当院では、不安と関連しやすいめまいや耳鳴りといった耳鼻科領域の症状にも強い関心を持って診療を行ってきました。
開院当初からめまい体操を指導するなど、通常のメンタルクリニックでは行わないような治療も行って来ました。
耳鳴りに関しては一般的な耳鼻科さんよりもより突っ込んだ診療を行っています。(補聴器など耳鼻科で行う治療は行っていません)
めまいに関しては、近隣だと目白大学耳科学研究所さんが熱心に専門的に診療を行っていらっしゃいます。当院では目白大学さんとのやりとりを繰り返し、信頼関係を築いてきました。
そのような中で、PPPDという疾患概念を教えていただき、以前より当院でのSSRI治療などチャレンジしてきました。
最近になってようやく巷でもPPPDという言葉がちらほら聞こえるようになってきました。
PPPDとは持続性知覚性姿勢誘発めまいで近年提唱された新しい概念のめまいです。
以前回転性めまいを経験したことがあるが、今のめまいは回転性ではなく、浮動性めまいが3ヵ月以上にわたってずっと続いている状態です。浮動性めまいとは、ふわふわグラグラ、雲の上を歩いているような、まっすぐ歩けないような感覚のめまいです。
当院にも耳鼻科で異常がないと言われ、通院されている方々がいらっしゃいますが、治療はなかなか大変です。
本人の不安感が強く、リハビリテーションを続けることが困難であったりします。
そして当院を受診するタイミングとしては、耳鼻科で異常がないといわれ続け、長い期間が経過してしまっているため、嫌な感覚がこびりついてしまっている状態なので、ちょっとやそっとではびくともしないのです。
とても力を入れてきた分野ではありますが、当院での治療実績は残念ながら満足できるような結果は得られていません、苦笑。
一方で当院での耳鳴りの改善率は30%くらいでまずまずといった感触です。
たったそれだけ?って思われるかもしれませんが、
「年だから治らない」と言われて相手にされなかった耳鳴りが少しでも軽減するなら、
「すごい!」ことなんです。
背景には非定型発達の感覚過敏やこだわりなどの同一性の特性が関与していることも少なくありません。
その点に着目して治療をするというのが、耳鼻科ではない視点だと思いますので、そこがオリジナルなのです。
認知行動療法は不安に着目した別の視点です。
それは簡易な形でしか当院では行っていません。
色々偉そうに言いましたが、耳鼻咽喉科精神科医ではありませんので、期待しすぎないでください。
悪しからず。