番テナーサックス版